【宅建】媒介契約3種類の違いを表で完全整理|有効期間3ヶ月・報告・指定流通機構の日数
宅建業法の媒介契約を一枚の表で整理。一般・専任・専属専任の違い、有効期間3ヶ月と更新のルール、業務処理状況の報告(2週間に1回・1週間に1回)、指定流通機構への登録期限(7日以内・5日以内)、媒介契約書面の記名押印は宅建士ではなく宅建業者であること、価額の根拠明示や建物状況調査のあっせんまで。数字の入れ替えで確実に得点できるようにまとめました。
最終更新:2026-08-09
宅建業法20問のうち、ほぼ毎年1問は媒介契約から出ます。当サイトに収録している過去問を数えると、媒介契約に触れている設問は41問。令和4年・令和5年・令和6年もすべて出題されています。
それでいて、多くの受験生がここで取りこぼします。理由ははっきりしていて、3種類の契約それぞれに「3ヶ月」「2週間」「1週間」「7日」「5日」と数字が散らばっているからです。しかも本試験では、その数字をきれいに入れ替えて出してきます。
逆に言えば、表を1枚頭に入れておけば確実に取れる1点でもあります。この記事では、まず全体の表を示してから、数字の一つひとつに理屈をつけて覚えられるように解説します。
そもそも媒介契約とは
家を売りたい人が、不動産会社に「買い手を探してください」と依頼する契約が媒介契約です。宅建業法34条の2に規定があります。
ここで宅建業法が神経を使っているのは、依頼者が圧倒的に情報弱者だという点です。売主は不動産取引の素人で、相場も分からなければ、業者がちゃんと売る努力をしているかも見えません。放っておくと、業者が物件を囲い込んで自分の客だけに売ろうとしたり、何ヶ月も放置したりする危険があります。
そこで法律は、依頼者を縛るタイプの契約ほど業者に重い義務を課す、という設計にしました。この「縛りが強いほど義務も重い」という原則が分かっていれば、数字の大小はほぼ推測できます。表を見る前に、まずこの一文だけ覚えてください。
【最重要】3種類の違いを1枚の表で
これが本記事の核心です。
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 他の業者にも依頼できるか | できる | できない | できない |
| 自分で見つけた相手と契約できるか | できる | できる | できない |
| 有効期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
| 業務処理状況の報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 指定流通機構への登録 | 義務なし | 契約日から7日以内 | 契約日から5日以内 |
縦に見ると、右へ行くほど依頼者の自由が減り、そのぶん業者の義務が重くなっているのが分かります。一般は依頼者が自由なので業者に義務はほぼなし。専属専任は依頼者が完全に手足を縛られるかわりに、業者は1週間に1回報告し、5日以内に物件情報を公開しなければなりません。
専任と専属専任の唯一の違いは「自分で見つけた相手と直接契約できるか」です。専属専任の「専属」は、依頼者が業者に専属する、つまり自分で客を見つけてきても必ずその業者を通さなければならない、という意味だと考えてください。
確認問題(3種類の違い)
宅地建物取引業者Aが依頼者Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 専任媒介契約を締結した場合、Bは自ら発見した相手方と直接売買契約を締結することができない。
- 専属専任媒介契約を締結した場合、Aは1週間に1回以上、業務の処理状況をBに報告しなければならない。
- 一般媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えることができない。
- 一般媒介契約を締結した場合、Aは7日以内に当該物件を指定流通機構に登録しなければならない。
正解:2
正解は②。専属専任は1週間に1回以上の報告義務があります。①自己発見取引ができないのは専属専任媒介です。専任媒介では自ら発見した相手と直接契約できます。③④一般媒介契約には有効期間の法的制限も、指定流通機構への登録義務もありません。
有効期間3ヶ月と、更新の落とし穴
専任媒介・専属専任媒介の有効期間は3ヶ月以内です。では、依頼者と業者が合意して6ヶ月と定めたらどうなるでしょうか。
答えは「契約が無効になるのではなく、期間が3ヶ月に短縮される」です。契約そのものは生きたまま、長すぎる部分だけが切り詰められます。依頼者を保護するための規定なので、契約を丸ごと無効にして依頼者を宙ぶらりんにするより、期間だけ直すほうが合理的だからです。
そして更新について、非常に狙われるポイントがあります。
更新は、依頼者からの申出があった場合にのみできます。業者の側から「更新しますね」と言うことはできませんし、契約書に「期間満了後は自動的に更新される」と書いても、その定めは無効です。3ヶ月ごとに依頼者が「まだお願いします」と意思表示する仕組みにすることで、ずるずると縛られ続けるのを防いでいます。もちろん、更新後の期間も3ヶ月以内です。
確認問題(有効期間)
専任媒介契約の有効期間に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 依頼者との合意があれば、有効期間を6ヶ月と定めることができる。
- 有効期間を6ヶ月と定めた場合、媒介契約全体が無効となる。
- 有効期間は、依頼者の申出により更新することができるが、更新後の期間も3ヶ月を超えることはできない。
- 媒介契約に自動更新の特約を定めた場合、その特約は有効である。
正解:3
正解は③。①3ヶ月を超える定めはできません。②契約全体が無効になるのではなく、期間が3ヶ月に短縮されます。④自動更新の特約は無効です。更新は依頼者からの申出があった場合に限られます。
報告義務 — 2週間と1週間、そして「申込みがあったとき」
業務処理状況の報告は、専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上です。一般媒介には報告義務がありません。
ここで押さえておきたいのが、報告の方法に決まりがないという点です。令和6年度の本試験(問32)では「その報告は必ずしも書面で行う必要はない」という選択肢が正しいものとして出題されました。条文は回数を定めているだけで、書面を要求していないため、口頭やメールでも構いません。
また、買受けの申込みがまったく無かった期間でも、報告義務はなくなりません。「動きがないので報告しませんでした」は通用しない、ということです。
これとは別に、令和4年の改正で明文化された義務があります。媒介契約の目的物である宅地建物について買受けの申込みがあったときは、業者は遅滞なくその旨を依頼者に報告しなければなりません。こちらは定期報告とは別で、しかも媒介契約の種類を問わず、一般媒介でも必要です。「一般媒介には報告義務がない」と単純に覚えていると足をすくわれます。
確認問題(報告義務)
宅地建物取引業者Aが依頼者Bと専任媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 買受けの申込みがなかった期間については、Aは業務の処理状況を報告する必要がない。
- Aの業務の処理状況の報告は、必ず書面で行わなければならない。
- Aは、当該物件について買受けの申込みがあったときは、遅滞なくその旨をBに報告しなければならない。
- Aは、1週間に1回以上、業務の処理状況をBに報告しなければならない。
正解:3
正解は③。買受けの申込みがあったときの報告義務は、媒介契約の種類を問わず課されます。①申込みがなくても定期報告は必要です。②報告の方法に法律上の制限はなく、口頭でも構いません(令和6年度問32)。④専任媒介は2週間に1回以上です。
指定流通機構(レインズ)への登録 — 7日と5日
専任媒介・専属専任媒介では、物件情報を指定流通機構(通称レインズ)に登録しなければなりません。他社に依頼できない契約なのに物件情報を公開しなければ、業者による囲い込みが起きてしまうからです。
| 媒介契約の種類 | 登録期限 |
|---|---|
| 専任媒介 | 契約締結の日から7日以内 |
| 専属専任媒介 | 契約締結の日から5日以内 |
この日数を数えるときには、業者の休業日を算入しません。土日が休みの業者なら、実質的にはもう少し猶予があることになります。「休業日を含めて7日」と書かれていたら誤りです。
登録したら、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません。これは依頼者が「本当に登録してくれたのか」を確認できるようにするためのものです。依頼者の承諾があれば、電磁的方法で提供することもできます。
さらに、売買契約が成立したときは、遅滞なく指定流通機構に通知します。通知する内容は、登録番号・取引価格・売買契約が成立した年月日の3つです。ここで令和6年度問32の肢1が効いてきます。「引渡しが完了していなければ通知の必要はない」は誤りで、通知の基準は契約の成立であって、引渡しは関係ありません。成約済みの物件がいつまでも掲載され続けるのを防ぐ規定なので、契約が決まった時点で知らせる必要があるわけです。
確認問題(指定流通機構)
指定流通機構への登録等に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 専属専任媒介契約を締結した業者は、契約締結の日から休業日を除き5日以内に登録しなければならない。
- 登録を証する書面は、依頼者の承諾があれば電磁的方法により提供することができる。
- 売買契約が成立した場合、物件の引渡しが完了するまでは指定流通機構に通知する必要がない。
- 成立を通知する際には、登録番号・取引価格・売買契約成立年月日を通知する。
正解:3
正解は③(誤り)。通知義務は売買契約が成立した時点で発生し、引渡しの完了とは関係ありません(令和6年度問32)。①②④はいずれも正しい記述です。
媒介契約書面 — 記名押印するのは宅建士ではない
媒介契約を締結したら、業者は遅滞なく書面を作成し、記名押印して依頼者に交付しなければなりません。
ここが宅建業法全体でも有数のひっかけポイントです。この書面に記名押印するのは宅地建物取引士ではなく、宅地建物取引業者です。35条書面(重要事項説明書)や37条書面が宅建士の記名を要求するのと対照的なので、必ずセットで整理しておいてください。媒介契約は業者と依頼者の間の契約そのものなので、当事者である業者が押印する、と考えれば筋が通ります。
記載事項では、次の2つが繰り返し問われています。
- 国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別……依頼者が宅建業者であっても記載が必要
- 既存建物であるときは、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項……依頼者があっせんを希望しなかった場合でも記載が必要
どちらも令和6年度問32で「記載する必要はない」という誤りの選択肢として登場しました。あっせんを希望しなかったときは「なし」と書く必要がある、という理解が正確です。記載事項は、内容の有無にかかわらず欄そのものを埋める、と覚えてください。
もう一歩:価額について意見を述べるときの根拠
業者が物件の価額や評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません。
意図は明快で、高く売れると言って契約を取り、後から値下げを迫るという手口を防ぐためです。近隣の成約事例や公的な価格指標など、客観的な材料を示す必要があります。
ここで注意したいのは、根拠の明示は書面でなくてもよいという点です。媒介契約書面そのものは書面(または電磁的方法)が必須なのに、価額の根拠は口頭でもよい。この非対称が出題されます。あわせて、根拠を示さなかった場合でも媒介契約自体が無効になるわけではない、という点も押さえておきましょう。
試験ポイント:①縛りが強い契約ほど業者の義務が重い、が全体の原則。②自己発見取引ができないのは専属専任だけ。③有効期間3ヶ月は専任・専属専任のみ、超える定めは3ヶ月に短縮、自動更新は無効、更新は依頼者の申出。④報告は専任2週間・専属専任1週間で口頭可、申込みがあったときの報告は全種類に必要。⑤登録は専任7日・専属専任5日で休業日を除く、成約通知は契約成立が基準。⑥媒介契約書面に記名押印するのは宅建業者(宅建士ではない)。
確認問題(まとめ)
数字の入れ替えを見抜けるか確認しましょう。
確認問題(媒介契約の総合)
媒介契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 媒介契約書面には、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。
- 専任媒介契約において、依頼者が宅地建物取引業者である場合には、標準媒介契約約款に基づくか否かの別を記載する必要はない。
- 業者が価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠を書面で示す必要はない。
- 専属専任媒介契約の有効期間は、依頼者の申出があれば6ヶ月まで延長できる。
正解:3
正解は③。根拠の明示は必要ですが、方法は書面に限られません。①記名押印するのは宅地建物取引業者です。②依頼者が業者であっても記載が必要です(令和6年度問32)。④更新後も3ヶ月以内です。
確認問題(日数の整理)
専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者の義務として正しいものはどれか。
- 契約締結の日から休業日を含めて5日以内に指定流通機構へ登録する。
- 契約締結の日から休業日を除き7日以内に指定流通機構へ登録する。
- 1週間に1回以上、業務の処理状況を報告する。
- 有効期間は制限されない。
正解:2
正解は②。専任媒介は7日以内(休業日を除く)です。①5日以内は専属専任媒介で、かつ休業日は算入しません。③1週間に1回以上は専属専任媒介です。④専任媒介の有効期間は3ヶ月以内に制限されます。
まとめ
媒介契約は、覚える数字こそ多いものの、「依頼者を縛る契約ほど業者の義務が重い」という一本の原則ですべて説明がつきます。専属専任がいちばん厳しく、一般がいちばん緩い。この序列さえ体に入っていれば、2週間と1週間、7日と5日のどちらがどちらか迷うことはありません。
加えて、媒介契約書面の記名押印が宅建業者であること、標準約款の別や建物状況調査のあっせんは内容がなくても記載が必要であること、成約通知の基準が契約成立であって引渡しではないこと。この3つは近年の本試験で実際に問われた論点なので、優先的に押さえてください。
宅建業法は20問と配点が最も大きく、合格者の多くが8割前後を得点します。媒介契約のように出題が読める分野を落とさないことが、そのまま合否に直結します。
宅建道場では宅建業法の過去問・解説を無料公開中。媒介契約は令和4年・5年・6年と連続で出題されています。実際の問題で数字の入れ替えに慣れておきましょう。 宅建業法を演習する →
よくある質問
専任媒介と専属専任媒介の違いは何ですか?
違いは「自分で見つけた相手と直接契約できるかどうか」の一点です。専任媒介では依頼者が自ら発見した相手と直接売買契約を結べますが、専属専任媒介では必ず依頼した業者を通さなければなりません。そのぶん専属専任のほうが業者の義務が重く、報告は1週間に1回以上、指定流通機構への登録は5日以内となります。
一般媒介契約に有効期間の制限はありますか?
法律上の制限はありません。3ヶ月以内という制限がかかるのは専任媒介と専属専任媒介だけです。ただし国土交通大臣が定める標準媒介契約約款では、一般媒介についても3ヶ月以内とされています。試験では「法律上」を問われるので、制限なしが正解になります。
媒介契約書面には宅建士の記名が必要ですか?
不要です。媒介契約書面に記名押印するのは宅地建物取引業者です。宅建士の記名が必要なのは35条書面(重要事項説明書)と37条書面で、こことは区別して覚える必要があります。頻出のひっかけポイントです。
指定流通機構への登録期限に休業日は含まれますか?
含まれません。専任媒介は7日以内、専属専任媒介は5日以内ですが、いずれも宅建業者の休業日は算入しない扱いです。「休業日を含めて」と書かれている選択肢は誤りになります。
売買契約が成立したら、いつ指定流通機構に通知しますか?
契約が成立したら遅滞なく通知します。物件の引渡しが完了しているかどうかは関係ありません(令和6年度問32で問われました)。通知内容は登録番号・取引価格・売買契約が成立した年月日の3つです。