【宅建】代理を得意にする|顕名・無権代理・表見代理・自己契約を整理
宅建の代理を、顕名主義・代理権の範囲・自己契約と双方代理・復代理・無権代理(催告権・取消権・相手方の保護)・表見代理まで一覧で整理。無権代理と相続の論点も復習問題つきで解説します。
最終更新:2026-08-05
代理とは、本人に代わって代理人が契約などを行い、その効果が本人に直接帰属する制度です。宅建では、無権代理・表見代理を中心に毎年のように問われます。
用語が多くとっつきにくい分野ですが、「代理が有効に成立する条件」→「権限がない場合(無権代理)」→「それでも本人に効果が及ぶ場合(表見代理)」という流れで整理すると、驚くほどスッキリします。
代理成立の基本(顕名・自己契約・復代理)
- 顕名……代理人は「本人のためにすることを示して」行う。示さないと代理人自身の行為とみなされる(相手方が代理と知り、または知り得たときは本人に効果が及ぶ)
- 自己契約・双方代理……原則禁止。無権代理とみなされる(本人があらかじめ許諾した場合や、単なる債務の履行は例外)
- 復代理……任意代理人は本人の許諾かやむを得ない事由があるときに復代理人を選任できる。法定代理人はいつでも選任できるが、原則として全責任を負う
確認問題(代理・基本)
代理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
- 代理人が本人のためにすることを示さずにした意思表示は、原則として代理人自身のためにしたものとみなされる。
- 自己契約・双方代理は、常に有効である。
- 任意代理人は、いつでも自由に復代理人を選任できる。
- 顕名がなければ、いかなる場合も本人に効果は及ばない。
正解:1
正解は①。顕名がないと原則、代理人自身の行為とみなされます(相手方が知り・知り得た場合は本人に効果)。②自己契約・双方代理は原則禁止。③任意代理人は本人の許諾かやむを得ない事由が必要です。
無権代理と相手方の保護
代理権がないのに代理人として行った行為が無権代理です。無権代理行為は、本人が追認すれば契約時にさかのぼって有効になり、追認を拒絶すれば本人には効果が及びません。
不安定な立場に置かれる相手方には、次の権利が認められます。
| 相手方の権利 | 行使できる相手方 |
|---|---|
| 催告権(追認するか確答を求める) | 善意・悪意を問わず行使できる |
| 取消権(契約を取り消す) | 善意の相手方のみ(契約時に善意) |
| 無権代理人への責任追及(履行または損害賠償) | 善意無過失の相手方(無権代理人が制限行為能力者のときは追及不可) |
確認問題(無権代理)
無権代理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 無権代理行為の相手方は、善意の場合に限り、本人に対して催告することができる。
- 本人が追認すると、無権代理行為は契約の時にさかのぼって有効となる。
- 善意無過失の相手方であっても、無権代理人に対して責任を追及できない。
- 本人が追認するまでは、悪意の相手方も契約を取り消せる。
正解:2
正解は②。追認は契約時にさかのぼって効力を生じます。①催告権は善意・悪意を問わず行使できます。③善意無過失なら無権代理人に責任追及できます。④取消権は善意の相手方のみです。
表見代理(本人に効果が及ぶ場合)
無権代理でも、本人に落ち度があり、相手方が代理権を信じることに正当な理由があるときは、本人が責任を負います。これが表見代理で、次の3つの類型があります。
- 代理権授与の表示による表見代理……実際は授与していないのに、授与したかのような表示をした
- 権限外の行為の表見代理……代理権はあるが、その範囲を超えた(相手方が権限内と信じる正当な理由=善意無過失が必要)
- 代理権消滅後の表見代理……かつて代理権があったが、消滅した後に代理行為をした
相手方の保護は「催告権=善意悪意問わず/取消権=善意のみ/無権代理人への責任追及=善意無過失」と、要求される主観がステップで厳しくなります。表見代理が成立すると、相手方は本人に契約の履行を求められます。
もう一歩:無権代理と相続
無権代理人が本人を相続したり、本人が無権代理人を相続したりする論点は頻出です。結論だけ押さえましょう。
- 無権代理人が本人を単独で相続した場合……本人の追認拒絶権を行使することは信義則上許されず、追認を拒めない(=有効になる)
- 本人が無権代理人を相続した場合……本人は追認を拒絶できる(ただし無権代理人の責任は承継する)
「無権代理人が相続したら拒めない/本人が相続したら拒める」と、立場で逆になる点がポイントです。
確認問題(復習)
記事の内容が身についたか、確認しましょう。
確認問題(表見代理)
表見代理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 権限外の行為の表見代理が成立するには、相手方が代理権があると信じ、そう信じることに正当な理由(善意無過失)が必要である。
- 表見代理は、本人にまったく落ち度がなくても成立する。
- 表見代理が成立しても、相手方は本人に履行を求めることはできない。
- 代理権消滅後の行為には、表見代理は一切適用されない。
正解:1
正解は①。権限外の行為の表見代理は、相手方の善意無過失が必要です。表見代理が成立すると相手方は本人に履行を求められます。代理権授与表示・権限外・代理権消滅後の3類型があります。
確認問題(無権代理と相続)
無権代理人と相続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理人は本人の立場で追認を拒絶できる。
- 無権代理人が本人を単独で相続した場合、追認を拒絶することは信義則上許されない。
- 本人が無権代理人を相続した場合、本人は追認を拒絶できない。
- 相続があっても、無権代理行為の効力は一切変わらない。
正解:2
正解は②。無権代理人が本人を相続した場合、追認拒絶は信義則上許されません(=有効になる)。逆に本人が無権代理人を相続した場合は、本人は追認を拒絶できます。
まとめ
代理は、①成立の基本(顕名・自己契約と双方代理の禁止・復代理)、②無権代理(追認・相手方の催告権/取消権/責任追及)、③表見代理(3類型)の順に押さえるのが近道です。
相手方の保護に必要な主観(善意・善意無過失)の違いと、無権代理と相続で結論が逆になる点が最頻出。ここを正確に覚えれば、代理は得意分野になります。
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よくある質問
無権代理の相手方の催告権は誰でも使えますか?
催告権は相手方が善意・悪意を問わず行使できます。一方、取消権は善意の相手方のみ、無権代理人への責任追及は善意無過失の相手方のみです。
自己契約・双方代理は有効ですか?
原則として禁止で、無権代理とみなされます。ただし本人があらかじめ許諾した場合や、単なる債務の履行は例外的に許されます。
無権代理人が本人を相続したらどうなりますか?
無権代理人が本人を単独で相続した場合、追認を拒絶することは信義則上許されず、無権代理行為は有効になります。逆に本人が無権代理人を相続した場合は、本人は追認を拒絶できます。