宅建 令和3年度(2021年)問6 権利関係 の解説

問題

次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
  2. 債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、その後に発生した債権を取得できない。
  3. 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
  4. 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

正解

正解は選択肢 2 です。

解説

正解は選択肢2です。民法上、将来発生する債権(将来債権)であっても、その発生原因や範囲が特定されていれば、有効に譲渡できると解されています(判例・通説)。したがって、「その後に発生した債権を取得できない」とする選択肢2の記述は誤りとなります。

【民法第466条(債権の譲渡性及び譲渡制限の意思表示)】 1. 債権は、譲り渡すことができる。 2. 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をした場合であっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。 3. 前項の規定は、その意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、適用しない。 4. 前項に規定するもののほか、譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合における債務者の抗弁については、第457条の規定を準用する。 【民法第467条(債権の譲渡の対抗要件)】 1. 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2. 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 【将来債権の譲渡に関する判例の趣旨】 最判昭和36年4月21日など:将来発生する債権であっても、その発生原因、発生時期、金額などが特定されており、将来確実に発生することが期待できる場合には、有効に譲渡の対象とすることができるとされています。

【選択肢1】正。 譲渡制限の意思表示(特約)がされた債権であっても、民法第466条第2項により、その債権譲渡の効力は原則として妨げられません。つまり、譲渡自体は有効です。しかし、譲渡制限特約の存在を知っていた(悪意)または知らなかったことに重大な過失があった(重過失)譲受人に対しては、債務者は履行を拒むことができます(民法第466条第3項)。さらに、債務者は、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗できるほか、その債権の全額に相当する金銭を供託することもできます(民法第466条第4項、第457条準用)。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢2】誤。 債権は、その意思表示の時に現に発生している必要はありません。将来発生する債権(将来債権)であっても、その発生原因や範囲が特定されており、将来確実に発生することが期待できる場合には、有効に譲渡の対象とすることができます。例えば、将来の給料債権や売掛金債権などがこれに該当します。これは判例によって確立された考え方であり、民法改正後もこの解釈は維持されています。したがって、「その後に発生した債権を取得できない」とする本選択肢の記述は誤りです。 【選択肢3】正。 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていた(悪意)場合、民法第466条第3項により、債務者はその譲受人に対して債務の履行を拒むことができます。また、同条第4項が準用する第457条の規定により、債務者は、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由(例えば、相殺など)をもって、譲受人に対抗することができます。これは、譲渡制限特約の趣旨を保護するための規定です。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢4】正。 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をするか、または債務者が承諾をしなければ、債務者に対してその効力を主張することができません(民法第467条第1項)。これを「債務者への対抗要件」といいます。さらに、債務者以外の第三者(例えば、二重譲渡の際の他の譲受人など)に対抗するためには、その通知または承諾が「確定日付のある証書」によって行われなければなりません(民法第467条第2項)。これを「第三者への対抗要件」といいます。本選択肢の記述は、これらの民法第467条の規定を正確に述べており、正しいです。

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