【宅建】計算問題はこの3つだけ|報酬・建蔽率・相続分の解き方まとめ

宅建試験の計算問題は毎年1〜3問。報酬計算・建蔽率容積率・法定相続分の3つと数字の当てはめを、型(速算式・乗数・分数)で押さえれば得点源になります。解き方をまとめて解説します。

最終更新:2026-08-04

「計算が苦手だから捨てる」という人が多い宅建の計算問題。でも、それは本当にもったいない選択です。

宅建の計算は、大学入試のような難しい数学ではありません。使うのは足し算・引き算・掛け算・割り算と、分数と割合だけ。しかも出題されるパターンは、報酬計算・建蔽率容積率・法定相続分の3つと、決まった数字を当てはめるだけの問題に、ほぼ集約されています。

つまり、型さえ覚えてしまえば、当日の問題文がどう変わっても同じ手順で必ず解ける。知識問題のように「うろ覚えで迷う」ことがなく、むしろ確実に1〜3点を積み上げられる得点源になります。この記事は、その3つ+αを、実際の数字を使った計算例つきで、テキスト1冊分の丁寧さで解説します。

宅建の計算は「3つ+α」だけ

まず全体像をつかみましょう。計算がからむ問題は、次の4種類に整理できます。それぞれ出る科目も決まっています。

種類科目覚える型出題頻度
① 報酬計算宅建業法速算式(3%+6万円)ほぼ毎年
② 建蔽率・容積率法令上の制限緩和+10%/前面道路×乗数頻出
③ 法定相続分権利関係分数(1/2・2/3・3/4)数年に1度
④ 数字の当てはめ宅建業法ほか20%・5/10%など毎年どこかで

④は「計算」というより暗記した数字を当てはめるだけですが、手付の上限や保全措置の基準額など、8種制限の問題で必ず問われます。①②を最優先に、③④も取りこぼさないのが理想です。

① 報酬計算 ― 速算式に当てはめるだけ

宅建業者が受け取れる報酬には、法律で上限が決まっています。その上限額を計算させるのが報酬計算の問題です。

売買の媒介(仲介)では、物件価格(消費税抜き)を次の速算式に当てはめ、最後に業者の消費税を乗せます。

物件価格(税抜)速算式(上限額)
200万円以下価格 × 5%
200万円超〜400万円以下価格 × 4% + 2万円
400万円超価格 × 3% + 6万円

実務でも試験でも400万円超がほとんどなので、まずは「3%+6万円」だけは反射的に出るようにしておきましょう。

計算例①:3,000万円の土地・建物を媒介したとき

税抜価格3,000万円、業者は課税事業者(消費税10%)とします。

3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円。

これに消費税を乗せて、96万円 × 1.1 = 105万6,000円。これが売主または買主の「一方」から受け取れる上限です。売主・買主の双方から媒介を依頼されていれば、それぞれからこの額まで受け取れます。

計算例②:代理のとき(媒介の2倍)

代理は、依頼者のために契約を成立させる重い仕事なので、上限が媒介の2倍になります。上の例で売主の代理をしたなら、96万円 × 2 = 192万円、消費税込みで192万円 × 1.1 = 211万2,000円。

ただし、代理業者が相手方からも報酬を受け取る場合、双方からの合計額が「媒介の2倍」を超えることはできません。「代理は2倍、ただし双方合計でも2倍まで」とセットで覚えます。

報酬計算の消費税は「本体価格を税抜に直してから速算式に入れる」のが鉄則です。問題文が「税込3,300万円(うち建物は課税)」のように書かれていたら、まず税抜価格に戻してから3%+6万円を計算します。土地は非課税、建物だけが課税対象という点も引っかけどころです。

賃貸・交換・低廉な空家の特例

賃貸の媒介は、貸主・借主から受け取る合計が借賃の1か月分(+消費税)が上限です。居住用建物は原則それぞれ0.5か月ずつ(承諾があれば一方から1か月まで)。居住用以外は、権利金の授受があれば権利金を売買代金とみなして速算式で計算する方法も選べます。

交換の媒介は、交換する物件のうち高い方の評価額を基準に速算式を使います。また、税抜400万円以下の低廉な空家等では、通常の報酬に現地調査等の費用を合算して、売主側から最大18万円(+消費税)まで受け取れる特例があります。

賃貸の按分・権利金・低廉な空家特例まで、報酬計算はこの記事で計算例つきに深掘りしています。 報酬計算の速算式を詳しく見る →

② 建蔽率・容積率 ― 緩和と前面道路がすべて

建蔽率(けんぺいりつ)は「敷地に対してどれだけ広く建てられるか」、容積率は「延べ床面積をどれだけ大きくできるか」の上限を示す割合です。どちらも用途地域ごとに指定値が決まっていて、そこに緩和や道路による制限が加わります。

建蔽率の緩和は+10%を足すだけ

建蔽率 = 建築面積 ÷ 敷地面積。指定建蔽率に、次の緩和を足します。

  • 防火地域内に耐火建築物等を建てる……+10%(準防火地域内の耐火・準耐火建築物も+10%)
  • 特定行政庁が指定する角地……+10%
  • 上の両方に当てはまれば……+20%
  • 指定80%の地域で、防火地域内に耐火建築物等を建てる……制限なし(100%)

計算例③:緩和がある建蔽率

指定建蔽率60%、敷地面積200㎡。防火地域内に耐火建築物を建て、しかも角地の場合。

60% + 10%(耐火)+ 10%(角地)= 80%。建築面積の上限は 200㎡ × 80% = 160㎡ です。

容積率は「指定」と「前面道路」の小さい方

容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積。前面道路の幅員が12m以上なら指定容積率がそのまま上限ですが、12m未満のときは次の2つを比べて小さい方が上限になります。

  • 指定容積率
  • 前面道路の幅員(m)× 法定乗数(住居系の用途地域は10分の4、その他は10分の6)

計算例④:前面道路による制限

第一種住居地域(住居系)、指定容積率300%、前面道路の幅員6m、敷地200㎡。

前面道路による制限 = 6 × 4/10 = 2.4 = 240%。指定300%と比べて小さい方の240%が上限。延べ面積は 200㎡ × 240% = 480㎡ までとなります。

乗数は「住居系=4/10、それ以外(商業・工業系など)=6/10」。ここを取り違えると一発で不正解です。複数の道路に接している敷地では、最も幅の広い道路の幅員を使います。狭い方ではありません。

2つの地域にまたがる敷地は「加重平均」

敷地が2つの用途地域にまたがるときは、それぞれの部分ごとに上限面積を出して合算します(面積按分=加重平均)。

例:敷地300㎡のうち、建蔽率60%の部分が200㎡、50%の部分が100㎡なら、建築面積の上限は 200×0.6 + 100×0.5 = 120 + 50 = 170㎡。全体でならすと建蔽率は約56.7%になります。容積率も同じ考え方で足し合わせます。

緩和条件・前面道路・加重平均・延べ面積の不算入まで、建蔽率容積率はこの記事で網羅しています。 建蔽率・容積率の計算を詳しく見る →

③ 法定相続分 ― 誰が相続人かで分数が決まる

配偶者は常に相続人になります。血族は順位が高い人だけが相続人になり、第1順位=子、第2順位=直系尊属(親など)、第3順位=兄弟姉妹の順です。上位がいれば下位は相続しません。

相続人の組み合わせ配偶者血族側
配偶者 + 子1/21/2(子で頭割り)
配偶者 + 直系尊属2/31/3(頭割り)
配偶者 + 兄弟姉妹3/41/4(頭割り)
配偶者のみ全部

計算例⑤:配偶者と子2人

相続財産6,000万円、相続人は配偶者と子2人。配偶者が1/2で3,000万円、残り1/2(3,000万円)を子2人で分けて、それぞれ1,500万円ずつです。

計算例⑥:配偶者と父母

相続財産6,000万円、相続人は配偶者と父母。子がいないので第2順位の直系尊属が相続人。配偶者が2/3で4,000万円、父母が1/3(2,000万円)を分けて各1,000万円です。

計算例⑦:半血の兄弟姉妹がいるとき

父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)は、父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血)の2分の1しか相続できません。

相続財産6,000万円、相続人は配偶者・全血の兄・半血の弟。配偶者が3/4で4,500万円。兄弟の取り分1/4(1,500万円)を、全血:半血=2:1で分けて、兄1,000万円・弟500万円になります。

相続放棄をした人は「初めから相続人でなかった」とみなされ、その子への代襲相続も起きません。一方、子が被相続人より先に死亡していた場合は孫が代襲します。兄弟姉妹の代襲は甥・姪まで(一代限り)で、そこで止まります。この「放棄は代襲なし・死亡は代襲あり」の違いが超頻出です。

順位・代襲・数次相続・遺留分まで、法定相続分はこの記事で図解しています。 法定相続分の計算を詳しく見る →

④ 数字の当てはめ ― 8種制限の頻出数字

売主が宅建業者・買主が一般の人(非業者)のとき、業者を規制する「8種制限」で決まった数字が問われます。計算というより、正しい数字を覚えているかの勝負です。

項目基準となる数字
手付の額の上限代金の20%(2/10)まで
損害賠償額の予定+違約金合算して代金の20%まで(超過部分は無効)
手付金等の保全が必要な額(未完成物件)代金の5%超、または1,000万円超
手付金等の保全が必要な額(完成物件)代金の10%超、または1,000万円超
クーリングオフの期間告知書面を受け取った日から8日以内

「未完成は5%・完成は10%、どちらも1,000万円超」を語呂で押さえておくと、保全措置の要否を問う問題で迷いません。手付と損害賠償はどちらも「20%」で共通です。

報酬計算はほぼ毎年、建蔽率・容積率も頻出、8種制限の数字は毎年どこかで問われます。いずれも型が決まっていて、過去問を回すほど正答率が安定します。難問化しやすい権利関係より、努力が点に直結する分野です。捨てるのは本当にもったいない。

もう一歩:計算問題を「時間内に・確実に」解くコツ

計算問題は知識問題と違い、「なんとなく」では当たりません。しかし裏を返せば、手順どおりに解けば必ず正解にたどり着けるということです。部分点のない一発勝負だからこそ、報酬・建蔽率・相続分の3パターンは、答えを覚えるのではなく手順を体に染み込ませることが大切です。

本番でありがちなミスは、乗数(4/10か6/10か)の取り違え、速算式(3%+6万か4%+2万か)の混同、消費税の乗せ忘れ、税込価格をそのまま速算式に入れてしまう、の4つ。これらは知識ではなく「手が慣れているか」の問題なので、直前期は毎日1〜2問、実際に紙に書いて解く習慣をつけましょう。

解く順番も戦略になります。計算問題は落ち着いて処理すれば確実に取れる一方、時間を食いやすい。試験ではまず知識問題を一周して確実な点を固め、計算問題は落ち着いて処理できる後半にまとめて解くと、焦りによるケアレスミスを防げます。

確認問題(復習)

記事の内容が身についたか、確認しましょう。

確認問題(報酬計算)

税抜3,000万円の宅地・建物の売買を媒介した場合、課税事業者が売主または買主の一方から受け取れる報酬の上限はいくらか。

  1. 96万円
  2. 105万6,000円
  3. 192万円
  4. 211万2,000円

正解:2

正解は②。3,000万円×3%+6万円=96万円、これに消費税10%を乗せて105万6,000円です。①は消費税を乗せる前の額(誤り)。③④は代理の場合(2倍)の額です。

確認問題(容積率)

第一種住居地域(住居系)、指定容積率300%、前面道路の幅員6mの土地の容積率の上限はいくらか。

  1. 180%
  2. 240%
  3. 300%
  4. 360%

正解:2

正解は②。前面道路12m未満なので、幅員6m×10分の4(住居系)=240%と指定300%を比べ、小さい240%が上限です。

確認問題(法定相続分)

相続財産6,000万円、相続人が配偶者と子2人のとき、子1人の相続分はいくらか。

  1. 3,000万円
  2. 2,000万円
  3. 1,500万円
  4. 1,000万円

正解:3

正解は③。配偶者が1/2で3,000万円、残り1/2(3,000万円)を子2人で分けて各1,500万円です。

まとめ

宅建の計算問題は、①報酬計算(速算式3%+6万円+消費税)、②建蔽率・容積率(緩和+10%と前面道路×乗数)、③法定相続分(1/2・2/3・3/4の分数)、④8種制限の数字(20%・5/10%)の型に集約されます。

どれも小学校の算数レベルの計算で、パターンは決まっています。「苦手だから捨てる」のではなく、この4つを計算例つきで反復し、当日確実に取れる得点源に変えていきましょう。

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よくある質問

宅建に計算問題はどのくらい出ますか?

毎年おおむね1〜3問程度です。四則演算レベルで、報酬計算・建蔽率容積率・法定相続分など出るパターンが決まっており、8種制限の数字の当てはめも合わせるとほぼ毎年どこかで問われます。

計算が苦手でも大丈夫ですか?

大丈夫です。宅建の計算は複雑な計算力ではなく「型(速算式・乗数・分数)を覚えて当てはめる」だけ。答えを暗記するのではなく手順を覚え、過去問で反復すれば確実に得点できます。

どの計算問題から対策すべきですか?

まずはほぼ毎年出る報酬計算(3%+6万円+消費税)からがおすすめです。次に建蔽率・容積率、法定相続分の順で押さえると効率的です。8種制限の数字は暗記なので直前期でも間に合います。

報酬計算で消費税はどう扱いますか?

本体価格を税抜に直してから速算式に入れ、算出した報酬額に業者の消費税(課税事業者なら10%)を乗せます。土地は非課税、建物だけが課税対象という点も引っかけどころです。

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