【宅建】抵当権をわかりやすく整理|物上代位・順位・被担保債権の範囲
宅建で頻出の抵当権を、性質(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性)・順位・被担保債権の範囲(利息は最後の2年分)・物上代位・第三取得者の保護まで、復習問題つきで分かりやすく解説します。
最終更新:2026-08-05
抵当権は、お金を貸した人(債権者)が、返済されないときに担保の不動産を競売にかけて優先的に回収できる権利です。宅建の権利関係では頻出で、性質・順位・物上代位あたりが繰り返し問われます。
抵当権の特徴は、目的物を債務者の手元に残したまま担保にできること。住宅ローンがまさにそれで、家に住みながら返済していけます。まずは4つの性質から押さえましょう。
抵当権の4つの性質
- 付従性……被担保債権が成立しなければ抵当権も成立せず、債権が消滅すれば抵当権も消滅する
- 随伴性……債権が譲渡されると、抵当権もそれに伴って移転する
- 不可分性……債権全額の弁済を受けるまで、目的物の全部について権利を行使できる
- 物上代位性……目的物の売却代金・賃料・保険金などにも効力が及ぶ
抵当権は、不動産(土地・建物)のほか、地上権や永小作権にも設定できます。土地と建物は別々の不動産なので、一方だけに抵当権を設定することもできます。
確認問題(抵当権・性質)
抵当権の性質に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 被担保債権が弁済により消滅しても、抵当権は存続する。
- 債権が譲渡されても、抵当権は移転しない。
- 債権の一部が弁済されれば、その割合に応じて目的物の一部にのみ権利を行使できる。
- 被担保債権が譲渡されると、抵当権も随伴して移転する。
正解:4
正解は④(随伴性)。①債権が消滅すれば抵当権も消滅(付従性)。②譲渡に伴い移転(随伴性)。③全額弁済まで目的物全部に権利行使できる(不可分性)。
被担保債権の範囲(利息は最後の2年分)
抵当権で優先的に回収できるのは、元本のほか、利息・遅延損害金などです。ただし、後順位抵当権者など他の債権者がいる場合、利息や遅延損害金は満期となった最後の2年分に限られます。
これは、他の債権者の取り分を確保するための制限です。もし利息が無制限に優先されると、後順位の人が回収できなくなってしまうため、2年分に区切られています。
確認問題(抵当権・被担保債権)
後順位抵当権者がいる場合、抵当権者が優先弁済を受けられる利息等の範囲として正しいものはどれか。
- 満期となった最後の2年分
- 満期となった最後の5年分
- 全期間の利息
- 利息は一切含まれない
正解:1
正解は①。後順位抵当権者などがいる場合、利息・遅延損害金は満期となった最後の2年分に限られます。元本は全額が対象です。
抵当権の順位と物上代位
同じ不動産に複数の抵当権を設定できます。優先順位は登記の先後で決まります。順位を変更するには、各抵当権者の合意と、利害関係人の承諾、そして登記が必要です。
物上代位とは、目的物が売却・賃貸・滅失したときに生じるお金(売却代金・賃料・保険金・損害賠償金など)に、抵当権の効力が及ぶことです。ただし、そのお金が債務者に払い渡される前に、抵当権者が差押えをする必要があります。
確認問題(抵当権・物上代位)
抵当権に基づく物上代位に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 抵当権の順位は、抵当権設定契約の先後で決まる。
- 物上代位をするには、金銭が債務者に払い渡される前に差押えをしなければならない。
- 賃料には物上代位できない。
- 順位の変更には、各抵当権者の合意のみで足り、登記は不要である。
正解:2
正解は②。物上代位は払渡し前の差押えが必要です。①順位は登記の先後で決まります。③賃料にも物上代位できます。④順位変更には利害関係人の承諾と登記も必要です。
「利息は最後の2年分」「順位は登記の先後」「物上代位は払渡し前に差押え」は三大頻出ポイント。あわせて、抵当権は目的物を債務者が使用したまま設定できること、土地と建物に別々に設定できることも押さえましょう。
もう一歩:第三取得者の保護と法定地上権
抵当権付きの不動産を買った人(第三取得者)を保護する制度もあります。代価弁済(抵当権者の請求に応じて代価を支払うと抵当権が消滅)や、抵当権消滅請求(第三取得者が一定額を提示して抵当権の消滅を求める)です。
また、土地と建物が同じ所有者のときに一方(または双方)に抵当権が設定され、競売で所有者が別々になった場合、建物のために法定地上権が成立します。これは頻出テーマなので、別記事で詳しく確認しておきましょう。
法定地上権の成立要件は、図解つきの別記事で詳しく解説しています。 法定地上権をわかりやすく見る →
確認問題(復習)
記事の内容が身についたか、確認しましょう。
確認問題(抵当権・順位)
抵当権の順位に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 抵当権の順位は、登記の先後によって決まる。
- 同一の不動産に複数の抵当権を設定することはできない。
- 順位の変更には、後順位抵当権者の承諾だけで足りる。
- 1番抵当権が消滅しても、2番抵当権の順位は上昇しない。
正解:1
正解は①。順位は登記の先後で決まります。②複数設定できます。③順位変更には各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記が必要。④先順位が消滅すれば後順位は順位上昇します。
確認問題(抵当権・第三取得者)
抵当不動産の第三取得者の保護に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる。
- 第三取得者は、いかなる場合も抵当権を消滅させられない。
- 代価弁済は、債務者からの請求によって行われる。
- 第三取得者は、抵当権者の同意なく抵当権を抹消できる。
正解:1
正解は①。第三取得者は抵当権消滅請求ができます。代価弁済は抵当権者の請求に応じて第三取得者が代価を支払う制度です。
まとめ
抵当権は、①4つの性質(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性)、②被担保債権の範囲(利息は最後の2年分)、③順位(登記の先後)と物上代位(払渡し前の差押え)が中心です。
数字(2年分)と手続き(差押え・順位変更の登記)を正確に押さえ、第三取得者の保護や法定地上権とあわせて理解すれば、抵当権は得点源になります。
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よくある質問
抵当権で優先弁済を受けられる利息の範囲は?
後順位抵当権者などがいる場合、利息・遅延損害金は満期となった最後の2年分に限られます。元本は全額が対象です。
物上代位をするには何が必要ですか?
目的物の売却代金・賃料・保険金などが債務者に払い渡される前に、抵当権者が差押えをする必要があります。
抵当権の順位はどう決まりますか?
登記の先後で決まります。順位を変更するには、各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記が必要です。