宅建 令和6年度(2024年)問49 税・その他 の解説
問題
土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 30度以上の角度をなす斜面を背後に控える宅地は、崖面への保護対策を講じるか、擁壁を設けるなどの必要がある。
- 高さ2m以下の擁壁であれば、水抜き孔を有しなくても、地震による被害が生じることはない。
- 重力式擁壁は、擁壁の自重により、背面からの土圧に抵抗するコンクリート構造物である。
- 工場跡地や埋立地などでは、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が問題となることがある。
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。擁壁は、その高さに関わらず、背後の土壌に含まれる水分を排出するための「水抜き孔」を設けることが非常に重要です。水抜き孔がないと、雨水などが擁壁の裏側に溜まり、土の重さ(土圧)が増加するだけでなく、地震時には液状化現象のリスクも高まり、擁壁の倒壊につながる可能性があります。したがって、「水抜き孔を有しなくても、地震による被害が生じることはない」という記述は誤りです。
擁壁の構造に関する基準は、主に建築基準法(特に建築基準法施行令第8章「擁壁」)や、宅地造成等規制法(現在は宅地造成等規制法及び特定盛土等規制法)によって定められています。これらの法律や関連する政令・告示では、安全な宅地を確保するため、擁壁の高さや種類に応じて、水抜き孔の設置を含む詳細な構造基準が規定されています。水抜き孔は、擁壁背面の地下水位を低下させ、土圧を軽減し、擁壁の安定性を確保するために不可欠な要素とされています。
【選択肢1】正。30度以上の角度をなす斜面は、一般的に「がけ」と呼ばれ、がけ崩れの危険性が高いとされています。宅地造成等規制法や建築基準法では、このようながけに近接する宅地について、がけ崩れによる被害を防止するため、擁壁の設置や地盤の改良など、適切な保護対策を講じることを義務付けています。これは、安全な宅地利用を確保するための基本的な考え方です。 【選択肢2】誤。擁壁の高さに関わらず、水抜き孔は擁壁の安定性を保つ上で極めて重要です。水抜き孔がないと、擁壁の背後に雨水や地下水が溜まり、土の重量が増加して擁壁にかかる土圧が大きくなります。特に地震時には、水を含んだ土の圧力が急激に増大し、擁壁が倒壊する危険性が高まります。したがって、「水抜き孔を有しなくても、地震による被害が生じることはない」という記述は不適当です。 【選択肢3】正。重力式擁壁は、その名の通り、擁壁自身の重さ(自重)を利用して、背後からの土圧(土が擁壁を押す力)に抵抗し、安定を保つ構造の擁壁です。コンクリートや石材などで造られ、断面が大きく、安定性が高いのが特徴です。これは重力式擁壁の基本的な定義であり、正しい記述です。 【選択肢4】正。工場跡地(特に化学工場、金属加工工場など)や埋立地(産業廃棄物などが埋められた可能性のある場所)は、過去の利用履歴から、土壌中に有害物質が残存しているリスクが高い場所です。重金属(カドミウム、鉛、ヒ素など)や揮発性有機化合物(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)は、代表的な土壌汚染物質であり、土壌汚染対策法によって規制されています。不動産取引においても、これらの場所では土壌汚染調査が重要となります。