宅建 令和2年度(2020年)問26 宅建業法 の解説

問題

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。
  2. 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
  3. 個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。
  4. 宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。

正解

正解は選択肢 3 です。

解説

正解は選択肢3です。個人Cが多数の区画に分割した宅地を不特定多数の者に分譲する事業を行う場合、「業として」宅地建物の取引を行うと判断され、宅地建物取引業法第2条第3号に定める宅地建物取引業に該当するため、免許が必要です。自ら売主となる場合でも、反復継続の意思をもって事業規模で行う場合は免許が必要となる点がポイントです。

【宅地建物取引業法 第2条第3号】 「宅地建物取引業」とは、宅地若しくは建物の売買若しくは交換をする行為又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で、業として行うものをいう。 (補足説明:この条文が「宅地建物取引業」の定義です。ポイントは「取引」と「業として」の2つの要素です。本問では「自ら売主」として「業として」行う場合に免許が必要かどうかが問われています。) 【宅地建物取引業法 第3条】 宅地建物取引業を営もうとする者は、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けなければならない。 (補足説明:宅地建物取引業を営むには、原則として免許が必要であることを定めています。) 【宅地建物取引業法 第11条】 宅地建物取引業者について合併があった場合においてその法人が消滅したときは、その合併により消滅した法人の代表者であった者は、その日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。 (補足説明:合併による消滅は廃業等の届出の対象であり、免許が承継されるわけではないことを示唆しています。) 【宅地建物取引業法 第77条】 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営む場合においては、第3条の規定は、適用しない。 (補足説明:信託会社が宅建業を営む場合の特例で、宅建業法上の免許は不要とされています。) 【「業として」の判断基準(判例・通達の趣旨)】 「業として」とは、反復継続の意思をもって、社会通念上事業と認められる程度の行為を行うことを指します。具体的には、取引の対象物件の数、取引の頻度、取引の態様(広告の有無、事務所の設置など)、営利性などを総合的に判断します。特に、不特定多数の者を相手に継続的に取引を行う場合は「業として」と判断されやすいです。

【選択肢1】誤り。 宅地建物取引業の免許は、その業者に一身専属的に与えられるものであり、原則として承継されません。会社が合併により消滅した場合、消滅会社の免許は失効し、存続会社が宅地建物取引業を営むには、新たに免許を取得する必要があります。合併による消滅は、宅地建物取引業法第11条に基づき、30日以内に免許権者へ廃業等の届出をする義務がありますが、免許が承継されることはありません。したがって、B社がA社の免許を承継することはできません。 【選択肢2】誤り。 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営む場合、宅地建物取引業法第77条により、宅地建物取引業法第3条の免許(国土交通大臣または都道府県知事の免許)は不要とされています。これは、信託会社が信託業法によって厳格な監督を受けているため、宅建業法上の免許を重ねて取得させる必要がないという特例措置です。ただし、免許は不要ですが、宅建業法上の業務規制(例えば、重要事項説明や契約書面交付義務など)は適用されます。 【選択肢3】正。 個人Cが「転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業」を行う場合、これは「宅地建物取引業」に該当し、免許が必要です。 ポイントは以下の通りです。 1. **取引の主体**: Dに販売代理を依頼しているため、Cは「自ら売主」として宅地を販売しようとしています。 2. **「業として」の判断**: 「多数の区画に分割し」「不特定多数の者に分譲する事業」という記述から、反復継続の意思をもって、社会通念上事業と認められる程度の行為を行うと判断できます。これは「業として」に該当します。 3. **取得方法や目的**: 競売による取得や転売目的であることは、宅地建物取引業の判断には影響しません。 したがって、Cは宅地建物取引業を営むことになり、宅地建物取引業法第3条に基づき免許を受けなければなりません。 【選択肢4】誤り。 宅地建物取引業の免許は、事務所の所在地によって区分されます。 * **知事免許**: 一つの都道府県内にのみ事務所を設置して宅地建物取引業を営む場合。 * **大臣免許**: 二つ以上の都道府県に事務所を設置して宅地建物取引業を営む場合。 本選択肢では、宅地建物取引業者Eが「乙県内に2以上の事務所を設置」とあります。事務所がすべて乙県内にあるため、設置する事務所の数が2以上であっても、都道府県をまたがっていません。したがって、乙県知事免許のままで問題なく、国土交通大臣への免許換えの申請は不要です。

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