宅建 平成28年度(2016年)問14 権利関係 の解説
問題
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。
- 登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれる。
- 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
- 区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。新築した建物や表題登記がない建物の所有権を取得した者が申請義務を負うのは「所有権の保存の登記」ではなく、「建物の表題登記」であり、その申請義務者は「所有権を取得した者」ではなく「所有者」です(不動産登記法第47条第1項)。所有権の保存登記自体は、原則として申請義務が課されるものではありません。
【不動産登記法第3条】登記することができる権利の種類を規定。 【不動産登記法第47条第1項】新築建物等の表題登記の申請義務について規定。 【不動産登記法第57条第1項】建物滅失登記の申請義務について規定。 【不動産登記法第74条第1項】所有権の保存登記の申請適格について規定。 【不動産登記法第74条第2項】区分建物の所有権の保存登記の申請適格の特例について規定。
【選択肢1】誤。この記述は、不動産登記法第47条第1項の「建物の表題登記」に関する規定と混同しています。不動産登記法第47条第1項は、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。」とは定めていません。 正しくは、不動産登記法第47条第1項において「新築した建物の所有者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。」と規定されています。つまり、申請義務があるのは「所有権の保存の登記」ではなく「表題登記」であり、申請義務者は「所有権を取得した者」ではなく「所有者」です。また、所有権の保存登記は、原則として任意で行う登記であり、申請義務はありません。この点が誤りです。 【選択肢2】正。不動産登記法第3条は、登記することができる権利の種類を列挙しており、その中には所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権、信託などが含まれます。したがって、抵当権や賃借権は、不動産登記法上、登記することができる権利です。これらの権利を登記することで、第三者に対してその権利を主張(対抗)できるようになります。 【選択肢3】正。不動産登記法第57条第1項は、「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。」と規定しています。これは、不動産登記簿の現況との一致を図るための重要な義務であり、登記簿上の建物が実際には存在しない状態を放置しないようにするためのものです。表題部所有者とは、まだ所有権の登記がされていない建物について、登記簿の表題部に所有者として記載されている者を指します。 【選択肢4】正。不動産登記法第74条第1項では、所有権の保存登記は原則として「表題部所有者」のみが申請できるとされています。しかし、区分建物(マンションなど)については、不動産登記法第74条第2項に特例が設けられています。この特例により、「区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。」とされています。これは、区分建物の取引が頻繁に行われる実情に鑑み、所有権の移転を円滑にするための措置です。例えば、マンションのデベロッパー(表題部所有者)から購入した買主が、直接自分の名義で所有権の保存登記を申請できる、ということです。