【宅建】営業保証金と保証協会(弁済業務保証金)の違いを一覧表で整理

宅建業法で混同しやすい営業保証金と弁済業務保証金(保証協会)の違いを、金額・供託先・供託物・還付・取戻しの観点から一覧表で整理。1,000万円と60万円の差の意味、有価証券の可否、還付の限度額まで試験ポイントつきで解説します。

最終更新:2026-08-05

宅建業を始めるとき、取引の相手方を保護するために、業者はお金を用意しておく必要があります。その方法が2つあり、これが営業保証金と保証協会(弁済業務保証金)の制度です。

2つは「相手方を守る」という目的は同じですが、金額も手続きも大きく違います。数字が似ていて混同しやすく、試験作成者もそこを狙ってきます。この記事では、両者の違いを一覧表と計算例で徹底整理します。

そもそも、なぜ2つの制度があるのか

宅建業者と取引した人が損害を受けたとき、確実にお金で救済できるよう、業者にあらかじめ担保を用意させるのがこの制度の趣旨です。

営業保証金は、業者が自分で多額のお金を供託所に預ける方式。一方、保証協会に加入すれば、少額の分担金を納めるだけで済みます。開業資金の負担を軽くするために用意されたのが保証協会の制度、と理解すると全体像がつかめます。

一覧表で違いを整理

項目営業保証金保証協会(弁済業務保証金)
納める先供託所(自分で供託)保証協会に分担金を納付→協会が供託所へ供託
主たる事務所1,000万円60万円
その他の事務所(1か所)500万円30万円
納めるもの金銭または一定の有価証券金銭のみ
開業のタイミング供託し、届け出た後でなければ開業できない加入しようとする日までに分担金を納付
取戻しの公告原則、公告が必要(6か月以上)協会が行う

一番のポイントは金額の桁違いです。主たる事務所だけでも、営業保証金は1,000万円、保証協会ならわずか60万円。この差が、保証協会制度の存在意義そのものです。

金額の計算例

本店(主たる事務所)と支店2つを持つ業者を例に、それぞれいくら必要か計算してみましょう。

営業保証金の場合

本店1,000万円 + 支店500万円 × 2 = 2,000万円。これを供託所に供託して初めて開業できます。

保証協会の場合

本店60万円 + 支店30万円 × 2 = 120万円。この分担金を協会に納めるだけ。負担は営業保証金の16分の1以下で済みます。

「主たる事務所1,000万円/60万円、その他の事務所1か所ごとに500万円/30万円」は最頻出の暗記事項です。営業保証金は有価証券でもよいが、保証協会の分担金は金銭のみ、という違いもよく問われます。

還付(相手方が損害を受けたとき)

ここが最重要かつ引っかけの宝庫です。取引で損害を受けた相手方は、供託されたお金から弁済(還付)を受けられます。ただし、宅建業者どうしの取引で生じた債権は対象外で、還付を受けられるのは一般のお客さんだけです。

注目すべきは、保証協会の場合の還付の限度額です。相手方は、「その業者が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額」に相当する額まで還付を受けられます。

つまり、業者が納めたのは60万円でも、相手方は最大1,000万円相当まで守られるということ。相手方の保護水準は営業保証金と同じで、足りない分は協会全体が肩代わりする仕組みです。ここが「少額の負担で手厚い保護」という制度の核心です。

「保証協会は60万円しか納めていないから、還付も60万円まで」は誤りです。還付の限度は"社員でなければ供託すべき営業保証金の額(本店なら1,000万円相当)"。相手方の保護は営業保証金とまったく同水準、と覚えましょう。なお還付には協会の認証が必要です。

還付されたあとの「穴埋め」の流れ

還付が行われると供託額が減るので、穴埋めが必要になります。ここも手続きの期間が問われます。

  • 営業保証金……免許権者から不足の通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託する
  • 保証協会……社員は、協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に納付する(納付しないと社員の地位を失う)

どちらも「通知を受けてから2週間以内」がキーワード。営業保証金は業者が供託所へ、保証協会は社員が協会へ、という宛先の違いに注意しましょう。

もう一歩:保証協会ならではのルール

保証協会には、営業保証金にはない独自のルールがあります。まず、業者は1つの保証協会の社員にしかなれません。二重加入は禁止です。

また、保証協会の社員になると、営業保証金の供託が免除されます。両方を用意する必要はありません。さらに協会は、還付に備えて弁済業務保証金準備金を積み立てるほか、社員に対して手付金等保管や研修などの業務も行います。

社員が事務所を増やしたときは、増設した日から2週間以内に分担金を追加で納める必要があり、これを怠ると社員の地位を失う点も要注意です。

確認問題(復習)

記事の内容が身についたか、確認しましょう。

確認問題(営業保証金の額)

主たる事務所について供託すべき営業保証金の額はいくらか。

  1. 500万円
  2. 1,000万円
  3. 60万円
  4. 30万円

正解:2

正解は②。営業保証金は主たる事務所1,000万円、その他の事務所は1か所につき500万円です。

確認問題(分担金の額)

保証協会に加入する場合、主たる事務所について納付する弁済業務保証金分担金の額はいくらか。

  1. 1,000万円
  2. 500万円
  3. 60万円
  4. 30万円

正解:3

正解は③。分担金は主たる事務所60万円、その他の事務所は1か所につき30万円で、金銭のみで納付します。

確認問題(還付の限度額)

保証協会の社員と取引した者が弁済(還付)を受けられる限度額として正しいものはどれか。

  1. 社員が納付した分担金(60万円)まで
  2. その社員が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額に相当する額まで
  3. 金額に上限はない
  4. 還付を受けることはできない

正解:2

正解は②。還付限度は営業保証金相当額で、相手方の保護は営業保証金と同水準です。少額の分担金でも手厚く保護される仕組みです。

まとめ

営業保証金と弁済業務保証金は、目的(相手方の保護)は同じでも、金額(1,000万円と60万円)・納め先(供託所と協会)・納めるもの(有価証券可と金銭のみ)が違います。

最大のポイントは、保証協会は少額の負担でありながら、還付の限度額は営業保証金と同じ(社員でなければ供託すべき額)という点。数字と手続きの2週間ルールを、一覧表で対比して覚えれば、この分野は確実に得点できます。

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よくある質問

営業保証金と弁済業務保証金の金額はいくらですか?

営業保証金は主たる事務所1,000万円・その他の事務所1か所につき500万円。弁済業務保証金の分担金は主たる事務所60万円・その他の事務所1か所につき30万円です。

保証協会の社員だと還付は60万円までですか?

いいえ。還付の限度額は「その業者が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額」で、主たる事務所なら1,000万円相当まで。相手方の保護は営業保証金と同水準です。

分担金は有価証券でも納められますか?

納められません。営業保証金は金銭または一定の有価証券で供託できますが、保証協会の分担金は金銭のみです。

保証協会に入れば営業保証金も必要ですか?

必要ありません。保証協会の社員になると営業保証金の供託は免除されます。また、業者は1つの保証協会にしか加入できません(二重加入は禁止)。

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