【宅建】宅建士の登録と宅建士証を完全整理|3ステップ・法定講習・登録の移転

宅建試験に合格したあとの「登録」と「宅地建物取引士証」を宅建業法の出題目線で整理。合格・登録・宅建士証交付の3ステップ、2年の実務経験と登録実務講習(国土交通大臣指定)、登録の欠格事由、宅建士証の有効期間5年と法定講習の6ヶ月ルール(合格後1年以内は免除)、変更の登録と30日以内の届出、登録の移転、提示義務と返納・提出まで。業者の「免許」との混同を断ち切ります。

最終更新:2026-08-09

宅建業法で毎年のように出題されるのに、意外と後回しにされがちなのが「宅建士本人に関するルール」です。当サイトの過去問を数えると、登録や宅地建物取引士証に触れている設問は54問。令和4年・令和5年・令和6年とすべて出ています。

そして、この分野の失点はほぼ1つの原因に集約されます。宅建業者の「免許」と、宅建士個人の「登録」を混同することです。

免許は会社(業者)に与えられるもの、登録は人に与えられるもの。有効期間も、手続き先も、欠格事由も別物です。本試験はここを承知のうえで、免許のルールを登録の話に紛れ込ませてきます。この記事で境界線をはっきりさせておきましょう。

合格しただけでは宅建士ではない — 3つのステップ

まず全体像です。試験に合格した人が宅建士として働けるようになるまでには、3段階あります。

ステップ手続き有効期間
① 試験に合格一生有効(期限なし)
② 登録受験した都道府県の知事に申請一生有効(更新なし)
③ 宅地建物取引士証の交付登録している知事に申請5年(更新あり)

合格しても登録しなければ宅建士ではありませんし、登録しても宅建士証の交付を受けなければ重要事項説明はできません。3つそろって初めて宅建士として仕事ができる、という構造です。

期間の対比が重要です。合格と登録には期限がなく、期限があるのは宅建士証だけ。宅建士証は5年ごとに更新します。「登録は5年ごとに更新」と書かれていたら誤りです。

確認問題(3つのステップ)

宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士の登録は、5年ごとに更新を受けなければならない。
  2. 宅地建物取引士資格試験の合格は、合格した日から10年を経過すると効力を失う。
  3. 宅地建物取引士証の有効期間は5年であり、更新を受けることができる。
  4. 登録を受けた者は、宅地建物取引士証の交付を受けていなくても重要事項の説明を行うことができる。

正解:3

正解は③。①登録に更新はなく、一生有効です。②試験の合格に期限はありません。④重要事項の説明を行うには宅地建物取引士証の交付を受けている必要があります。

登録には2年の実務経験、なければ登録実務講習

登録を受けるには、宅地建物の取引に関する実務経験が2年以上あることが原則です。

実務経験が足りない人は、登録実務講習を受けて修了すれば、2年の実務経験があるものとみなされます。多くの合格者がこのルートを通ります。

ここで令和6年度の本試験(問29)が突いてきたポイントがあります。この登録実務講習を指定するのは、都道府県知事ではなく国土交通大臣です。選択肢では「都道府県知事が指定する講習」と書かれていて、これが誤りでした。

同じ選択肢には「試験に合格した日から1年以内に登録を受けようとするとき」という条件も紛れ込んでいましたが、こちらも引っかけです。1年以内という期間が意味を持つのは後で出てくる宅建士証の法定講習の場面であって、登録実務講習とは無関係です。似た数字を別の制度に移し替えるのは、この分野の常套手段です。

確認問題(登録の要件)

宅地建物取引士の登録に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 実務経験が2年に満たない者は、都道府県知事が指定する講習を受講すれば登録を受けることができる。
  2. 実務経験が2年に満たない者は、国土交通大臣が指定する登録実務講習を修了すれば登録を受けることができる。
  3. 実務経験が2年に満たない者は、いかなる場合も登録を受けることができない。
  4. 登録は、試験に合格した日から1年以内に申請しなければならない。

正解:2

正解は②。登録実務講習を指定するのは国土交通大臣です(令和6年度問29)。①「都道府県知事が指定する」は誤り。③講習により登録可能です。④登録の申請に期限はありません。

登録の欠格事由 — 免許と似ているが同じではない

次の者は登録を受けることができません。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 宅建業法違反、暴力的な犯罪、背任の罪により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
  • 不正の手段で免許を受けたことなどにより免許を取り消され、5年を経過しない者
  • 事務禁止処分を受け、その期間中に本人の申請により登録が消除され、まだ期間が満了していない者
  • 暴力団員またはやめてから5年を経過しない者
  • 未成年者で、宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない者

罰金刑で欠格になるのは、あらゆる罰金ではなく、宅建業法違反・暴力的な犯罪・背任に限られる点に注意してください。たとえば道路交通法違反の罰金では欠格になりません。取引の安全と信用に直結する犯罪だけを拾っている、と理解すると自然です。

また、破産については「復権を得れば直ちに登録できる」という点が頻出です。5年を待つ必要はありません。借金の整理が終わった人をいつまでも排除する理由がないからです。5年が付くものと付かないものの区別は、意識して覚えてください。

宅建士証の交付と法定講習 — 6ヶ月と1年

登録を済ませたら、登録している都道府県知事に宅建士証の交付を申請します。

このとき、交付の申請前6ヶ月以内に行われる法定講習(都道府県知事が指定する講習)を受講しなければなりません。法改正や実務の最新情報を頭に入れてから現場に出てもらう、という趣旨です。

ただし例外があります。試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受ける場合は、法定講習が免除されます。合格直後であれば、試験勉強で最新の法令知識が頭に入っているはずだからです。

場面法定講習
試験合格から1年以内に交付を受ける不要
試験合格から1年を超えてから交付を受ける申請前6ヶ月以内の受講が必要
5年ごとの更新申請前6ヶ月以内の受講が必要

「6ヶ月」と「1年」という2つの数字が同じ制度の中にあるので、入れ替えて出題されます。講習の有効期間が6ヶ月、免除される猶予が1年、と紐づけて覚えましょう。

確認問題(宅建士証と法定講習)

宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、交付の申請前1年以内に行われる法定講習を受講しなければならない。
  2. 試験に合格した日から1年以内に宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、法定講習を受講する必要がない。
  3. 宅地建物取引士証の有効期間が経過して効力を失った場合、返納する必要はない。
  4. 宅地建物取引士証は、登録を受けた都道府県以外の知事に交付を申請することができる。

正解:2

正解は②。①法定講習は申請前6ヶ月以内のものです。③有効期間の経過により効力を失った場合でも、交付を受けた知事に遅滞なく返納しなければなりません(令和6年度問29)。④交付申請は登録している知事に対して行います。

変更の登録は「遅滞なく」、死亡等の届出は「30日以内」

登録内容に変更があったときの手続きは、2種類あります。似ているようで期限が違うので、表で分けます。

手続きいつ対象
変更の登録遅滞なく氏名・住所・本籍、勤務先業者の商号または名称・免許証番号
死亡等の届出30日以内死亡、破産、欠格事由への該当など

変更の登録で見落とされやすいのが住所です。引っ越しただけでも変更の登録が必要になります。宅建士証にも住所が記載されているため、書き換えが必要になるからです。

死亡等の届出は30日以内ですが、死亡の場合だけは起算点が特殊で、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内となります。亡くなった本人は届出できませんし、相続人が事実を知る前から日数を数えるのは酷だからです。

登録の移転 — できるのは勤務先が変わったときだけ

登録は、受験した都道府県の知事のもとにあります。では、東京都で登録した人が大阪の会社に転職したらどうなるか。ここで登場するのが登録の移転です。

登録の移転は、登録している都道府県以外の都道府県にある宅建業者の事務所に勤務することとなったとき、または勤務しているときに、現在の知事を経由して移転先の知事に申請できます。

押さえるべき点が3つあります。

  • あくまで任意である……移転しなければならない義務ではなく、「できる」規定
  • 住所の移転では申請できない……引っ越しただけでは不可。基準は勤務先の事務所の所在地
  • 事務禁止処分の期間中は申請できない……処分から逃れるための移転を防ぐため

そして最頻出なのが、移転後に交付される宅建士証の有効期間です。新しく5年になるのではなく、従前の宅建士証の残存期間がそのまま引き継がれます。転居のたびに5年へリセットできてしまうと、法定講習を受けずに更新を先延ばしできてしまうからです。

確認問題(登録の移転)

登録の移転に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 登録している都道府県以外の都道府県に住所を移転したときは、登録の移転を申請しなければならない。
  2. 登録の移転の申請は、移転先の都道府県知事に直接行う。
  3. 事務の禁止の処分を受け、その禁止の期間中である者は、登録の移転を申請することができない。
  4. 登録の移転をした場合、新たに交付される宅地建物取引士証の有効期間は5年となる。

正解:3

正解は③。①住所の移転では申請できず、また移転は任意です。②現在登録している知事を経由して申請します。④有効期間は従前の宅地建物取引士証の残存期間となります。

提示義務と、返納・提出の使い分け

宅建士証には2つの提示義務があります。

1つは重要事項の説明をするときで、これは相手方から請求がなくても提示しなければなりません。もう1つは取引の関係者から請求があったときで、こちらは請求があれば提示します。重説のときだけ無条件、と覚えてください。重要事項説明は宅建士だけができる独占業務なので、本物の宅建士であることを必ず示させる趣旨です。

なお、重要事項説明の際に提示を怠ると、10万円以下の過料に処せられることがあります。

最後に、返納と提出の区別です。

場面手続き
登録が消除されたとき/宅建士証が効力を失ったとき交付を受けた知事に遅滞なく返納
事務の禁止の処分を受けたとき交付を受けた知事に速やかに提出

違いは、戻ってくるかどうかです。事務禁止は一時的な処分なので、期間が満了して本人から返還請求があれば直ちに返してもらえます。だから「提出」。一方、登録消除や有効期間切れは宅建士でなくなる話なので、返す先はあっても戻ってはきません。だから「返納」です。

なお令和6年度問29では、「有効期間が経過して効力を失った場合、返納する必要はない」という選択肢が誤りとして出題されました。失効しても返納は必要です。

試験ポイント:①合格・登録は一生有効、期限があるのは宅建士証(5年)だけ。②登録実務講習を指定するのは国土交通大臣。③法定講習は申請前6ヶ月以内、ただし合格後1年以内の交付なら免除。④変更の登録は遅滞なく(住所変更も必要)、死亡等の届出は30日以内(死亡は相続人が知った日から)。⑤登録の移転は任意・勤務先基準・事務禁止期間中は不可・有効期間は従前の残存期間。⑥重説時は請求がなくても提示。⑦失効・消除は返納、事務禁止は提出。

確認問題(まとめ)

免許のルールと混ざっていないか、確認しましょう。

確認問題(登録の総合)

宅地建物取引士の登録に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得れば直ちに登録を受けることができる。
  2. 道路交通法違反により罰金の刑に処せられた者は、その日から5年間は登録を受けることができない。
  3. 登録を受けている者が死亡した場合、相続人はその事実を知った日から30日以内に届け出なければならない。
  4. 登録を受けている者が住所を変更したときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければならない。

正解:2

正解は②(誤り)。罰金刑で欠格となるのは、宅建業法違反・暴力的な犯罪・背任の罪の場合に限られます。道路交通法違反の罰金では欠格事由になりません。①③④はいずれも正しい記述です。

確認問題(宅建士証の総合)

宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 取引の関係者から請求があった場合でも、重要事項の説明時以外は提示する必要がない。
  2. 事務の禁止の処分を受けたときは、宅地建物取引士証を交付を受けた知事に返納しなければならない。
  3. 重要事項の説明をするときは、相手方から請求がなくても宅地建物取引士証を提示しなければならない。
  4. 宅地建物取引士証の記載事項に変更があっても、書換え交付の申請は不要である。

正解:3

正解は③。①取引関係者から請求があれば提示が必要です。②事務禁止処分の場合は「提出」であり、期間満了後に返還請求すれば返してもらえます。④氏名や住所が変わった場合は変更の登録とあわせて宅地建物取引士証の書換え交付を申請します。

まとめ

この分野は、免許と登録の対比で整理すると一気に見通しが良くなります。免許は会社に与えられ5年ごとの更新が必要、登録は人に与えられ更新は不要、期限があるのは宅建士証だけ。この3点を軸に置いてください。

数字は「6ヶ月」「1年」「30日」「5年」と出てきますが、それぞれに理由があります。法定講習が6ヶ月以内なのは知識の鮮度のため、合格後1年以内が免除なのは試験直後だから、死亡等が30日以内なのは相続人の事情を考慮したため、宅建士証が5年なのは定期的に講習を受けさせるため。理由とセットにすれば、入れ替え問題にも動じません。

宅建業法は20問。ここは知識問題なので、覚えれば必ず取れます。合格者と不合格者の差がつきやすいのは、まさにこういう分野です。

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よくある質問

宅建試験の合格に有効期限はありますか?

ありません。試験の合格は一生有効です。登録にも更新はなく一生有効で、期限があるのは宅地建物取引士証(5年)だけです。ただし合格から1年を超えて宅建士証の交付を受ける場合は、申請前6ヶ月以内の法定講習が必要になります。

実務経験が2年ないと宅建士になれませんか?

なれます。国土交通大臣が指定する登録実務講習を修了すれば、2年以上の実務経験があるものとみなされて登録できます。なお講習を指定するのは都道府県知事ではなく国土交通大臣で、ここは令和6年度の本試験で問われました。

引っ越したら登録の移転が必要ですか?

必要ありません。住所が変わっただけでは登録の移転はできず、必要なのは「変更の登録」です。登録の移転ができるのは、登録している都道府県以外にある宅建業者の事務所に勤務することとなったときで、しかも任意(できる規定)です。

登録の移転をすると宅建士証の有効期間はどうなりますか?

従前の宅地建物取引士証の残存期間がそのまま引き継がれます。新たに5年になるわけではありません。移転を繰り返して法定講習を回避できないようにするための規定です。

宅建士証はいつ提示しなければなりませんか?

2つの場面があります。重要事項の説明をするときは相手方からの請求がなくても提示しなければならず、怠ると10万円以下の過料の対象になります。それ以外でも、取引の関係者から請求があったときは提示が必要です。

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