【宅建】国土利用計画法の事後届出を完全整理|2,000・5,000・10,000㎡と2週間
宅建試験でほぼ毎年「問22」で出る国土利用計画法を徹底整理。事後届出の面積要件(市街化区域2,000㎡・その他の都市計画区域5,000㎡・都市計画区域外10,000㎡)、権利取得者が2週間以内に市町村長を経由して届け出るしくみ、届出が必要な契約と不要な契約(交換は必要・贈与や相続は不要)、一団の土地の考え方、勧告は利用目的だけで契約は有効、監視区域の6週間前までの事前届出まで。過去問の実例つきで解説します。
最終更新:2026-08-09
法令上の制限で、これほど出題箇所が読める分野は他にありません。国土利用計画法は、令和2年度から令和6年度まで、5年連続で「問22」に出題されています。
しかも問われる内容がほとんど固定されていて、面積の数字と期間の数字、そして届出が必要な契約かどうかの3点に集中します。範囲が狭いわりに配点は他の問題と同じ1点なので、コストパフォーマンスは法令上の制限の中で最上位です。
この記事では、まず制度の骨格を押さえてから、実際に本試験で問われた形に沿って数字を確認していきます。1時間かければ、この1点はほぼ固定できます。
何のための法律か — 土地の投機を抑える
国土利用計画法は、地価の高騰と投機的な取引を抑えるためにつくられた法律です。
背景にはバブル期の反省があります。転売目的で土地が次々と売買され、地価が実体からかけ離れて跳ね上がり、住宅を必要とする人が手を出せなくなりました。そこで国が、大きな土地の取引を把握して、変な使い方をしようとしているなら口を出せる仕組みを整えたわけです。
ここから2つの性格が導けます。まず、把握したいのは大きな土地だけなので、面積が小さければ届出は不要です。次に、目的は土地の使われ方の適正化なので、規制の対象になるのは主に「利用目的」であって、価格そのものではありません。この2点が、後で出てくる細かいルールの土台になります。
事後届出の3点セット — 誰が・いつまでに・どこへ
通常の区域で適用されるのが事後届出制です。まずこの3つを固めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届け出るのは誰か | 権利取得者(買主側)だけ。売主は不要 |
| いつまでに | 契約を締結した日から起算して2週間以内 |
| どこへ | 市町村長を経由して都道府県知事へ |
売主が届け出なくてよいのは、この法律が「これから土地をどう使うのか」を知りたい制度だからです。売って手を引く人に利用目的を聞いても意味がありません。買った人だけが届け出る、と理解すれば覚える必要すらなくなります。
経由先が市町村長である点も頻出です。届出を受け取るのは市町村長ですが、審査して勧告するのは都道府県知事です。窓口と判断者が違う、と押さえてください。
そして「契約を締結した日から」という起算点も大切です。引渡しや代金支払いの日ではありません。
【最重要】面積要件 2,000・5,000・10,000
この記事でいちばん覚えるべき表です。
| 土地の場所 | 届出が必要な面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 |
| 市街化区域以外の都市計画区域(市街化調整区域・非線引き区域) | 5,000㎡以上 |
| 都市計画区域外(準都市計画区域を含む) | 10,000㎡以上 |
数字の並びは2,000・5,000・10,000。市街地に近いほど小さい面積で届出が必要になります。人が密集している場所ほど、土地の使われ方が周囲に与える影響が大きいからです。盛土規制法などでも同じ発想が出てくるので、法令上の制限に共通する考え方として持っておくと応用が利きます。
実際の出題を見てみましょう。令和6年度問22の選択肢1は「市街化区域以外の都市計画区域内の4,000㎡の土地について地上権の設定を受ける契約を締結した場合、事後届出を行わなければならない」というものでした。
答えは誤りです。市街化区域以外の都市計画区域では5,000㎡以上が必要なので、4,000㎡では基準に届きません。境目のすぐ下の数字を出してくるのが典型的な作り方です。
確認問題(面積要件)
国土利用計画法の事後届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 市街化区域内の1,500㎡の土地を購入した者は、事後届出を行わなければならない。
- 市街化調整区域内の4,000㎡の土地を購入した者は、事後届出を行わなければならない。
- 都市計画区域外の12,000㎡の土地を購入した者は、事後届出を行わなければならない。
- 都市計画区域外の土地については、面積にかかわらず事後届出は不要である。
正解:3
正解は③。都市計画区域外は10,000㎡以上が対象なので、12,000㎡は届出が必要です。①市街化区域は2,000㎡以上なので1,500㎡は不要。②市街化区域以外の都市計画区域は5,000㎡以上なので4,000㎡は不要(令和6年度問22の類題)。④面積要件を満たせば必要です。
届出が必要な「土地売買等の契約」とは
面積を満たしていても、そもそも対象となる契約でなければ届出は不要です。判断の軸は3つあります。
- 権利性……所有権・地上権・賃借権の移転または設定であること(抵当権や質権の設定は対象外)
- 対価性……対価を得て行われること
- 契約性……契約であること(相続や時効取得のような契約によらない移転は対象外)
この3つで整理すると次のようになります。
| 取引 | 届出の要否 | 理由 |
|---|---|---|
| 売買 | 必要 | 3要件をすべて満たす |
| 交換 | 必要 | 相手の土地が対価にあたる |
| 予約 | 必要 | 予約の段階で対象となる |
| 贈与 | 不要 | 対価がない |
| 相続・遺贈 | 不要 | 契約ではない |
| 抵当権の設定 | 不要 | 対象となる権利ではない |
| 対価のない賃借権の設定 | 不要 | 対価がない |
ここで最も狙われるのが交換です。令和6年度問22の選択肢2は「金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、届出を行う必要はない」というものでしたが、これは誤りでした。対価は金銭に限られず、相手から受け取る土地そのものが対価にあたるからです。「お金が動いていないから不要」という直感は通用しません。
なお、当事者の一方または双方が国や地方公共団体等である場合には届出は不要です。国が自分に届け出ても意味がないからです。
確認問題(対象となる契約)
国土利用計画法の事後届出に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、面積要件はいずれも満たしているものとする。
- 土地の贈与を受けた者は、事後届出を行う必要はない。
- 金銭の授受を伴わない土地の交換契約では、事後届出を行う必要はない。
- 相続により土地を取得した者は、事後届出を行う必要はない。
- 土地に抵当権の設定を受けた者は、事後届出を行う必要はない。
正解:2
正解は②(誤り)。交換では相手方から取得する土地が対価にあたるため、金銭の授受がなくても届出が必要です(令和6年度問22)。①贈与は対価がなく不要、③相続は契約ではなく不要、④抵当権は対象となる権利ではないため不要です。
一団の土地 — 小分けにしても逃げられない
面積要件があるなら、大きな土地を1,000㎡ずつに分けて何回かに分けて買えば届出を免れるのでは、と考える人が出てきます。これを封じるのが一団の土地の考え方です。
事後届出では、権利取得者が取得する一団の土地の合計面積で判定します。市街化区域内で1,500㎡と1,000㎡の隣接する土地を同一人が買えば、合計2,500㎡となり届出が必要です。契約を分けても、売主が違っても、買主から見て一体として利用される土地なら合算されます。
判定が買主側を基準にすることから「買いの一団」と呼ばれます。事後届出は買主だけが届け出る制度なので、判定も買主基準になる、と考えれば一貫しています。
逆に、売主が一団の土地を複数の買主にバラバラに売った場合、買主それぞれの取得面積が基準に達しなければ、誰も届け出る必要はありません。
確認問題(一団の土地)
市街化区域内において、Aが所有する1,200㎡の土地とBが所有する1,000㎡の土地(両者は隣接し一体として利用される)を、Cがそれぞれ購入した場合の事後届出に関する記述として正しいものはどれか。
- それぞれ2,000㎡未満なので、Cは事後届出を行う必要はない。
- 合計2,200㎡となるため、Cは事後届出を行わなければならない。
- 売主が異なるため、面積を合算することはできない。
- A及びBが事後届出を行わなければならない。
正解:2
正解は②。事後届出では権利取得者が取得する一団の土地の合計で判定します(買いの一団)。売主が異なっても、買主から見て一体として利用される土地であれば合算され、2,200㎡は市街化区域の2,000㎡以上に該当します。④届出義務者は権利取得者であるCです。
勧告できるのは利用目的だけ、契約は有効
届出を受けた都道府県知事は、その土地の利用目的が公表されている土地利用に関する計画に適合しないなどの場合、利用目的について必要な変更をすべきことを勧告できます。勧告は、届出があった日から起算して3週間以内に行わなければなりません。
ここで極めて重要なのが、事後届出では対価の額について勧告できないという点です。届出事項には対価の額も含まれますが、それはあくまで参考情報で、価格が高すぎるからといって是正を求めることはできません。すでに契約が済んでいる以上、価格に口を出しても意味がないからです。
そして、勧告に従わなかった場合はどうなるか。知事はその旨と勧告の内容を公表することができます。これだけです。罰則はありませんし、契約が無効になることもありません。社会的な制裁にとどめる、という穏やかな設計です。
ただし、届出そのものをしなかった場合は別です。無届出には6ヶ月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則があります。令和6年度問22の選択肢3は「届出をしなかった者は勧告を受けることはあるが罰則の適用を受けることはない」というもので、これは誤りでした。
混同しないよう整理すると、勧告に従わない場合は公表のみ、届出をしなかった場合は罰則あり、そして契約自体はどちらの場合も有効、となります。
確認問題(勧告と罰則)
事後届出に係る勧告等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 都道府県知事は、届出に係る対価の額が著しく高い場合、その引下げを勧告することができる。
- 勧告に従わなかった者は、6ヶ月以下の拘禁刑に処せられる。
- 事後届出を行わなかった者は、罰則の適用を受けることがある。
- 事後届出を行わずに締結した契約は、無効となる。
正解:3
正解は③。無届出には6ヶ月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金があります(令和6年度問22)。①事後届出では対価の額について勧告できません。②勧告に従わない場合は公表にとどまり、罰則はありません。④届出をしなくても契約自体は有効です。
もう一歩:事前届出と許可制
ここまでは通常の区域の話でした。地価の上昇が激しい区域では、より強い規制がかかります。
| 区域 | 規制 | 審査の対象 |
|---|---|---|
| (指定なし) | 事後届出 | 利用目的のみ |
| 注視区域 | 事前届出 | 利用目的と対価の額 |
| 監視区域 | 事前届出(面積要件を規則で引き下げ) | 利用目的と対価の額 |
| 規制区域 | 許可制 | — |
事前届出では、契約を締結しようとする当事者の双方が、契約締結の少なくとも6週間前までに届け出なければなりません。事後届出と違い、売主も届け出る点に注意してください。まだ契約前なので、価格についても審査できます。
令和6年度問22の正解肢は、まさにこの点でした。「監視区域に指定された市街化区域内の2,500㎡の土地について売買契約を締結しようとする当事者は、契約締結の少なくとも6週間前までに事前届出を行わなければならない」が正しい記述です。監視区域では都道府県の規則で面積要件が引き下げられるため、市街化区域の2,000㎡より小さい面積でも届出が必要になることがあります。
規制区域は許可制で、許可を受けずに締結した契約は無効になります。届出制では契約が有効なのと対照的です。もっとも、規制区域は現在まで一度も指定された実績がありません。試験では「規制区域=許可制=無効」という対比を覚えておけば十分です。
確認問題(事前届出)
注視区域および監視区域における事前届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 事前届出は、権利取得者のみが行えばよい。
- 事前届出は、契約締結後2週間以内に行わなければならない。
- 事前届出では、利用目的だけでなく対価の額についても勧告の対象となる。
- 監視区域では、面積要件は事後届出と同じである。
正解:3
正解は③。事前届出は契約前に行うため、対価の額についても審査・勧告の対象となります。①当事者双方が届け出ます。②契約締結の少なくとも6週間前までです。④監視区域では都道府県の規則で面積要件が引き下げられます(令和6年度問22)。
試験ポイント:①事後届出は権利取得者のみが、契約日から2週間以内に、市町村長を経由して知事へ。②面積は市街化区域2,000㎡・その他の都市計画区域5,000㎡・都市計画区域外10,000㎡以上。③交換は届出が必要(土地が対価)、贈与・相続・抵当権は不要。④一団の土地は買主基準で合算。⑤勧告は利用目的のみ・届出から3週間以内・従わなければ公表のみ・契約は有効。⑥無届出には罰則あり。⑦事前届出(注視・監視)は当事者双方が6週間前までで対価も審査、規制区域は許可制で無許可契約は無効。
確認問題(まとめ)
本試験の問22はこの水準で出ます。
確認問題(事後届出の総合)
国土利用計画法の事後届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 事後届出は、契約を締結した日から起算して3週間以内に行わなければならない。
- 事後届出は、売主と買主の双方が行わなければならない。
- 事後届出は、都道府県知事に対し市町村長を経由して行う。
- 都道府県から土地を購入した場合であっても、面積要件を満たせば事後届出が必要である。
正解:3
正解は③。①2週間以内です(3週間は知事が勧告できる期間で、別の数字です)。②届出義務者は権利取得者のみです。④当事者の一方または双方が国や地方公共団体等である場合、届出は不要です。
確認問題(数字の整理)
国土利用計画法に関する数字として誤っているものはどれか。
- 事後届出の期限は、契約を締結した日から2週間以内である。
- 知事が勧告を行う期限は、届出があった日から3週間以内である。
- 監視区域における事前届出は、契約締結の少なくとも6週間前までに行う。
- 市街化区域における事後届出の面積要件は、5,000㎡以上である。
正解:4
正解は④(誤り)。市街化区域は2,000㎡以上です。5,000㎡以上は市街化区域以外の都市計画区域の要件です。①②③はいずれも正しい数字です。
まとめ
国土利用計画法は、令和2年度から令和6年度まで5年連続で問22に出ている、出題位置まで読める分野です。覚える内容も、面積3つ・期間3つ・対象になる契約かどうか、というだけで完結します。
面積は2,000・5,000・10,000で、市街地に近いほど厳しい。期間は届出が2週間、勧告が3週間、事前届出が6週間前まで。この6つの数字を紙に書き出して覚えてしまえば、あとは交換が必要で贈与が不要という対象判定を押さえるだけです。
法令上の制限は8問中6問正解が現実的な目標とされますが、その6問には確実に取れる分野を組み込む必要があります。国土利用計画法は、その筆頭候補です。直前期に短時間で仕上げられるので、まだ手をつけていないなら今が好機です。
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よくある質問
事後届出はいつまでに行いますか?
土地売買等の契約を締結した日から起算して2週間以内です。届出先は都道府県知事ですが、市町村長を経由して提出します。引渡しや代金支払いの日ではなく、契約締結の日が起算点である点に注意してください。
事後届出が必要な面積を教えてください。
市街化区域は2,000㎡以上、市街化区域以外の都市計画区域(市街化調整区域・非線引き区域)は5,000㎡以上、都市計画区域外(準都市計画区域を含む)は10,000㎡以上です。市街地に近いほど小さい面積で届出が必要になります。
土地を交換した場合も届出が必要ですか?
必要です。対価は金銭に限られず、相手方から取得する土地そのものが対価にあたるためです。金銭の授受がないから不要、というのは誤りで、令和6年度問22でも問われました。一方、贈与は対価がないため不要です。
届出をしないと契約は無効になりますか?
なりません。届出制の場合、届出を怠っても契約自体は有効です。ただし無届出には6ヶ月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則があります。契約が無効になるのは、許可制である規制区域で許可を受けずに契約した場合です。
勧告に従わないとどうなりますか?
都道府県知事は、勧告に従わない旨とその勧告の内容を公表することができます。公表のみで、罰則はありません。なお事後届出で勧告できるのは土地の利用目的についてだけで、対価の額について勧告することはできません。