宅建 平成23年度(2011年)問7 民法 の解説
問題
Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。
- Aは、Bに対する賃料債権に関し、Bが建物に備え付けた動産、及びBのCに対する賃料債権について先取特権を有する。
- Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。
- Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。賃貸人が賃借人の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除する場合、転借人に対して事前に通知したり、賃料を代払いする機会を与えたりする義務はないとするのが判例の立場(最判昭和37年3月29日)であるため、この記述は誤りです。他の選択肢は、民法の規定や判例に照らして正しい記述となります。
・民法第613条第1項(転貸の効果:賃貸人の転借人に対する権利) 賃貸人が賃借人から賃料を受け取れない場合、転借人が転貸人に支払うべき賃料を直接賃貸人に支払うよう請求できる規定です。 ・民法第613条第2項(転貸の効果:賃貸人の転借人に対する先取特権) 賃貸人が賃借人の転借人に対する賃料債権について先取特権を有することを定めています。 ・民法第306条第2号、第309条(不動産賃貸の先取特権) 不動産の賃貸人が、賃借人の賃貸借に関する債務について、賃借人がその不動産に備え付けた動産に先取特権を有することを定めています。 ・最判昭和37年3月29日(賃貸借契約の解除と転借人) 賃貸人が賃借人の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除した場合、転借人に対して通知や代払いの機会を与える義務はないとした判例です。 ・最判昭和39年7月24日(賃貸借契約の合意解除と転借人) 賃貸人と賃借人が合意解除した場合、その解除を転借人に対抗できないとした判例です。
【選択肢1】正。 民法第613条第1項は、適法な転貸借の場合、賃貸人(A)は転借人(C)に対し、賃借人(B)に対する賃料の限度で、転借人(C)に対する賃料を直接自分に支払うよう請求できると定めています。これは、賃貸人(A)が賃借人(B)から賃料を受け取れない場合に、転借人(C)が転貸人(B)に支払うべき賃料を賃貸人(A)に直接支払わせることで、賃貸人(A)の保護を図るための規定です。ただし、転借人(C)は、転貸人(B)に支払うべき賃料額を超えて賃貸人(A)に支払う義務はありません。 【選択肢2】正。 民法第306条第2号および第309条により、不動産の賃貸人は、賃借人の賃貸借に関する債務(賃料債権など)について、賃借人がその建物に備え付けた動産に先取特権を有します。さらに、民法第613条第2項は、賃貸人(A)は、賃借人(B)の転借人(C)に対する賃料債権についても先取特権を有すると定めています。これにより、賃貸人(A)は、賃料債権の回収をより確実にすることができます。 【選択肢3】正。 判例(最判昭和39年7月24日)によれば、賃貸人(A)と賃借人(B)が合意によって賃貸借契約を解除した場合、その合意解除は、適法な転貸借契約に基づき建物を占有している転借人(C)の権利を害することができません。つまり、特段の事情がない限り、賃貸人(A)は転借人(C)に対して合意解除の効果を対抗(主張)できないため、転借人(C)は引き続き建物の使用を継続できます。これは、転借人(C)が賃貸人(A)と賃借人(B)の都合によって不測の損害を被ることを防ぐためのものです。 【選択肢4】誤。 判例(最判昭和37年3月29日)によれば、賃貸人(A)が賃借人(B)の債務不履行(例えば、賃料の不払い)を理由として賃貸借契約を解除する場合、その解除は転借人(C)に対しても効力を生じます。この場合、賃貸人(A)は、転借人(C)に対し、事前に通知したり、賃料を代払いする機会を与えたりする義務はありません。転借人(C)は、転貸人(B)の債務不履行によって賃貸借契約が解除されるリスクを負うことになります。したがって、この記述は誤りです。