宅建 令和2年度(2020年)問49 税・その他 の解説
問題
次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 都市の中小河川の氾濫の原因の一つは、急速な都市化、宅地化に伴い、降雨時に雨水が短時間に大量に流れ込むようになったことである。
- 中小河川に係る防災の観点から、宅地選定に当たっては、その地点だけでなく、周辺の地形と防災施設に十分注意することが必要である。
- 地盤の液状化については、宅地の地盤条件について調べるとともに、過去の地形についても古地図などで確認することが必要である。
- 地形や地質的な条件については、宅地に適しているか調査する必要があるが、周辺住民の意見は聴かなくてよい。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。宅地建物取引業者は、取引の対象となる宅地に関する情報を多角的に収集し、買主の保護に努める専門家としての責任を負います。周辺住民の意見は、その土地の過去の災害履歴や地盤の特性など、文献調査だけでは得られない貴重な情報源となることがあり、「聴かなくてよい」と断定することは不適切です。
宅地建物取引業法には、宅地選定において周辺住民の意見を聴取することを直接義務付ける条文はありません。しかし、同法第1条(目的)において「宅地及び建物の取引の公正と円滑化を図り、もって国民の生活の安定と国民経済の健全な発展に寄与すること」が掲げられており、また第35条(重要事項説明)では、宅地や建物の安全性に関わる重要な事項を説明する義務が課されています。これらの趣旨に鑑み、宅地建物取引業者は、買主が安全かつ安心して生活できる宅地を提供するため、専門家として可能な限り多くの情報を収集し、適切な判断を支援する義務と責任を負います。周辺住民の意見は、この情報収集の一環として非常に有用な場合があります。
【選択肢1】正。都市化や宅地化が進むと、地面がアスファルトやコンクリートで覆われるため、雨水が地面に浸透しにくくなります。その結果、降った雨水が短時間で河川に集中して流れ込み、河川の許容量を超えて氾濫を引き起こす「都市型水害」の原因となります。これは、都市開発に伴う環境変化と水害リスクの関係を示す一般的な事実であり、正しい記述です。 【選択肢2】正。宅地を選定する際には、その地点の地盤や地形だけでなく、周辺の状況を総合的に評価することが極めて重要です。例えば、上流にため池や急傾斜地がある場合、その地点が安全に見えても、周辺からの水害や土砂災害のリスクを抱える可能性があります。また、周辺の堤防や排水路、調整池などの防災施設の整備状況や機能も、その宅地の安全性に直結するため、十分に注意して確認する必要があります。これは、宅地選定におけるリスクマネジメントの基本であり、正しい記述です。 【選択肢3】正。地盤の液状化は、地震時に砂質の地盤が地下水位の高い場所で発生しやすい現象です。現在の地盤調査(ボーリング調査など)で地盤の構成や地下水位を確認することはもちろん重要ですが、過去の地形(例えば、旧河道、埋立地、湿地、水田など)は、液状化しやすい軟弱な地盤である可能性が高いため、古地図や地形図を用いて確認することは、液状化リスクを評価する上で非常に有効な手段です。これは、地盤リスク評価の専門的なアプローチとして正しい記述です。 【選択肢4】誤。宅地に適しているかどうかの調査において、地形や地質的な条件を専門的に調査することは不可欠です。しかし、「周辺住民の意見は聴かなくてよい」という記述は不適切です。周辺住民は、その土地に長年住んでいるため、過去の水害、土砂崩れ、地盤沈下、湧水、騒音、悪臭など、文献調査や現地調査だけでは把握しにくい貴重な情報や経験談を持っている場合があります。宅地建物取引業者は、買主の安全と利益を守るため、専門家として多角的な情報収集に努めるべきであり、その中には周辺住民からの情報も含まれるべきです。したがって、情報収集の機会を否定するこの記述は、最も不適当です。