宅建 平成29年度(2017年)問22 法令上の制限 の解説
問題
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 津波防災地域づくりに関する法律によれば、津波防護施設区域内において土地の掘削をしようとする者は、一定の場合を除き、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
- 国土利用計画法によれば、市街化区域内の3,000m²の土地を贈与により取得した者は、2週間以内に、都道府県知事(地方自治法に基づく指定都市にあっては、当該指定都市の長)に届け出なければならない。
- 景観法によれば、景観計画区域内において建築物の新築、増築、改築又は移転をした者は、工事着手後30日以内に、その旨を景観行政団体の長に届け出なければならない。
- 道路法によれば、道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間であっても、道路管理者が当該区域についての土地に関する権原を取得する前であれば、道路管理者の許可を受けずに、当該区域内において工作物を新築することができる。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。津波防災地域づくりに関する法律第31条第1項に基づき、津波防護施設区域内での土地の掘削は、津波防護施設の機能維持のため、原則として津波防護施設管理者の許可が必要です。他の選択肢は、国土利用計画法、景観法、道路法の規定に照らして誤りとなります。
【津波防災地域づくりに関する法律 第31条第1項】 津波防護施設区域内において、土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為又は工作物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。 (補足)津波防護施設区域は、津波から人命や財産を守るための施設(防潮堤など)の機能を維持するために指定される区域です。この区域内での行為は、施設の安全性や機能に影響を与える可能性があるため、管理者の許可が必要とされます。 【国土利用計画法 第23条第1項】 土地売買等契約(対価を得て行われる土地に関する権利の移転又は設定をいう。以下同じ。)を締結した者は、当該契約を締結した日から起算して二週間以内に、国土交通省令で定めるところにより、当該土地に関する権利の種類及び面積、当該土地の利用目的その他国土交通省令で定める事項を都道府県知事(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、当該指定都市の長。以下同じ。)に届け出なければならない。 (補足)事後届出の対象は「対価を得て行われる」契約です。贈与は対価性がないため、事後届出の対象外となります。また、市街化区域の届出対象面積は2,000m²以上です。 【景観法 第16条第1項】 景観計画区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を景観行政団体の長に届け出なければならない。 (補足)景観法に基づく届出は、良好な景観形成のため、行為の「着手前」に行う「事前届出」が原則です。 【道路法 第24条】 道路管理者は、道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間であっても、道路の構造を保全し、交通の危険を防止し、又は道路の円滑な交通を確保するため必要があると認めるときは、道路の区域内の土地について、工作物の新築、改築、増築、移転、除却、土地の掘削、盛土、切土その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為を制限し、又は禁止することができる。 (補足)道路の区域が決定された時点で、その土地は将来の道路用地としての性格を持ちます。供用開始前であっても、道路管理者は道路の保全や交通の安全確保のために必要な行為制限を課すことができます。土地の権原取得の有無は関係ありません。
【選択肢1】正。 津波防災地域づくりに関する法律第31条第1項は、津波防護施設区域内において、土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為、又は工作物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、一定の場合を除き、津波防護施設管理者の許可を受けなければならないと定めています。これは、津波防護施設の機能が損なわれることを防ぎ、津波から人命や財産を守るための重要な規制です。したがって、本記述は正しいです。 【選択肢2】誤。 国土利用計画法第23条第1項によれば、事後届出の対象となるのは「土地売買等契約」であり、これは「対価を得て行われる土地に関する権利の移転又は設定」を指します。贈与は対価を伴わないため、事後届出の対象とはなりません。市街化区域内の土地の届出対象面積は2,000m²以上であり、3,000m²はこの要件を満たしますが、贈与である点が誤りです。したがって、本記述は誤りです。 【選択肢3】誤。 景観法第16条第1項は、景観計画区域内において建築物の新築等の行為をしようとする者は、「当該行為に着手する日の30日前まで」に、その旨を景観行政団体の長に届け出なければならないと定めています。これは、良好な景観形成のために、行為の内容を事前に確認し、必要に応じて指導・助言を行うための「事前届出」制度です。「工事着手後30日以内」とする本記述は、届出の時期が誤っています。したがって、本記述は誤りです。 【選択肢4】誤。 道路法第24条は、道路の区域が決定された後、道路の供用が開始されるまでの間であっても、道路管理者は道路の構造を保全し、交通の危険を防止し、又は道路の円滑な交通を確保するため必要があると認めるときは、道路の区域内の土地について、工作物の新築等の行為を制限し、又は禁止することができると定めています。これは、将来の道路用地としての保全を図るための規定であり、道路管理者が当該区域についての土地に関する権原を取得しているか否かに関わらず適用されます。したがって、道路管理者の許可なく工作物を新築することはできません。本記述は誤りです。