宅建 平成22年度(2010年)問29 宅建業法 の解説
問題
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この間において、「事務所」とは、同法第15条に規定する事務所等をいう。
- 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、免許証及び国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
- 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える義務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。
- 宅地建物取引業者は、各事務所の業務に関する帳簿を主たる事務所に備え、取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積等の事項を記載しなければならない。
- 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の取引主任者を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。宅地建物取引業法第31条の3第1項および同法施行規則第25条の2の規定により、事務所における専任の宅地建物取引士の設置義務が定められており、その数が不足した場合の補充期間が2週間以内とされているため、この選択肢は正しい記述となります。
【宅地建物取引業法 第15条(標識の掲示)】 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。 【宅地建物取引業法 第31条の3(宅地建物取引士の設置)】 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。 【宅地建物取引業法施行規則 第25条の2(宅地建物取引士の設置)】 法第31条の3第1項の国土交通省令で定める数は、事務所にあつては業務に従事する者5人につき1人以上、その他の場所にあつては1人以上とする。 2項:宅地建物取引業者は、前項の規定により置くべき宅地建物取引士の数が不足することとなつた場合においては、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。 【宅地建物取引業法 第48条(帳簿の備付け)】 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載しなければならない。 【宅地建物取引業法 第49条(従業者名簿の備付け)】 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。 【宅地建物取引業法 第65条(監督処分)】 宅地建物取引業者がこの法律の規定に違反した場合に、国土交通大臣又は都道府県知事が指示、業務停止、免許取消し等の処分を行うことができる旨を規定。 【宅地建物取引業法 第79条(罰則)】 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の過料に処する。 一 第49条の規定に違反して従業者名簿を備えず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者 (補足説明) これらの条文は、宅地建物取引業者が適正な業務運営を行うための基本的な義務を定めています。特に、事務所の標識掲示、専任の宅地建物取引士の設置、帳簿・従業者名簿の備付けは、宅建業の信頼性を保つ上で非常に重要です。違反した場合には、監督処分だけでなく、罰則が適用されるケースもあるため、しっかりと理解しておく必要があります。
【選択肢1】誤り。 宅地建物取引業法第50条第1項は、宅地建物取引業者がその事務所ごとに「国土交通省令で定める標識」を公衆の見やすい場所に掲示することを義務付けています。しかし、「免許証」の掲示義務は規定されていません。免許証は事務所に備え付けておくべき重要な書類ではありますが、公衆の見やすい場所に掲示する義務はないため、この記述は誤りです。試験では「免許証」と「標識」の区別がよく問われますので注意しましょう。 【選択肢2】誤り。 宅地建物取引業法第49条は、事務所ごとに従業者名簿を備える義務を定めています。この義務に違反した場合、同法第65条に基づく監督処分(指示処分、業務停止処分、免許取消処分)の対象となるだけでなく、同法第79条第1号により「50万円以下の過料」という罰則の適用も受けます。したがって、「罰則の適用を受けることはない」という記述は誤りです。従業者名簿の備付け義務違反は、監督処分と罰則の両方の対象となることを覚えておきましょう。 【選択肢3】誤り。 宅地建物取引業法第48条第1項は、宅地建物取引業者が「その事務所ごとに」帳簿を備え、取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積等の事項を記載することを義務付けています。したがって、「主たる事務所に備え」という記述は誤りであり、各事務所でそれぞれ帳簿を備える必要があります。各事務所の業務内容を正確に把握するためには、それぞれの事務所で帳簿を管理することが不可欠です。 【選択肢4】正しい。 宅地建物取引業法第31条の3第1項は、宅地建物取引業者が「その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない」と規定しています。そして、同法施行規則第25条の2第2項は、この宅地建物取引士の数が不足することとなった場合、「2週間以内に必要な措置を執らなければならない」と定めています。この記述は、これらの規定に完全に合致しているため、正しいです。この「2週間以内」という期間は、試験で頻出のポイントですので、確実に覚えておきましょう。