宅建 平成22年度(2010年)問44 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許) に対し、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要な勧告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に通知しなければならない。
- 甲県知事は、乙県知事の登録を受けている取引主任者に対し、甲県の区域内において取引主任者として行う事務に関し不正な行為をしたことを理由として指示処分をしようとするときは、あらかじめ、乙県知事に協議しなければならない。
- 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内における業務に関して県知事から指示処分を受けたときは、甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には、当該指示の年月日及び内容が記載される。
- 甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許) に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。宅地建物取引業者が監督処分(指示処分、業務停止処分、免許取消処分)を受けた場合、その事実は免許権者が備える宅地建物取引業者名簿に記載されることになっています(宅地建物取引業法第9条第1項第6号)。免許権者以外の知事が処分を行った場合でも、その情報は免許権者に通知され、名簿に記載されるため、本選択肢は正しい記述となります。
宅地建物取引業法における監督処分に関する主な条文は以下の通りです。 * **第8条(宅地建物取引業者名簿)**: 免許権者が宅地建物取引業者名簿を備えることを規定しています。 * **第9条第1項第6号(宅地建物取引業者名簿の記載事項)**: 宅地建物取引業者が指示処分、業務停止処分、免許取消処分を受けた場合、その年月日及び内容が名簿に記載されることを定めています。これは、取引の相手方が業者の信頼性を確認できるようにするための重要な情報です。 * **第65条(指示処分)**: 宅地建物取引業者に対する指示処分の要件と、誰が処分権者となるかを規定しています。業務地の知事も処分権者となり得ます。 * **第68条(宅地建物取引士に対する指示処分等)**: 宅地建物取引士(問題文では取引主任者)に対する指示処分や事務禁止処分について規定しています。処分権者は登録地の都道府県知事です。 * **第68条の2(不正行為等の通知)**: 宅地建物取引士が登録地以外の都道府県で不正行為等をした場合、その行為地の知事が登録地の知事に通知する義務を定めています。これにより、登録地の知事が適切な処分を行えるようになります。 * **第69条(業務停止処分)**: 宅地建物取引業者に対する業務停止処分の要件と、誰が処分権者となるかを規定しています。 * **第70条(免許取消処分)**: 宅地建物取引業者に対する免許取消処分の要件と、誰が処分権者となるかを規定しています。 * **第71条(勧告)**: 国土交通大臣または都道府県知事が、宅地建物取引業の適正な運営を確保するために必要な勧告ができることを規定しています。勧告は監督処分とは異なり、法的拘束力は弱いですが、監督権限の一環です。
【選択肢1】誤。国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許) に対し、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要な勧告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に通知しなければならない。 * **解説**: 宅地建物取引業法第71条は、国土交通大臣または都道府県知事が宅地建物取引業者に対し、必要な勧告をすることができると定めています。しかし、この勧告は「指示処分」「業務停止処分」「免許取消処分」といった監督処分とは異なり、法的拘束力を持つものではありません。監督処分(指示、業務停止、取消)を行った場合には、免許権者への通知義務が明確に規定されていますが(宅建業法第69条第2項、第70条第2項)、勧告については、その旨を免許権者に通知する義務は法律上定められていません。したがって、本選択肢は誤りです。 【選択肢2】誤。甲県知事は、乙県知事の登録を受けている取引主任者に対し、甲県の区域内において取引主任者として行う事務に関し不正な行為をしたことを理由として指示処分をしようとするときは、あらかじめ、乙県知事に協議しなければならない。 * **解説**: 宅地建物取引士(問題文では取引主任者)に対する監督処分(指示処分や事務禁止処分)を行う権限を持つのは、その取引士が登録を受けている都道府県知事のみです(宅地建物取引業法第68条第2項)。不正行為があった場所の知事(甲県知事)が直接処分を行うことはできません。甲県知事は、乙県知事の登録を受けている取引士が甲県内で不正行為をした事実を把握した場合、その事実を登録地の知事である乙県知事に通知しなければなりません(宅地建物取引業法第68条の2)。そして、通知を受けた乙県知事が、指示処分や事務禁止処分を検討・実施することになります。協議ではなく、通知が義務付けられているため、本選択肢は誤りです。 【選択肢3】正。宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内における業務に関して県知事から指示処分を受けたときは、甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には、当該指示の年月日及び内容が記載される。 * **解説**: 宅地建物取引業者名簿は、その業者の免許権者が備えることになっています(宅地建物取引業法第8条)。そして、宅地建物取引業者が指示処分、業務停止処分、免許取消処分といった監督処分を受けた場合、その処分の年月日及び内容が、この宅地建物取引業者名簿に記載されることとされています(宅地建物取引業法第9条第1項第6号)。本件では、業者Aは甲県知事免許ですが、乙県での業務に関して乙県知事から指示処分を受けています。この場合、乙県知事は処分を行った旨を免許権者である甲県知事に通知し、甲県知事がその内容を業者名簿に記載することになります。したがって、本選択肢は正しい記述です。 【選択肢4】誤。甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許) に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。 * **解説**: 宅地建物取引業者に対する監督処分の中で、その内容を公報で公告する義務があるのは、免許取消処分の場合に限られます(宅地建物取引業法第69条第3項、第70条第3項)。指示処分や業務停止処分については、公告義務は法律上定められていません。本選択肢は指示処分に関するものであり、公告義務はないため、誤りです。試験では、どの処分に公告義務があるのか、しっかり区別して覚えておくことが重要です。