宅建 平成27年度(2015年)問3 権利関係 の解説

問題

AB間で、Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。
  2. Bは、①では、甲建物のAの負担に属する必要費を支出したときは、Aに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
  3. AB間の契約は、①では諾成契約であり、②では要物契約である。
  4. AはBに対して、甲建物の瑕疵について、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。

正解

正解は選択肢 4 です。

解説

正解は選択肢4です。使用貸借契約において、貸主は原則として借用物の瑕疵について担保責任を負いませんが、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかった場合は、責任を負うことになります(民法590条1項ただし書)。選択肢4は「②では担保責任を負わない」と断定しているため、この例外を考慮すると誤りとなります。

【民法590条1項(使用貸借における貸主の担保責任)】 貸主は、借用物の瑕疵について、その責任を負わない。ただし、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは、この限りでない。 (補足説明)使用貸借は無償契約であるため、貸主の責任は軽減されています。しかし、悪意の貸主まで保護する必要はないため、知っていた瑕疵を告げなかった場合は責任を負うことになります。宅建試験では、この「ただし書」の存在がポイントになることが多いので、しっかり押さえましょう。

【選択肢1】正。 ①賃貸借契約は、賃借人(B)が死亡しても、その賃借権は相続の対象となり、原則として契約は終了しません。賃借人の相続人が賃借権を承継します。これに対し、②使用貸借契約は、借主の個人的な信頼関係に基づく無償契約であるため、借主(B)が死亡したときは、民法597条3項の規定により契約は終了します。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢2】正。 ①賃貸借契約において、賃借人(B)は賃貸物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負う賃貸人(A)に対し、自ら支出した必要費(例えば、雨漏りの修理費用など)の償還を直ちに請求することができます(民法606条2項)。一方、②使用貸借契約では、借主(B)は借用物の通常の必要費(例えば、電球の交換費用や日常的な清掃費用など)を自ら負担しなければなりません(民法595条1項)。これは、使用貸借が無償契約であるため、借主にも一定の負担を求める趣旨です。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢3】正。 ①賃貸借契約は、当事者間の合意(賃貸人がある物を相手方に使用及び収益させることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約する)のみで成立する「諾成契約」です(民法601条)。実際に物を引き渡すことは契約の成立要件ではありません。これに対し、②使用貸借契約は、当事者間の合意に加え、貸主が借主に物を引き渡すこと(借主が物を受け取ること)によって成立する「要物契約」です(民法587条)。無償で物を貸すという性質上、物の引渡しが契約成立の要件とされています。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢4】誤。 ①賃貸借契約において、賃貸人(A)は、賃貸物の使用収益に必要な状態を維持する義務を負い(民法606条1項)、賃貸物に瑕疵(契約不適合)がある場合には、賃借人(B)に対して担保責任(契約不適合責任)を負う場合があります。これは、売買契約の規定が準用されるためです。一方、②使用貸借契約では、貸主(A)は原則として借用物の瑕疵について担保責任を負いません。しかし、民法590条1項ただし書には「貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは、この限りでない」と規定されており、貸主が悪意の場合には担保責任を負います。したがって、「②では担保責任を負わない」と断定する記述は、この例外があるため誤りとなります。この「ただし書」の存在が、宅建試験でよく問われるポイントです。

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