宅建 令和2年度(2020年)問18 法令上の制限 の解説
問題
次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。
- 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。
- 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。
- 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。建築基準法では、老人ホームなどの特定建築物において、高齢者等の居住環境向上を目的として、共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積を容積率の算定基礎となる延べ面積から除外する特例が設けられています(建築基準法第52条第6項、同法施行令第2条第1項第4号)。これにより、ゆとりのある共用スペースの確保が促進されます。
【建築基準法第52条第6項】 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める建築物の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。 【建築基準法施行令第2条第1項第4号】 法第52条第6項の政令で定める建築物は、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものであって、政令で定める基準に適合するものとする。 【補足説明】 これらの規定は、高齢者や障害者などが安心して快適に生活できる施設(特定建築物)の整備を促進するための特例です。共用部分の面積を容積率計算から除外することで、建築主はより広い共用スペースを確保しやすくなり、居住者の利便性や安全性の向上が図られます。この特例は、社会福祉の観点から重要な緩和措置と言えます。
【選択肢1】誤。 建築基準法第44条第1項は、道路内における建築物の建築を原則として禁止しています。ただし、例外として、特定行政庁の許可を得て建築できるもの(同項第1号)と、許可不要で建築できるもの(同項第2号)があります。 公衆便所及び巡査派出所は、「公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」に該当するため、特定行政庁の許可が必要です(建築基準法第44条第1項第1号)。 したがって、「特定行政庁の許可を得ないで」という記述は誤りです。許可不要なのは、地下に設ける建築物、公衆電話ボックス、郵便差出箱、消火栓、街灯、信号機など(同項第2号)です。 【選択肢2】誤。 建築物の用途制限は、用途地域ごとに建築基準法別表第2で定められています。近隣商業地域における建築制限を確認すると、別表第2(い)項第2号において、「劇場、映画館、演芸場又は観覧場で客席の部分の床面積の合計が200㎡以上のもの」は建築可能とされています。 したがって、近隣商業地域内において客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができ、記述の「建築することができない」は誤りです。 【選択肢3】正。 建築基準法第52条第6項及び同法施行令第2条第1項第4号の規定により、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類する政令で定める建築物(特定建築物)の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積には算入しないものとされています。これは、高齢者等の居住環境の向上を目的とした特例措置です。 したがって、記述は正しいです。 【選択肢4】誤。 日影による中高層の建築物の高さの制限(日影規制)は、建築基準法第56条の2及び同法施行令第130条の2で定められています。日影時間の測定は、日照時間が最も短くなる「冬至日」の真太陽時で行われます。夏至日は日照時間が最も長いため、日影規制の測定日としては不適切です。 また、測定時間については、商業地域及び近隣商業地域では午前8時から午後4時までの間、その他の地域では午前9時から午後3時までの間が原則とされています(ただし、地方公共団体の条例で異なる場合があります)。 したがって、「夏至日」という記述が誤りです。