【宅建】時効を完全整理|取得時効・消滅時効と「更新・完成猶予」を表で攻略
宅建試験の時効を一気に整理。取得時効の10年・20年と善意無過失の判定時期、消滅時効の5年・10年・20年、民法改正で「中断・停止」から変わった時効の更新と完成猶予(催告6ヶ月・協議の合意1年・仮差押えは猶予のみ)、援用権者と時効利益の放棄、時効取得と登記の判例まで。古い過去問では対応できない改正点を重点的に解説します。
最終更新:2026-08-09
権利関係の中で、時効は毎年のように顔を出す最頻出テーマです。直近だけを見ても、令和元年度・令和2年度(10月・12月の両方)・令和4年度・令和5年度と、ほぼ切れ目なく出題されています。
ところが、この分野には他にはない厄介さがあります。2020年(令和2年)4月1日に施行された民法改正で、時効のルールがかなり書き換えられたのです。とくに「時効の中断」「時効の停止」という言葉は条文から消え、「時効の更新」「時効の完成猶予」に置き換わりました。
実際、令和元年度の本試験は「時効の中断」を問う問題でしたが、令和2年12月試験の問5には「時効の対象となる債権の発生原因は、令和2年4月1日以降に生じたものとする」というただし書きが付いています。改正の境目にあることを、試験委員自身が明示しているわけです。古いテキストや先輩のノートをそのまま使うと事故が起きる、数少ない分野の一つです。
さらに令和5年度の問6では、時効取得が「正しいものはいくつあるか」という個数問題で出されました。個数問題は選択肢を1つでも落とすと正解できません。時効はもう、なんとなくの理解では通用しない論点になっています。この記事で一度きちんと整理しておきましょう。
時効には2種類ある
まず全体像です。時効とは、ある状態が長く続いたときに、それを法律上の権利として認めてしまう制度です。方向が真逆の2つがあります。
| 種類 | 内容 | 典型例 |
|---|---|---|
| 取得時効 | 一定期間占有を続けた者が権利を取得する | 他人の土地を長年自分の土地として使い続け、所有権を得る |
| 消滅時効 | 一定期間行使しないと権利が消える | 貸したお金を請求しないまま放置し、返してもらえなくなる |
なぜこんな一見不公平な制度があるのかというと、理由は主に3つです。長く続いた事実状態を尊重して社会を安定させること、時が経つと証拠が失われて立証が困難になること、そして権利の上に眠る者は保護しないという考え方です。
この「権利の上に眠る者は保護しない」という一言は、後で出てくる制度の説明にも何度も使えます。頭の片隅に置いておいてください。
取得時効 — 10年と20年の分かれ目
取得時効の要件は、条文をそのまま読むのが早いです。所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、次の期間で所有権を取得します。
| 占有開始時の主観 | 必要な期間 |
|---|---|
| 善意かつ無過失(他人の物と知らず、知らないことに過失もない) | 10年 |
| 悪意または有過失 | 20年 |
ここで絶対に外せないのが、善意無過失をいつの時点で判定するかです。答えは「占有の開始の時」です。
つまり、占有を始めたときに善意無過失であれば、その後3年目に「実はこの土地は他人のものだった」と知ってしまっても、10年で時効取得できます。途中で悪意になったから20年に延びる、ということはありません。ここは繰り返し出題されるポイントです。
もう一つの重要要件が「所有の意思」です。これは自分の物として占有する意思(自主占有)を指し、占有者の内心ではなく、占有を始めた原因によって客観的に判断されます。
したがって、賃借人はどれだけ長く住み続けても所有権を時効取得できません。借りているという原因で占有している以上、所有の意思がないからです(他主占有)。地代を払い続けている借地人も同様です。「50年住んでいるのだから自分のものだ」は通らない、と覚えてください。
占有は引き継げる
占有者は、前の占有者の占有を併せて主張することができます。父が15年占有していた土地を相続した子が5年占有すれば、合計20年として時効を主張できるわけです。
ただし条件があります。前の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵も承継します。父が悪意で占有を始めていたなら、子は善意であっても悪意の占有を引き継いだものとして扱われ、20年が必要になります。おいしいところだけ取ることはできません。
なお、時効取得できるのは所有権だけではありません。地上権や地役権といった所有権以外の財産権も、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然と行使すれば時効取得できます。ただし地役権については、継続的に行使され、かつ外形上認識することができるもの(継続かつ表現のもの)に限られます。
確認問題(取得時効)
取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 占有開始時に善意無過失であっても、占有期間の途中で他人の物であることを知った場合には、20年の占有が必要となる。
- 建物の賃借人が20年間平穏かつ公然と当該建物に居住した場合、その建物の所有権を時効取得することができる。
- 前の占有者の占有を併せて主張する場合、その瑕疵も承継する。
- 所有権以外の財産権については、時効によって取得することはできない。
正解:3
正解は③。187条2項の規定どおりで、前主の占有を併せる場合は瑕疵も引き継ぎます。①善意無過失は占有開始時に判定され、その後悪意になっても10年のままです。②賃借人は所有の意思を欠く他主占有なので時効取得できません。④地上権や地役権なども時効取得の対象になります。
消滅時効 — 5年・10年・20年を使い分ける
消滅時効は、改正で最も数字が動いた部分です。改正前は債権の消滅時効が原則10年で、職業別に1年・2年・3年といった短期消滅時効が細かく定められていました。この職業別の区分は廃止され、次のように整理されています。
| 権利の種類 | 主観的起算点 | 客観的起算点 |
|---|---|---|
| 一般の債権 | 権利を行使できることを知った時から5年 | 権利を行使できる時から10年 |
| 人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権(債務不履行) | 知った時から5年 | 行使できる時から20年 |
| 不法行為による損害賠償請求権 | 損害及び加害者を知った時から3年 | 不法行為の時から20年 |
| 人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権 | 損害及び加害者を知った時から5年 | 不法行為の時から20年 |
| 債権または所有権以外の財産権 | — | 行使できる時から20年 |
一般の債権は5年と10年の両方が定められていて、どちらか早く到来したほうで時効が完成します。通常の取引では、契約した時点で「いつ請求できるか」を当事者は知っていますから、実際には5年で完成するケースがほとんどです。
生命・身体の侵害だけ期間が長いのは、被害者保護のためです。後遺症が時間をたってから現れることもあり、通常の債権と同じ扱いでは酷だからです。債務不履行なら10年が20年に、不法行為なら3年が5年に、それぞれ延びると整理してください。
そして、消滅時効で最も出題されるのがこれです。所有権は消滅時効にかかりません。
100年放置した土地であっても、所有権が時効で消えることはないのです。ただし、その土地を他人が時効取得した結果として所有権を失うことはあります。「消滅時効では消えないが、他人の取得時効の反射として失うことはある」という区別が問われます。
確認問題(消滅時効)
消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、債権の発生原因は令和2年4月1日以降に生じたものとする。
- 一般の債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- 所有権は、20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- 不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- 人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
正解:2
正解は②(誤り)。所有権は消滅時効にかかりません。ただし他人が時効取得した結果として所有権を失うことはあります。①③④はいずれも条文どおりです。
改正の核心:「中断・停止」から「更新・完成猶予」へ
ここが本記事の最重要パートです。改正前は「時効の中断」「時効の停止」という言葉が使われていましたが、意味が分かりにくいという指摘があり、次のように整理されました。
| 新しい用語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| 時効の完成猶予 | 一定期間、時効が完成しない | ストップウォッチを一時停止する |
| 時効の更新 | 進行していた期間がリセットされ、ゼロから再スタート | ストップウォッチを0に戻す |
旧法の「中断」は、実際には期間がリセットされる制度でした。しかし「中断」という日本語は普通「一時停止」を連想させるため、実態に合わせて「更新」と呼び変えられたわけです。この経緯を知っていると、混同しにくくなります。
そのうえで、どの事由がどちらに当たるのかを押さえます。ここが出題の中心です。
| 事由 | 効果 |
|---|---|
| 裁判上の請求(訴えの提起) | 手続中は完成猶予。確定判決等で権利が確定すれば更新 |
| 強制執行・担保権の実行 | 手続中は完成猶予。手続が終了すれば更新 |
| 仮差押え・仮処分 | その事由の終了時から6ヶ月を経過するまで完成猶予(更新はしない) |
| 催告(内容証明郵便での請求など) | 催告の時から6ヶ月を経過するまで完成猶予 |
| 協議を行う旨の書面による合意 | 合意から1年等の期間、完成猶予 |
| 承認(債務者が借金を認める、一部を弁済する等) | 更新 |
判断の軸はシンプルです。権利があると確定したものだけが更新(リセット)になり、確定していないものは完成猶予(一時停止)にとどまります。
訴えを起こしただけではまだ勝つか分からないので、判決が確定するまでは完成猶予。判決が確定すれば権利がはっきりするので更新。この理屈が分かっていれば、暗記は要りません。
ひっかけの定番は仮差押えと催告
仮差押え・仮処分は、あくまで暫定的な保全手続で、権利の存否を確定させるものではありません。したがって完成猶予にとどまり、更新の効力はありません。旧法では「中断」(=リセット)事由だったので、古い知識のままだと確実に間違えます。ここは狙われます。
催告も要注意です。内容証明郵便を送れば6ヶ月の完成猶予が得られますが、その猶予期間中にもう一度催告しても、猶予は延長されません。催告を繰り返せば永久に時効を止められる、ということにはならないのです。6ヶ月の間に訴訟提起などの本格的な手続を取る必要があります。
新設された「協議を行う旨の合意」
改正で新しく作られたのが、当事者間で協議を行う旨の合意による完成猶予です。
書面(電磁的記録を含む)で協議を行う旨を合意すると、合意があった時から1年を経過した時、当事者が定めた1年未満の協議期間を経過した時、協議の続行を拒絶する旨の通知から6ヶ月を経過した時、のいずれか早い時まで時効の完成が猶予されます。
趣旨は、話し合いで解決したいのに、時効が迫っているせいで仕方なく訴訟を起こす、という事態を避けることにあります。ただし何度でも延長できるわけではなく、この方法による猶予は通算5年が上限です。また、口頭の合意では効力が生じない点も押さえてください。
承認は更新、しかも要件がゆるい
債務者が「確かに借りています」と認めたり、利息だけでも支払ったりすると、それは承認にあたり、時効は更新されます。権利があることを自分で認めた以上、それまでの経過をリセットしてよいという発想です。
面白いのは、承認をするには相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことや権限があることを要しない、と条文が定めている点です。承認は権利を処分する行為ではなく、事実を認めるだけの行為だからです。
確認問題(更新と完成猶予)
時効の更新および完成猶予に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 仮差押えは、その事由が終了した時に時効を更新させる効力を有する。
- 催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をすれば、さらに6ヶ月の完成猶予を得ることができる。
- 当事者が協議を行う旨を口頭で合意した場合にも、時効の完成猶予の効力が生じる。
- 債務者が債務を承認したときは、時効は更新される。
正解:4
正解は④。承認は更新事由です(152条)。①仮差押えは完成猶予にとどまり、更新の効力はありません。②猶予期間中の再度の催告に完成猶予の効力はありません。③協議を行う旨の合意は書面(電磁的記録を含む)でしなければ効力を生じません。
援用しなければ時効は効かない
見落とされがちですが、時効は期間が経過しただけでは効果を生じません。当事者が援用する、つまり「時効を主張します」と言って初めて、裁判所はそれを前提に判断できます。
援用できるのは当事者ですが、消滅時効については保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者も含まれると条文に明記されています。
主債務者が「借りたものは返す」と言って援用しなくても、保証人は自分の判断で時効を援用して保証債務を免れることができます。他人任せにされて損をしないための仕組みです。
時効の利益は前もって放棄できない
もう一つ重要なのが、時効の利益はあらかじめ放棄することができないという規定です。
もしこれが許されると、お金を貸す側は必ず契約書に「借主は時効を援用しない」という条項を入れるでしょう。立場の弱い借主は断れず、制度が骨抜きになってしまいます。だから「あらかじめ」の放棄は禁止されています。裏を返せば、時効が完成した後に放棄することは可能です。
これに関連して、判例には重要な考え方があります。時効完成後に債務者が債務を承認した場合、たとえ時効の完成を知らなかったとしても、その後に時効を援用することは信義則上許されない、というものです。「もう時効ですよね」と言えたはずの場面で「返します」と言った以上、後からひっくり返すのはフェアでない、という判断です。
確認問題(援用と放棄)
時効の援用および時効の利益の放棄に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができる。
- 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
- 時効が完成した後に、時効の利益を放棄することはできない。
- 時効完成後に債務を承認した債務者は、時効完成を知らなかったとしても、その後に時効を援用することは信義則上許されない。
正解:3
正解は③(誤り)。放棄が禁止されるのは「あらかじめ」(時効完成前)であり、時効完成後の放棄は有効です。①保証人は権利の消滅について正当な利益を有する者として援用できます(145条)。②④はいずれも正しい記述です。
もう一歩:時効取得と登記の関係
不動産の取得時効では、登記との関係が繰り返し問われます。令和4年度の問10も、まさにこの論点でした。判例のルールは、時効完成の前か後かで結論が分かれます。
| 第三者が権利を取得した時期 | 時効取得者は登記なしで対抗できるか |
|---|---|
| 時効完成前に譲り受けた第三者 | 対抗できる(登記不要) |
| 時効完成後に譲り受けた第三者 | 対抗できない(登記が必要) |
理屈はこうです。時効完成前に土地を買った人は、時効が完成した時点における所有者そのものです。つまり時効取得者から見れば当事者であり、当事者どうしの関係に登記は要りません。
一方、時効完成後に買った人は、時効によって所有権を得た者と、売買によって所有権を得た者という、二重譲渡に似た関係に立ちます。そうなると対抗問題となり、先に登記した者が勝ちます。
ここで注意したいのは、時効の起算点を勝手にずらして有利な結論を導くことは認められないという判例です。時効完成後に第三者が現れたからといって、占有開始時期を後ろにずらして「完成前だった」と主張することはできません。
試験ポイント:①取得時効は善意無過失なら10年、それ以外20年。判定は占有開始時のみで、途中で悪意になっても延びない。②賃借人は他主占有なので時効取得できない。③消滅時効は原則5年/10年、生命・身体は20年(不法行為の主観は3年、人身なら5年)。所有権は消滅時効にかからない。④仮差押え・催告は完成猶予のみ、承認と確定判決は更新。⑤協議の合意は書面が必要で通算5年まで。⑥時効完成前の放棄は不可、完成後は可。⑦時効取得と登記は完成前なら登記不要、完成後なら登記必要。
確認問題(まとめ)
個数問題にも対応できるよう、選択肢を一つずつ判断する練習をしておきましょう。
確認問題(時効の総合)
時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは時効によって消滅する。
- 占有開始時に善意無過失であった者は、10年間の占有継続により所有権を時効取得することができる。
- 時効は、期間が経過すれば当事者の援用がなくても当然にその効力を生じる。
- 物上保証人は、被担保債権の消滅時効を援用することができない。
正解:2
正解は②。162条2項の規定どおりです。①所有権は消滅時効にかかりません。③時効の効果を生じさせるには当事者の援用が必要です(145条)。④物上保証人は権利の消滅について正当な利益を有する者として援用できます。
確認問題(時効取得と登記)
Aが所有する甲土地をBが時効取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Bの取得時効の完成前にAから甲土地を買い受けて登記を備えたCに対し、Bは登記なくして所有権を対抗することができる。
- Bの取得時効の完成後にAから甲土地を買い受けて登記を備えたDに対し、Bは登記なくして所有権を対抗することができる。
- Bは、自己に有利になるように時効の起算点を任意に選択して主張することができる。
- Bが時効取得した場合、Bが所有権を取得するのは時効が完成した時である。
正解:1
正解は①。時効完成前の第三者は時効完成時の所有者=当事者の立場に立つため、Bは登記なくして対抗できます。②時効完成後の第三者とは対抗関係になるため登記が必要です。③起算点を任意にずらすことは認められません。④時効の効力は起算日にさかのぼるため、占有開始時に取得したものとして扱われます(144条)。
まとめ
時効は出題頻度が高いうえに、改正で用語と数字が動いた分野です。裏を返せば、改正点をきちんと押さえた人が確実に差をつけられる場所でもあります。
取得時効は10年と20年、判定は占有開始時のみ。消滅時効は5年と10年が基本で、生命・身体だけ20年。そして所有権は消滅時効にかからない。まずこの骨組みを固めてください。
そのうえで、更新と完成猶予の区別を「権利が確定したかどうか」という一本の基準で押さえます。判決確定と承認だけが更新で、仮差押えも催告も一時停止にすぎません。旧法の「中断」の記憶が残っている人ほど間違えるところなので、意識して上書きしておきましょう。
令和5年度のように個数問題で出されると、あいまいな知識では1問まるごと落とします。逆に、この記事の内容が全部言えるようになっていれば、時効で失点することはまずありません。
宅建道場では権利関係の過去問・解説を無料公開中。時効は令和元年・令和2年・令和4年・令和5年と連続で出題されています。実際の問題で確認してみてください。 権利関係を演習する →
よくある質問
取得時効の10年と20年はどう使い分けますか?
占有を開始した時点で、他人の物であることを知らず、知らないことに過失もなかった場合(善意無過失)は10年、それ以外は20年です。判定するのは占有開始の時点だけなので、途中で他人の物だと知っても10年のままです。
「時効の中断」という言葉はもう使わないのですか?
2020年4月1日施行の民法改正で条文からなくなり、「時効の更新」に置き換わりました。あわせて「時効の停止」も「時効の完成猶予」になっています。旧法の中断は期間がリセットされる制度でしたが、言葉が実態に合っていないという指摘を受けて改められたものです。
更新と完成猶予の違いは何ですか?
更新は、それまで進んだ期間がリセットされてゼロから数え直しになることです。完成猶予は、一定の期間だけ時効が完成しないというもので、期間はリセットされません。判決の確定や債務の承認は更新、仮差押えや催告は完成猶予にとどまります。
所有権も時効で消滅しますか?
消滅しません。所有権は消滅時効にかからないというのが民法の原則です。ただし、他人がその不動産を時効取得した結果として、元の所有者が所有権を失うことはあります。消滅時効と取得時効の反射的効果は別物として整理してください。
時効が完成した後に「払います」と言ってしまったらどうなりますか?
判例によれば、時効完成後に債務を承認した債務者は、たとえ時効が完成していることを知らなかったとしても、その後に時効を援用することは信義則上許されません。時効の完成に気づいたら、まず援用することが重要です。