【宅建】宅建業の免許の欠格事由をわかりやすく|免許を受けられない人・法人

宅建業の免許の欠格事由を整理。破産者・一定の犯罪での罰金や禁錮以上・免許取消後5年・暴力団員などのポイントと、法人・未成年者の扱い、5年の起算や執行猶予まで解説します。

最終更新:2026-08-04

宅建業を営むには免許が必要ですが、免許は誰にでも与えられるわけではありません。宅地建物取引業法は、不適格な人を業界から締め出すために「この事情に当てはまる人には免許を与えない」という基準を細かく定めています。これが欠格事由です。

逆に言えば、欠格事由のどれにも当てはまらなければ免許は受けられます。項目は多いのですが、丸暗記しようとすると挫折します。そこで本記事では、「刑罰」「免許取消し」「本人の属性」「法人・未成年」という4つのグループに分け、それぞれ何が問われるのかを、具体例と一覧表つきで整理していきます。宅建業法で毎年のように出る超頻出テーマなので、ここを固めれば得点が安定します。

欠格事由は4グループで整理する

まず全体像です。数ある欠格事由は、次の4グループにまとめられます。

グループ代表例キーワード
① 刑罰を受けた拘禁刑(禁錮以上)・一定の罪の罰金5年・執行猶予
② 免許を取り消された不正取得・業務停止違反・情状が特に重い重い3つ・5年
③ 本人の属性破産者で復権なし・暴力団員等・心身の故障復権・5年
④ 法人・未成年役員が欠格・法定代理人が欠格波及する

このうち①と②に「5年」というキーワードが集中します。まずは「どんなときに5年待たされるのか」を押さえるのが攻略の近道です。

① 刑罰 ― 「拘禁刑以上はすべて/罰金は一定の罪だけ」

ここが欠格事由で最も出題される論点です。刑罰を受けた場合、その重さと罪の種類で扱いが変わります。

刑の重さ欠格になる罪欠格期間
拘禁刑以上(=従来の禁錮・懲役以上)どんな罪でも刑の執行終了等から5年
罰金宅建業法違反・暴力的犯罪・背任など一定の罪のみ刑の執行終了等から5年
科料・過料・拘留欠格にならない

拘禁刑(従来の「禁錮以上」)は、交通事故でも詐欺でも、罪の種類を問わず一律に欠格になります。ところが罰金の場合は、限られた罪でしか欠格になりません。

罰金で欠格になる代表的な罪は、宅建業法違反、傷害・暴行・脅迫などの暴力的な犯罪、背任罪、暴力行為等処罰法違反などです。逆に、過失運転致傷や軽い道路交通法違反などで罰金を科されても、欠格事由にはあたりません。「罰金だから即アウト」ではない点が最大のひっかけです。

2025年(令和7年)6月施行の刑法改正で、懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化されました。宅建業法の条文も「拘禁刑以上の刑」という表現になっています。意味・扱いは従来の「禁錮以上の刑」とまったく同じです。問題文でどちらの表現が使われても、同じものだと分かるようにしておきましょう。

5年の起算点はいつ?

「5年を経過しない者」の5年は、刑の執行を終わった日、または執行を受けることがなくなった日から数えます。判決が出た日でも、罪を犯した日でもありません。刑務所を出た日(または罰金を納めた日)が起算点だとイメージすると覚えやすいです。

執行猶予は「満了すれば即OK」

執行猶予がついた場合の扱いは頻出です。執行猶予の期間中は、刑に処せられている状態なので欠格です。しかし、猶予期間が無事に満了すると、刑の言渡し自体が効力を失います。

その結果、猶予満了の翌日には、5年を待つことなく直ちに免許を受けられます。「執行猶予中はダメ、満了した瞬間にOK(5年不要)」というギャップが、選択肢のひっかけによく使われます。

なお、控訴中・上告中で判決が確定していない段階では、まだ「刑に処せられた」とはいえないので、この時点では欠格になりません。刑が確定して初めて欠格の話になります。

② 免許取消し ― 5年になるのは「重い3つ」だけ

過去に免許を取り消されたことがある人も、一定の場合は5年間免許を受けられません。ただし「取り消されたら必ず5年」ではないのが重要ポイントです。

5年の欠格になるのは、次の重い理由(3つ)で取り消された場合に限られます。

  • 不正の手段で免許を取得した
  • 業務停止処分に違反した
  • 業務に関し他人に損害を与えるなど、情状が特に重い

これら以外の理由、たとえば事務所に専任の宅建士を欠いたまま是正しなかったなどの理由で取り消された場合は、この5年の欠格にはあたりません。「取消し=一律5年」と決めつけないよう注意します。

「かけこみ廃業」も5年

取消処分を受けそうになった業者が、処分を逃れるために先に廃業してしまう「かけこみ廃業」を防ぐ規定もあります。取消しの聴聞の期日・場所が公示された日から、処分が決まる(または廃業の届出をする)までの間に、相当の理由なく廃業等の届出をした者は、その届出の日から5年間は免許を受けられません。

さらに、上記の重い理由で法人の免許が取り消された場合、その聴聞の公示日前60日以内にその法人の役員だった人も、取消しの日から5年間欠格になります。「逃げても役員だった人まで追いかける」というイメージです。

③ 本人の属性 ― 破産・暴力団員・心身の故障

刑罰や取消しとは別に、本人の状態そのものが欠格事由になる場合があります。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者……復権を得れば直ちに免許可(5年を待つ必要はない)
  • 暴力団員等、または暴力団員等でなくなった日から5年を経過しない者
  • 心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

破産者は「復権を得れば即OK(5年不要)」がポイントです。5年待つ免許取消しや刑罰と混同させる問題がよく出ます。かつては成年被後見人・被保佐人を一律に欠格としていましたが、法改正で「心身の故障により適正に営めない者」という個別審査の形に改められました。「成年被後見人だから当然に欠格」という古い選択肢は誤りです。

④ 法人・未成年者 ― 欠格は本人以外にも波及する

欠格事由は、申請者本人だけを見て判断するとは限りません。法人や未成年者では、周囲の人の欠格が本人にも及びます。

法人は「役員・政令で定める使用人」を見る

法人が免許を申請する場合、その役員(取締役など)や政令で定める使用人(支店長など一定の代表権を持つ者)に欠格事由に該当する人が一人でもいれば、法人自体が免許を受けられません。役員個人の過去が、会社全体の免許を左右します。

未成年者は「営業の許可」があるかで分かれる

未成年者は、法定代理人から営業の許可を得ていれば「営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者」となり、本人に欠格事由がなければ免許を受けられます。

これに対し、営業の許可を得ていない(成年者と同一の能力を有しない)未成年者の場合は、その法定代理人を見ます。法定代理人が欠格事由に該当すれば、未成年者本人も免許を受けられません(法定代理人が法人ならその役員も対象)。

「5年」がつく欠格事由まとめ

ひっかけの中心である「5年」を、一覧で整理しておきましょう。ここが完璧になれば、欠格事由の問題はぐっと解きやすくなります。

5年欠格になる場合起算点
拘禁刑以上の刑に処せられた刑の執行終了・執行を受けなくなった日
一定の罪で罰金に処せられた刑の執行終了・執行を受けなくなった日
重い3つの理由で免許を取り消された免許取消しの日
取消し逃れのかけこみ廃業をした廃業等の届出の日
暴力団員等でなくなった暴力団員等でなくなった日

逆に、破産者の復権と執行猶予の満了は「5年を待たずに即OK」。この2つは5年グループの例外として、はっきり区別して覚えます。

最頻出は「罰金で欠格になるのは一定の罪(宅建業法違反・暴力的犯罪・背任等)だけ/拘禁刑以上はすべて欠格」の対比です。次に、免許取消しで5年になるのは重い3つの理由だけ、破産者は復権で即OK、執行猶予は満了で即OK、法人は役員が欠格なら法人も不可――この5点を押さえれば、欠格事由の問題はほぼ取れます。

もう一歩:関連する期間・数字を混同しない

欠格事由の学習でつまずきやすいのが、似た「期間」の混同です。免許の有効期間(5年)、宅建士証の有効期間(5年)、そして欠格の5年は、すべて5年で紛らわしいですが別物です。数字が同じでも、何についての5年なのかを問題文で必ず確認しましょう。

また、免許を受けた後に欠格事由に該当した場合は、免許権者が免許を取り消さなければならない点も押さえておきます。欠格事由は「免許を受けるとき」だけでなく「受けた後も維持できるか」の基準でもある、という視点を持つと、関連問題にも対応できます。

確認問題(復習)

記事の内容が身についたか、確認しましょう。

確認問題(罰金と欠格)

免許の欠格事由に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 過失運転致傷により罰金に処せられた者は、5年間免許を受けられない。
  2. 宅地建物取引業法違反により罰金に処せられた者は、5年間免許を受けられない。
  3. 罪の種類を問わず、罰金に処せられれば5年間免許を受けられない。
  4. 科料に処せられた者は、5年間免許を受けられない。

正解:2

正解は②。罰金で欠格になるのは宅建業法違反・暴力的犯罪・背任など一定の罪だけです。拘禁刑以上ならどんな罪でも欠格ですが、罰金は限られます。①過失運転致傷の罰金は欠格事由に当たりません。

確認問題(執行猶予)

執行猶予に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 執行猶予の期間中でも免許を受けられる。
  2. 執行猶予期間が満了すれば、5年を待たずに免許を受けられる。
  3. 執行猶予期間が満了しても、さらに5年間は免許を受けられない。
  4. 執行猶予がついた場合は必ず10年間免許を受けられない。

正解:2

正解は②。執行猶予期間が満了すると刑の言渡しが効力を失うため、直ちに免許を受けられます。期間中は欠格です。

確認問題(破産者)

破産者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得れば直ちに免許を受けられる。
  2. 破産者は復権を得た後、さらに5年間免許を受けられない。
  3. 破産手続開始の決定を受けると、永久に免許を受けられない。
  4. 役員が復権を得ていない破産者であっても、法人は免許を受けられる。

正解:1

正解は①。破産者は「復権を得れば即OK」で5年を待つ必要はありません。④役員が欠格なら法人も免許を受けられません。

まとめ

宅建業の免許の欠格事由は、①刑罰(拘禁刑以上はすべて・罰金は一定の罪だけ、5年)、②免許取消し(重い3つの理由+かけこみ廃業で5年)、③本人の属性(破産者は復権で即OK・暴力団員等・心身の故障)、④法人・未成年(役員や法定代理人の欠格が波及)の4グループで整理できます。

数は多いものの、「5年になる場合」と「即OKになる例外(復権・執行猶予満了)」の線引きさえ押さえれば、得点は安定します。頻出の対比を意識して、過去問で繰り返し確認していきましょう。

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よくある質問

罰金刑を受けると必ず免許の欠格になりますか?

いいえ。罰金で欠格になるのは、宅建業法違反・傷害や暴行などの暴力的な犯罪・背任罪などの一定の罪に限られます。過失運転致傷や軽い道路交通法違反などの罰金では欠格になりません。拘禁刑以上(従来の禁錮以上)の刑であれば、罪の種類を問わず欠格になります。

執行猶予がついた場合はどうなりますか?

執行猶予の期間中は欠格ですが、猶予期間が満了すると刑の言渡しが効力を失うため、その時点から5年を待たずに直ちに免許を受けられます。控訴・上告中で刑が確定していない段階では、まだ欠格になりません。

破産した人は5年間免許を受けられませんか?

いいえ。破産者は「復権を得ない者」が欠格であり、復権を得れば直ちに免許を受けられます。5年を待つ必要はありません。刑罰や免許取消しの5年と混同しやすいので注意しましょう。

免許を取り消されたら必ず5年間受けられませんか?

いいえ。5年欠格になるのは、不正手段での免許取得・業務停止処分違反・情状が特に重い、という重い3つの理由で取り消された場合などに限られます。それ以外の理由による取消しでは、この5年の欠格にはあたりません。

法人の役員が欠格事由に該当する場合、法人は免許を受けられますか?

受けられません。役員(または政令で定める使用人)に欠格事由に該当する者がいると、その法人自体も免許を受けられません。未成年者の場合も、法定代理人が欠格事由に該当すれば本人も受けられないことがあります。

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