【宅建】建蔽率・容積率の計算と緩和をわかりやすく|前面道路・角地・加重平均

宅建試験の建蔽率・容積率を計算まで含めて整理。2つの違い、建蔽率が10%足される角地・防火地域の耐火建築物の緩和と、両方を満たすと20%足されること、建蔽率の制限がなくなる場合、容積率が前面道路の幅員12m未満で下がるしくみ(住居系4/10・その他6/10)、地域をまたぐときの加重平均、延べ面積に算入されない部分まで。計算例と確認問題つきで解説します。

最終更新:2026-08-10

法令上の制限の中で、建蔽率と容積率は計算問題として出題されやすい分野です。しかも解法が完全に決まっているので、手順を覚えれば確実に1点になります。

つまずくのはたいてい、緩和のルールを曖昧にしているときです。「角地だから10%足す」「前面道路が狭いと容積率が下がる」といった処理を、条件つきで正確に思い出せるかどうかで差がつきます。

この記事では、2つの率の違いから始めて、緩和・加重平均・計算例まで順に固めます。

まず、建蔽率と容積率の違い

2つとも「敷地に対してどれだけ建てられるか」を制限するものですが、見ているものが違います。

建蔽率容積率
計算式建築面積 ÷ 敷地面積延べ面積 ÷ 敷地面積
見ているもの真上から見た広がり全階を足した床の量
目的敷地に空地を確保し、防火・通風・採光を守る人口密度を抑え、インフラの負担を抑える

建蔽率は平面の話です。建物を真上から見たときにどれだけ地面を覆うかを制限し、隣家との間に空間を残させます。火災の延焼防止と、風通し・日当たりの確保が狙いです。

容積率は立体の話です。各階の床面積を全部足した量を制限します。床が増えれば住む人・働く人が増え、道路や上下水道の負担が増えるからです。

この違いが分かると、なぜ容積率だけが前面道路の幅員に影響されるのかも理解できます。人が増えるのに道路が狭ければ、街として機能しなくなるからです。

建蔽率の緩和 — 10%ずつ足される2つの条件

都市計画で定められた建蔽率には、条件を満たすと上乗せがあります。

条件加算
特定行政庁が指定する角地+10%
防火地域内で、かつ耐火建築物等を建てる+10%
上の2つを両方満たす**+20%**

角地が緩和されるのは、2方向が道路に接していて、もともと空間が確保されているからです。防火地域の耐火建築物が緩和されるのは、燃えにくい建物なら延焼のおそれが小さく、空地で防ぐ必要性が下がるからです。

どちらも「建蔽率で守ろうとしている目的が、別の手段で達成されている」から緩めてよい、という理屈です。両方満たせば両方足せます。

なお、準防火地域内で耐火建築物または準耐火建築物等を建てる場合も+10%の対象です。防火地域だけと覚えていると取りこぼします。

建蔽率の制限がなくなる場合

さらに進んで、建蔽率の制限そのものが適用されない(=10割まで建てられる)場合があります。

  • 建蔽率が8/10とされている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等
  • 巡査派出所・公衆便所・公共用歩廊など
  • 公園・広場・道路・川などの内にある建築物で、特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて許可したもの

1つ目が頻出です。もともと8/10と高く設定された商業地域などで、燃えない建物を建てるなら、空地を残す意味が乏しいため制限をなくす、という扱いです。「8/10かつ防火地域かつ耐火建築物」の3条件がそろって初めて制限なしになります。

確認問題(建蔽率の緩和)

建蔽率の緩和に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 特定行政庁が指定する角地では、建蔽率が20%加算される。
  2. 防火地域内にある耐火建築物等については、建蔽率が10%加算される。
  3. 角地であり、かつ防火地域内の耐火建築物である場合、加算は10%が限度である。
  4. 建蔽率が8/10の地域では、いかなる場合も制限がなくなる。

正解:2

正解は②。①角地の加算は10%です。③両方の条件を満たせば合計20%加算されます。④8/10の地域で制限がなくなるのは、防火地域内の耐火建築物等である場合に限られます。

容積率は前面道路の幅員で下がることがある

容積率には、都市計画で定められた数値とは別に、道路による制限がかかります。

前面道路の幅員が**12m未満**の場合、次の計算をして、都市計画の数値と比べて**小さいほう**が実際の容積率になります。

用途地域乗じる数
住居系(第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居、田園住居)4/10
その他(近隣商業、商業、準工業、工業、工業専用、用途地域の指定のない区域)6/10

計算式は「前面道路の幅員(m)× 4/10 または 6/10」です。答えは割合(○/10)として出ます。

住居系のほうが厳しい(数字が小さい)のは、静かな住環境を守るためです。商業系は人の出入りが多いことが前提なので、緩めに設定されています。

前面道路が2つ以上ある場合は、**最も広い道路**の幅員で計算します。広い道路に面していれば交通の負担を吸収できるからです。

幅員が12m以上あれば、この計算は不要で、都市計画の数値がそのまま使えます。

確認問題(容積率の計算)

第一種住居地域内にあり、幅員6mの道路に接する敷地について、都市計画で定められた容積率が30/10である場合、この敷地に適用される容積率はどれか。

  1. 30/10
  2. 24/10
  3. 36/10
  4. 20/10

正解:2

正解は②。住居系なので6m×4/10=24/10。都市計画の30/10と比べて小さいほうが適用されるため、24/10となります。前面道路が12m未満のときは必ずこの比較が必要です。

地域をまたぐときは「加重平均」

敷地が2つの用途地域にまたがる場合、建蔽率・容積率は**加重平均**で求めます。

計算手順は、①それぞれの部分の面積に、その地域の率を掛けて上限面積を出す、②それらを合計する、という流れです。

例で見ます。敷地400㎡のうち、240㎡が建蔽率6/10の地域、160㎡が建蔽率5/10の地域にあるとします。240㎡×6/10=144㎡、160㎡×5/10=80㎡。合計224㎡が建築面積の上限です。

ここで重要なのは、**用途制限とは扱いが違う**点です。建物の用途(何を建てられるか)は敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されますが、建蔽率・容積率は面積比で按分します。

この使い分けは頻出です。「過半主義は用途、加重平均は建蔽率・容積率」と紐づけて覚えてください。

確認問題(加重平均)

敷地が用途地域をまたぐ場合の取扱いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 建蔽率は、敷地の過半が属する地域の数値が敷地全体に適用される。
  2. 容積率は、それぞれの地域の数値を面積比で加重平均して算出する。
  3. 建築物の用途制限は、面積比で按分して適用される。
  4. 建蔽率・容積率とも、厳しいほうの数値が敷地全体に適用される。

正解:2

正解は②。建蔽率・容積率は加重平均で求めます。①③用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が全体に適用されます(過半主義)。逆に覚えないよう注意してください。

もう一歩:延べ面積に算入されない部分

容積率の計算では、床面積に入れなくてよい部分があります。

部分不算入の限度
地階(住宅・老人ホーム等の用途に供する部分)住宅等の用途部分の床面積の合計の1/3まで
自動車車庫等延べ面積の1/5まで
共同住宅・老人ホーム等の共用の廊下・階段全部(限度なし)
エレベーターの昇降路全部(限度なし)

共用廊下・階段とエレベーターの昇降路が全部除かれるのは、住戸そのものではなく通行のための空間だからです。ここを算入すると、廊下の広いゆとりある設計が不利になり、かえって住環境が悪化してしまいます。

地階と車庫に限度がある一方、共用部分には限度がない。この差が問われます。

なお、セットバック部分(2項道路で道路とみなされる部分)は、建蔽率・容積率を計算する際の**敷地面積に算入されません**。分母が小さくなるので、建てられる規模も小さくなります。

試験ポイント:①建蔽率=建築面積÷敷地面積、容積率=延べ面積÷敷地面積。②建蔽率の緩和は角地+10%、防火地域の耐火建築物等+10%、両方で+20%。8/10の地域かつ防火地域かつ耐火建築物等なら制限なし。③容積率は前面道路が12m未満なら「幅員×4/10(住居系)または6/10(その他)」と都市計画の数値の小さいほう。道路が複数なら最も広いもので計算。④地域をまたぐときは建蔽率・容積率が加重平均、用途は過半主義。⑤共用廊下・階段とエレベーター昇降路は延べ面積に全部不算入。

確認問題(まとめ)

実際の計算手順で確認しましょう。

確認問題(建蔽率の計算)

準工業地域内にあり、都市計画で定められた建蔽率が6/10の敷地500㎡がある。この敷地が特定行政庁の指定する角地で、かつ防火地域内にあり耐火建築物を建築する場合、建築面積の最高限度はどれか。

  1. 300㎡
  2. 350㎡
  3. 400㎡
  4. 500㎡

正解:3

正解は③。6/10に角地の+10%と防火地域内の耐火建築物の+10%が加算され、合計8/10となります。500㎡×8/10=400㎡です。なお制限がなくなるのは都市計画の建蔽率が8/10の地域の場合であり、本問は6/10なので該当しません。

確認問題(容積率の総合)

容積率に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 前面道路の幅員が12m以上である場合、都市計画で定められた容積率がそのまま適用される。
  2. 前面道路が2以上ある場合、幅員の最も小さいものを基準に計算する。
  3. 共同住宅の共用の廊下・階段の用に供する部分は、延べ面積に算入しない。
  4. エレベーターの昇降路の部分は、延べ面積に算入しない。

正解:2

正解は②(誤り)。前面道路が2以上ある場合は、幅員の最も大きいものを基準に計算します。広い道路に面していれば交通負担を吸収できるためです。①③④はいずれも正しい記述です。

まとめ

建蔽率は平面、容積率は立体。この違いが出発点です。建蔽率の緩和は「別の手段で目的が達成されているから緩める」、容積率の道路制限は「人が増えるのに道路が狭いと困るから絞る」。どちらも理由があって設計されています。

計算手順は決まっています。建蔽率は緩和を足してから掛ける。容積率は道路から出した数値と都市計画の数値を比べて小さいほうを使う。地域をまたぐなら面積比で按分する。この3手順を体に入れてください。

最後に、用途は過半主義・建蔽率と容積率は加重平均という使い分けを忘れないこと。ここを取り違えると、正しく計算できても答えが合いません。

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よくある質問

建蔽率と容積率の違いは何ですか?

建蔽率は建築面積を敷地面積で割ったもので、真上から見た建物の広がりを制限します。容積率は延べ面積(全階の床面積の合計)を敷地面積で割ったもので、建物のボリュームを制限します。建蔽率は空地の確保、容積率は人口密度とインフラ負担の抑制が目的です。

建蔽率が緩和されるのはどんな場合ですか?

特定行政庁が指定する角地で+10%、防火地域内で耐火建築物等を建てる場合に+10%です。両方を満たせば合計+20%になります。さらに都市計画の建蔽率が8/10の地域で、防火地域内の耐火建築物等を建てる場合には、建蔽率の制限自体が適用されません。

前面道路の幅員で容積率が下がるのはなぜですか?

床面積が増えると住む人・働く人が増え、道路の交通負担が増すためです。前面道路の幅員が12m未満の場合、幅員に住居系なら4/10、その他なら6/10を乗じた数値と、都市計画で定められた数値を比べ、小さいほうが適用されます。

敷地が2つの用途地域にまたがる場合はどうしますか?

建蔽率・容積率は、それぞれの部分の面積に各地域の数値を乗じて合計する加重平均で求めます。一方、建築物の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます(過半主義)。この使い分けが頻出です。

延べ面積に算入されない部分はありますか?

あります。共同住宅・老人ホーム等の共用の廊下や階段、エレベーターの昇降路は全部不算入です。住宅等の地階は住宅等部分の床面積合計の1/3まで、自動車車庫等は延べ面積の1/5まで不算入となります。

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