宅建 令和2年度(2020年)問25 税・その他 の解説
問題
次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
- 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
- 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
- 特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
- 原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合だけでなく、土地のみである場合においても、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法とされています。したがって、「対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない」という記述は、不動産鑑定評価基準に反するため誤りとなります。
不動産鑑定評価基準(各論第1章第1節「原価法」) 「原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合、建物である場合又は土地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法である。」 【補足説明】 この基準は、原価法が建物だけでなく、土地にも適用できることを明確に示しています。特に、造成地や埋立地のように、土地の取得費用に加えて造成費用などの再調達原価を明確に把握できる土地については、原価法が有効な手法となります。宅建試験では、鑑定評価基準の各手法の適用範囲が問われることが多いため、この点はしっかり押さえておきましょう。
【選択肢1】正。 不動産鑑定評価基準総論第2章「不動産の価格に関する諸原則」の「最有効使用の原則」に合致する記述です。不動産の価格は、その不動産が最も効率的かつ合理的に利用された場合に発揮される価値(最有効使用)を標準として形成されます。しかし、現実には、所有者の都合や法的な制約などにより、その不動産が本来持つポテンシャルを十分に発揮できていないケースも少なくありません。鑑定評価を行う際には、現状の利用方法だけでなく、その不動産の最有効使用を常に考慮し、必要に応じて現状の利用方法が最有効使用ではない可能性に留意することが求められます。この選択肢は、この原則と留意点を正確に述べているため、正しい記述です。 【選択肢2】正。 不動産鑑定評価基準総論第3章「鑑定評価の基本的事項」の「鑑定評価の条件設定」に関する記述です。鑑定評価は、必ずしも現状のままの不動産に対して行われるとは限りません。例えば、新築マンションの販売価格を決定するために、まだ工事が完了していない段階で、完成後の状態を前提として鑑定評価を行うことがあります。このような評価を「条件設定鑑定評価」といい、特定の条件(この場合は工事の完了)を前提として評価を行うことは、鑑定評価基準上認められています。したがって、この記述は正しいです。 【選択肢3】正。 不動産鑑定評価基準総論第4章「鑑定評価の種類」の「特殊価格」に関する記述です。特殊価格とは、一般的な市場で取引されることを前提としない、特定の目的や利用現況に特化した不動産の経済価値を指します。文化財の指定を受けた建造物は、その歴史的・文化的価値から、一般的な市場での売買を目的とせず、保存や維持が主眼となります。このような不動産について、その保存や特定の利用を前提として求められる価格は、まさに特殊価格の典型的な例です。したがって、この記述は特殊価格の定義とその具体例を適切に示しており、正しい記述です。 【選択肢4】誤。 不動産鑑定評価基準各論第1章第1節「原価法」に関する記述です。原価法は、対象不動産の再調達原価を求め、そこから減価修正を行って価格を求める手法です。この手法は、建物や建物及びその敷地に対して有効であることはもちろんですが、土地に対しても適用可能です。特に、造成地や埋立地のように、土地の取得費用に加えて造成費用などの再調達原価を明確に把握できる土地については、原価法を適用することができます。したがって、「対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない」という記述は誤りです。鑑定評価基準では、土地のみの場合でも適用できると明記されていますので、この点をしっかりと覚えておきましょう。