【宅建】法定相続分の計算をわかりやすく|配偶者と子・親・兄弟姉妹のパターン

宅建試験の相続を計算まで含めて整理。相続人の順位(配偶者は常に相続人/第1順位は子・第2順位は直系尊属・第3順位は兄弟姉妹)、1/2・2/3・3/4の法定相続分、代襲相続が起きる場合と起きない場合(放棄では代襲されない理由)、半血の兄弟姉妹は全血の1/2、遺留分は配偶者と子が1/2・直系尊属のみ1/3・兄弟姉妹はなし。計算例と確認問題つきで解説します。

最終更新:2026-08-10

相続は権利関係の中でも計算問題として出しやすい分野で、ほぼ毎年顔を出します。しかも解法が決まっているので、覚えれば確実に得点できます。

つまずくとすれば、順位と割合を混ぜて覚えてしまったときです。「配偶者は2分の1」と丸暗記していると、相手が親のときも兄弟姉妹のときも同じ数字を書いてしまいます。

この記事では、①誰が相続人になるか、②どの割合で分けるか、の2段階に分けて整理します。この順番を守れば、複雑な家族関係の設問でも迷いません。

ステップ1:誰が相続人になるか

相続人には順位があります。上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。

立場順位説明
配偶者常に相続人順位の外にいて、必ず相続人になる
第1順位子がいれば、親や兄弟姉妹は相続人にならない
直系尊属(父母・祖父母)第2順位子がいないときに相続人になる
兄弟姉妹第3順位子も直系尊属もいないときに相続人になる

大切なのは、配偶者だけが順位の枠外にいることです。配偶者は誰が相続人になろうと、必ず一緒に相続人になります。

そして順位は上から順に埋まります。子が1人でもいれば、どんなに親と仲が良くても親は相続人になりません。「子がいない場合に限り親」「子も親もいない場合に限り兄弟姉妹」という段階構造です。

なお内縁の配偶者(婚姻届を出していないパートナー)は相続人になりません。相続は戸籍上の関係で決まります。

ステップ2:どの割合で分けるか

配偶者の取り分は、誰と一緒に相続するかで変わります。ここが最重要の表です。

相続人の組合せ配偶者もう一方
配偶者と子1/21/2
配偶者と直系尊属2/31/3
配偶者と兄弟姉妹3/41/4
配偶者のみ全部
配偶者がいない場合同順位者で全部を均等に

数字は「2分の1・3分の2・4分の3」と、配偶者の取り分が段階的に増えていきます。血縁関係が遠くなるほど配偶者の取り分が増える、と考えると自然です。故人の財産形成に最も貢献したのは配偶者である場合が多く、遠い親族より配偶者を手厚く保護する趣旨です。

子や兄弟姉妹が複数いる場合は、そのグループの取り分をさらに人数で均等に割ります。たとえば配偶者と子3人なら、子のグループの1/2を3人で割って、各自1/6です。

かつては非嫡出子(婚姻外の子)の相続分が嫡出子の半分とされていましたが、最高裁の違憲判断を受けて改正され、現在は**同じ割合**です。古い教材には旧ルールが残っているので注意してください。

確認問題(相続分の基本)

Aが死亡し、相続人が配偶者Bと父Cのみである場合の法定相続分として正しいものはどれか。

  1. B 1/2、C 1/2
  2. B 2/3、C 1/3
  3. B 3/4、C 1/4
  4. B 全部

正解:2

正解は②。配偶者と直系尊属が相続人となる場合、配偶者2/3・直系尊属1/3です。子がいないため第2順位の直系尊属が相続人になります。

兄弟姉妹だけの特別ルール

兄弟姉妹が相続人になる場合、もう1つ覚えることがあります。

父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血)の**2分の1**になります。

具体例で見ます。故人に配偶者と、全血の兄A・半血の弟Bがいるとします。兄弟姉妹全体の取り分は1/4。これをAとBで分けますが、Bは半血なのでAの半分です。したがってA : B = 2 : 1 となり、Aが1/4 × 2/3 = 1/6、Bが1/4 × 1/3 = 1/12 になります。

この半血のルールは兄弟姉妹だけに適用されます。子には適用されません。出題では、これを子の場面に持ち込んでくることがあるので注意してください。

代襲相続 — 起きる場合と起きない場合

相続人になるはずだった人が先に亡くなっている場合、その子が代わりに相続します。これが代襲相続です。

代襲が起きる原因は3つあります。**死亡・相続欠格・廃除**です。この3つはいずれも本人の意思に反して相続権を失う(あるいは失っている)場面なので、その子まで巻き添えにするのは酷だという判断です。

一方、**相続放棄では代襲相続が起きません**。ここが最頻出のひっかけです。

理由は条文の建て付けにあります。相続を放棄した者は「初めから相続人とならなかったもの」とみなされます。最初から相続人でなかった人の子には、代襲するもとの権利が存在しません。放棄は自分の意思による選択なので、その効果は子にも及ぶわけです。

原因代襲相続理由
死亡起きる本人の意思ではない
相続欠格起きる子に責任はない
廃除起きる子に責任はない
相続放棄**起きない**初めから相続人でなかったとみなされる

もう1つの違いは、代襲がどこまで続くかです。子の系統では、孫が亡くなっていればひ孫へと**再代襲**が続きます。しかし兄弟姉妹の系統では**甥・姪までで打ち止め**で、再代襲はありません。関係が遠くなりすぎるのを防ぐためです。

確認問題(代襲相続)

代襲相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 相続を放棄した者の子は、代襲して相続人となる。
  2. 相続欠格により相続権を失った者の子は、代襲して相続人となる。
  3. 兄弟姉妹の代襲相続は、甥・姪の子にも及ぶ。
  4. 被相続人の子が死亡していても、孫は相続人になれない。

正解:2

正解は②。代襲原因は死亡・相続欠格・廃除の3つです。①放棄では代襲は起きません(初めから相続人でなかったとみなされるため)。③兄弟姉妹の代襲は甥・姪までで再代襲しません。④子の系統は孫・ひ孫へと再代襲します。

計算してみる

実際の設問形式で練習します。遺産6,000万円を分けるケースです。

【例1】相続人が配偶者Bと子C・Dの2人。配偶者は1/2で3,000万円。子のグループは1/2の3,000万円を2人で割り、C・D各1,500万円です。

【例2】相続人が配偶者Bと兄弟姉妹E・Fの2人。配偶者は3/4で4,500万円。兄弟姉妹のグループは1/4の1,500万円を2人で割り、E・F各750万円です。

【例3】子Cが先に死亡していて、Cに子G・H(故人の孫)がいる場合。相続人は配偶者Bと、子D、代襲相続人G・H。配偶者が1/2で3,000万円。子のグループの1/2(3,000万円)は、まずDとCの取り分に分かれて各1,500万円。Cの分1,500万円をG・Hが代襲して各750万円です。

コツは、**代襲相続人はもとの相続人の取り分をそのまま引き継ぐ**と考えることです。孫が2人いるからといって、子の人数が増えるわけではありません。

確認問題(計算問題)

Aが死亡し、遺産は8,000万円。相続人は配偶者Bと子C・Dであるが、Cは既に死亡しており、Cには子E・Fがいる。Eの法定相続分として正しいものはどれか。

  1. 1,000万円
  2. 1,333万円
  3. 2,000万円
  4. 4,000万円

正解:1

正解は①。配偶者Bが1/2(4,000万円)、子のグループが1/2(4,000万円)。子のグループはCとDで各2,000万円。Cの2,000万円を代襲相続人E・Fが引き継ぎ、各1,000万円となります。

もう一歩:遺留分と相続放棄の期限

相続分とセットで問われるのが遺留分です。遺言があっても、一定の相続人には最低限の取り分が保障されています。

相続人遺留分(総体的遺留分)
配偶者・子がいる場合遺産の1/2
直系尊属のみが相続人の場合遺産の1/3
兄弟姉妹**なし**

兄弟姉妹に遺留分がない点が最頻出です。兄弟姉妹は故人と生活基盤を共にしていないことが多く、遺言による処分を制限してまで保護する必要性が低いと考えられているためです。

個々の相続人の遺留分は、この総体的遺留分に自分の法定相続分を掛けて求めます。たとえば配偶者と子1人が相続人なら、遺留分全体は1/2、そのうち配偶者の法定相続分は1/2なので、配偶者の遺留分は1/4です。

また相続放棄には期限があります。自己のために相続の開始があったことを知った時から**3ヶ月以内**に、家庭裁判所に申述しなければなりません。この期間を熟慮期間といいます。何もしないまま3ヶ月が過ぎると、単純承認したものとみなされ、借金も引き継ぎます。

確認問題(遺留分)

遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 兄弟姉妹にも遺留分が認められる。
  2. 直系尊属のみが相続人である場合、遺留分は遺産の1/2である。
  3. 配偶者と子が相続人である場合、遺留分は遺産の1/2である。
  4. 遺留分は遺言によって奪うことができる。

正解:3

正解は③。①兄弟姉妹に遺留分はありません。②直系尊属のみの場合は1/3です。④遺留分は遺言によっても奪えません。それが遺留分制度の趣旨です。

試験ポイント:①配偶者は常に相続人。順位は子→直系尊属→兄弟姉妹。②配偶者の取り分は相手が子なら1/2、直系尊属なら2/3、兄弟姉妹なら3/4。③同順位者は均等(非嫡出子も同額)。④半血の兄弟姉妹は全血の1/2。⑤代襲原因は死亡・欠格・廃除の3つ。放棄では代襲しない。⑥子の系統は再代襲あり、兄弟姉妹は甥姪まで。⑦遺留分は配偶者・子で1/2、直系尊属のみで1/3、兄弟姉妹はなし。

確認問題(まとめ)

順位と割合を混同していないか確認しましょう。

確認問題(相続の総合)

相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 配偶者は、常に相続人となる。
  2. 子がいる場合、被相続人の父母は相続人とならない。
  3. 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1である。
  4. 非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1である。

正解:4

正解は④(誤り)。非嫡出子の相続分は最高裁の違憲判断を受けた法改正により、現在は嫡出子と同じです。①②③はいずれも正しい記述です。なお③の半血のルールは兄弟姉妹にのみ適用されます。

確認問題(相続分の計算)

Aが死亡し、相続人は配偶者Bと、Aの兄C・Aの妹D(Dは父母の一方のみを同じくする)である。遺産が1億2,000万円の場合、Dの相続分として正しいものはどれか。

  1. 500万円
  2. 1,000万円
  3. 1,500万円
  4. 3,000万円

正解:2

正解は②。配偶者Bが3/4(9,000万円)、兄弟姉妹のグループが1/4(3,000万円)。全血のCと半血のDは2:1の割合になるので、Cが2,000万円、Dが1,000万円です。

まとめ

相続の計算は、①誰が相続人か、②割合はいくつか、の2段階に分けるだけで格段に解きやすくなります。順位を確定させてから割合の表を当てはめる、という手順を崩さないでください。

数字は「配偶者と子で1/2、直系尊属で2/3、兄弟姉妹で3/4」。血縁が遠くなるほど配偶者の取り分が増える、という理屈で覚えれば混同しません。

そして最頻出のひっかけは、放棄では代襲相続が起きないという点です。死亡・欠格・廃除は代襲するが放棄はしない。「自分で選んだかどうか」が分かれ目だと理解しておけば、本番で迷いません。

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よくある質問

法定相続分の割合を教えてください。

配偶者と子が相続人なら配偶者1/2・子1/2、配偶者と直系尊属なら配偶者2/3・直系尊属1/3、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者3/4・兄弟姉妹1/4です。同順位者が複数いる場合は、そのグループの取り分を人数で均等に分けます。

相続放棄をすると子は代襲相続できますか?

できません。相続を放棄した者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため、その子が代襲するもとの権利が存在しないからです。代襲相続が起きるのは死亡・相続欠格・廃除の3つの場合に限られます。

非嫡出子の相続分は嫡出子の半分ですか?

違います。かつては半分とされていましたが、最高裁の違憲判断を受けた法改正により、現在は嫡出子と同じ割合です。古い教材には旧ルールが載っていることがあるので注意してください。

半血の兄弟姉妹の相続分はどうなりますか?

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血)の2分の1です。このルールは兄弟姉妹にのみ適用され、子には適用されません。

兄弟姉妹に遺留分はありますか?

ありません。遺留分が認められるのは配偶者・子・直系尊属で、割合は配偶者や子がいる場合が遺産の1/2、直系尊属のみが相続人の場合が1/3です。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で全く相続させないことも可能です。

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