宅建 平成30年度(2018年)問14 権利関係 の解説
問題
不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。
- 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。
- 所有権の登記名義人は、建物の床面積に変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。
- 所有権の登記名義人は、その住所について変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。不動産登記法において、建物の床面積変更のような「表示に関する登記」には1ヶ月以内の申請義務が課されていますが(不動産登記法第37条第1項)、所有権登記名義人の住所変更のような「権利に関する登記」には、原則として申請義務は課されていません。この違いは、不動産の物理的状況を正確に公示する表示登記と、権利関係の変動を公示する権利登記の目的の違いに由来します。
・不動産登記法第1条(申請主義の原則):登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。 ・不動産登記法第28条(表示に関する登記の職権登記):表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。 ・不動産登記法第37条第1項(建物の表示に関する登記の申請義務):建物の表示に関する登記の登記事項に変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該変更があった日から一月以内に、当該変更の登記を申請しなければならない。 ・(補足)権利に関する登記(所有権の登記名義人の住所変更など)には、不動産登記法上、申請義務を課す規定はありません。
【選択肢1】正。不動産登記の原則は「申請主義」です。これは、登記は当事者(不動産の所有者など)が申請するか、官庁や公署(国や地方公共団体)が嘱託(依頼)しない限り、登記官が勝手に行うことはできない、という大原則を定めたものです(不動産登記法第1条)。ただし、「法令に別段の定めがある場合を除き」とあるように、後述の職権登記など例外も存在します。 【選択肢2】正。不動産の物理的な状況(所在、地番、地目、地積、建物の種類、構造、床面積など)を記録する「表示に関する登記」については、登記官が職権(自分の判断)で登記を行うことができます(不動産登記法第28条)。これは、不動産の現況を正確に公示することが非常に重要であるため、申請がなくても登記官が調査し、実態に合わせて登記を修正できる仕組みです。例えば、登記官が現地調査を行い、登記簿と現況が異なると判断した場合に職権で変更登記を行うことがあります。 【選択肢3】正。建物の床面積の変更は、不動産の物理的状況に関する事項であり、「表示に関する登記」に該当します。不動産登記法第37条第1項は、建物の表示に関する登記事項に変更があった場合、表題部所有者(まだ所有権の登記がない建物の所有者)または所有権の登記名義人(所有権の登記がある建物の所有者)は、その変更があった日から1ヶ月以内に変更の登記を申請しなければならない、と明確に義務付けています。この義務を怠ると、過料(罰金のようなもの)に処される可能性があります。 【選択肢4】誤。所有権の登記名義人の住所変更は、不動産の権利に関する事項であり、「権利に関する登記」に該当します。不動産登記法には、所有権の登記名義人の住所や氏名に変更があった場合に、1ヶ月以内に変更登記を申請しなければならないという義務を課す規定はありません。住所変更の登記は、将来の売買や抵当権設定などの際に、登記名義人と現在の所有者が同一人物であることを証明するために必要となることが多いため、実務上は速やかに申請することが推奨されますが、法律上の義務ではありません。したがって、「1ヶ月以内に、変更の登記を申請しなければならない」という記述は誤りです。