宅建 令和3年度(2021年)問14 権利関係 の解説

問題

次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がある場合においても、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。
  2. 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。
  3. 法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
  4. 信託の登記は、受託者が単独で申請することができない。

正解

正解は選択肢 3 です。

解説

正解は選択肢3です。法人の合併は、不動産登記法63条2項に規定される「相続その他の一般承継」に該当するため、権利を承継する法人(登記権利者)が単独で登記申請を行うことができます。これは、合併により登記義務者となるべき法人が消滅するため、共同申請の相手方が存在しないことによる特例です。

・**不動産登記法60条(共同申請の原則)**: 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない。 ・**不動産登記法63条2項(単独申請の特例)**: 相続その他の一般承継による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。 (補足)「その他の一般承継」には、法人の合併や会社分割などが含まれます。これらの場合、権利義務が包括的に承継されるため、登記義務者が存在しないか、存在しても共同申請が困難なため、登記権利者による単独申請が認められています。 ・**民法111条1項1号(代理権の消滅事由)**: 代理権は、本人の死亡によって消滅する。 (補足)ただし、登記申請の代理権については、判例により特例が認められています。 ・**不動産登記法98条1項(信託の登記の申請)**: 信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。 (補足)さらに同条4項で、受託者には信託の登記を申請する義務があることも定められています。 ・**不動産登記法76条1項(抹消登記の原則)**: 登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない。

【選択肢1】誤。所有権の登記の抹消は、原則として登記権利者と登記義務者の共同申請が必要です(不動産登記法76条1項)。例えば、AからBへの所有権移転登記を抹消する場合、Bが登記義務者、Aが登記権利者となり、Bが単独で抹消申請することはできません。登記名義人が単独で抹消申請できるのは、その登記が錯誤や無効であることが明らかで、かつその名義人が抹消によって不利益を受ける側(登記義務者)である場合など、ごく限られた例外的なケースに限られます。本肢のように「所有権の移転の登記がある場合」に、その移転登記の抹消を「所有権の登記名義人」(通常は抹消される登記の登記名義人、つまり登記義務者)が単独で申請することはできません。 【選択肢2】誤。民法111条1項1号によれば、代理権は本人の死亡によって消滅するのが原則です。しかし、不動産登記の申請代理については、判例(大審院大正10年10月28日判決)により特例が認められています。登記申請行為は、単なる私法上の行為ではなく、登記官に対する公法上の行為としての性質を持つため、本人が死亡した後でも、その代理人は有効に登記申請を行うことができるとされています。これは、登記手続きの安定性を図るための重要な例外であり、試験でも頻出のポイントです。 【選択肢3】正。不動産登記法63条2項は、「相続その他の一般承継による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる」と定めています。法人の合併は、合併によって消滅する法人(被合併法人)の権利義務が、合併によって存続する法人または新設される法人(合併法人)に包括的に承継される「一般承継」に該当します。この場合、登記義務者となるべき被合併法人は合併により消滅してしまうため、共同申請の相手方が存在しません。したがって、権利を承継する合併法人(登記権利者)が単独で登記申請を行うことが認められています。 【選択肢4】誤。不動産登記法98条1項は、「信託の登記は、受託者が単独で申請することができる」と明確に規定しています。さらに、同条4項では、受託者には信託の登記を申請する義務があることも定められています。信託の登記は、信託財産が受託者の固有財産と区別されることを公示し、信託関係を明確にする上で非常に重要な登記であるため、受託者が単独で申請し、かつその申請義務を負うことになっています。

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