宅建 令和1年度(2019年)問50 税・その他 の解説
問題
建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 地震に対する建物の安全確保においては、耐震、制震、免震という考え方がある。
- 制震は制振ダンパーなどの制振装置を設置し、地震等の周期に建物が共振することで起きる大きな揺れを制御する技術である。
- 免震はゴムなどの免震装置を設置し、上部構造の揺れを減らす技術である。
- 耐震は、建物の強度や粘り強さで地震に耐える技術であるが、既存不適格建築物の地震に対する補強には利用されていない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。耐震技術は、建物の強度や粘り強さで地震に耐える技術であり、既存不適格建築物(建築時には適法だったが、その後の法改正により現行の耐震基準に適合しなくなった建物)の地震に対する補強に積極的に利用されています。特に、建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)に基づき、既存建築物の耐震化が推進されています。
本問は、建築物の構造に関する一般的な知識と、特に既存建築物の耐震改修に関する理解を問うものです。直接的な条文番号を挙げるよりも、その背景にある「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」の趣旨を理解することが重要です。この法律は、既存建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図り、国民の生命、身体及び財産を保護することを目的としています。同法において「耐震改修」とは、建築物の耐震性を向上させるための工事を指し、耐震技術がその中心となります。
【選択肢1】正。 地震に対する建物の安全確保の考え方として、「耐震」「制震」「免震」の3つは主要な技術であり、それぞれ異なるアプローチで建物を地震から守ります。これらは建築基準法や関連法規でその有効性が認められ、広く採用されています。耐震は建物そのものの強度で耐える、制震は揺れを吸収する、免震は揺れを建物に伝えない、という基本的な違いを理解しておきましょう。 【選択肢2】正。 制震(せしん)は、建物に制振ダンパーなどの制振装置を設置することで、地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを低減する技術です。特に、建物の固有周期と地震動の周期が一致して揺れが大きくなる「共振」現象を抑制し、建物の損傷を軽減することを目的としています。これにより、建物の安全性だけでなく、居住者の快適性も向上させます。制振ダンパーは、車のショックアブソーバーのような働きをイメージすると分かりやすいでしょう。 【選択肢3】正。 免震(めんしん)は、建物と基礎の間に積層ゴムアイソレーターや滑り支承などの免震装置を設置し、建物と地盤を物理的に切り離すことで、地震の揺れが建物に直接伝わるのを大幅に軽減する技術です。これにより、上部構造(建物本体)の揺れを小さくし、建物や内部の家具・設備への被害を最小限に抑えることができます。非常に高い安全性を確保できるのが特徴で、病院やデータセンターなど、機能維持が特に求められる建物で採用されることが多いです。 【選択肢4】誤。 耐震は、建物の柱、梁、壁などの構造部材の強度や粘り強さを高めることで、地震の揺れに耐え、倒壊を防ぐ技術です。そして、この耐震技術は、既存不適格建築物(建築時には適法だったが、その後の法改正により現行の耐震基準に適合しなくなった建物)の地震に対する補強に、まさに積極的に利用されています。例えば、壁の増設、筋交いの追加、柱や梁の補強、接合部の強化などが一般的な耐震補強工事として行われます。これは、建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)などに基づき、既存建築物の耐震性向上を図る上で非常に重要な対策とされています。したがって、「利用されていない」という記述は明らかに誤りです。