宅建 平成30年度(2018年)問47 税・その他 の解説

問題

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 新築分譲住宅について、価格で販売を開始してから3か月以上経過したため、価格Aから価格Bに値下げをすることとし、価格Aと価格Bを併記して、値下げをした旨を表示する場合、値下げ金額が明確になっていれば、価格Aの公表時期や値下げの時期を表示する必要はない。
  2. 土地上に古家が存在する場合に、当該古家が、住宅として使用することが可能な状態と認められる場合であっても、古家がある旨を表示すれば、売地と表示して販売しても不当表示に問われることはない。
  3. 新築分譲マンションの広告において、当該マンションの完成図を掲載する際に、敷地内にある電柱及び電線を消去する加工を施した場合であっても、当該マンションの外観を消費者に対し明確に示すためであれば、不当表示に問われることはない。
  4. 複数の売買物件を1枚の広告に掲載するに当たり、取引態様が複数混在している場合には、広告の下部にまとめて表示すれば、どの物件がどの取引態様かを明示していなくても不当表示に問われることはない。

正解

正解は選択肢 2 です。

解説

正解は選択肢2です。不動産の表示に関する公正競争規約において、土地に古家が存在する場合でも、その旨を明確に表示すれば、消費者に誤解を与えることなく「売地」として広告することが認められています。これは、表示の全体として消費者が物件の状況を正しく認識できるかどうかが重要となるためです。

本問題は、不当景品類及び不当表示防止法(通称:景品表示法)と、その下で定められている「不動産の表示に関する公正競争規約」の理解を問うものです。特に、以下の条文・規約が関連します。 * **不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条(不当な表示の禁止)**:事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について、一般消費者に誤認されるおそれのある表示をしてはならないと定めています。これは、消費者が商品やサービスを適切に選択できるよう、不正確な情報や誤解を招く表示を禁止するものです。 * **不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条第1項第1号(有利誤認表示の禁止)**:物件の内容、取引条件その他取引に関する事項について、実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示や、競争事業者のものよりも著しく優良であると誤認させる表示を禁止しています。 * **不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条第1項第2号(物件の内容に関する不当表示の禁止)**:物件の内容、取引条件その他取引に関する事項について、実際のもの又は事実に相違して、一般消費者に誤認されるおそれのある表示を禁止しています。 * **不動産の表示に関する公正競争規約第15条第1項第1号**:土地に建物がある場合において、当該建物を解体して土地として販売する予定であるときは、その旨を明示して土地として表示することができると定めています。また、本問の選択肢2のように、解体予定でなくても古家がある旨を明示すれば、土地として表示することが許容されると解釈されます。 * **不動産の表示に関する公正競争規約第16条第1項第1号**:完成予想図等を表示する際は、その旨を明示し、かつ、実際のものと異なる場合は、その内容及び程度の表示をしなければならないと定めています。 * **不動産の表示に関する公正競争規約第17条第1項第1号**:広告には取引態様(売主、代理、媒介)を明示することを義務付けています。これは宅地建物取引業法第34条の2第1項にも基づく重要なルールです。

【選択肢1】誤り。 新築分譲住宅の値下げ表示は、消費者に有利な情報として受け取られるため、特に慎重な表示が求められます。不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条第1項第1号(有利誤認表示の禁止)に照らすと、比較対照価格(元の価格A)を表示する際には、その価格がいつからいつまで表示されていたか、そして値下げがいつから行われたか(値下げの時期)を明確に表示する必要があります。これにより、消費者はその値下げが本当に「お得」なものなのか、客観的に判断できるようになります。単に値下げ金額が明確なだけでは不十分であり、元の価格の公表時期や値下げの時期を表示しないと、実際よりも有利であると誤認させる「有利誤認表示」に該当する可能性があります。したがって、「表示する必要はない」という記述は誤りです。 【選択肢2】正解。 土地上に古家が存在する場合、「売地」とだけ表示すると、消費者は更地であると誤解する可能性があります。しかし、本選択肢では「古家がある旨を表示すれば」という条件が付いています。不動産の表示に関する公正競争規約第15条第1項第1号は、建物を解体して土地として販売する予定の場合に「土地」として表示できる旨を定めていますが、解体予定でなくても、古家が存在することを明確に表示(例:「売地(古家付、現状有姿)」など)すれば、消費者は物件の現状を正しく認識できます。景品表示法や公正競争規約の目的は、消費者に誤解を与えないことです。古家が存在し、それが住宅として使用可能な状態であっても、その事実を明示することで、消費者は土地の購入を主目的としつつ、古家の存在も認識した上で検討できるため、不当表示には問われません。したがって、この記述は正しいです。 【選択肢3】誤り。 新築分譲マンションの完成図は、将来の姿を予測して描かれたものであり、実際の物件とは異なる場合があります。不動産の表示に関する公正競争規約第16条第1項第1号では、完成予想図等を表示する際には、その旨を明示し、かつ、実際のものと異なる場合は、その内容及び程度の表示をしなければならないと定めています。敷地内にある電柱や電線は、景観や日当たり、プライバシーなどに影響を与える可能性のある周辺環境の一部です。これらを消去して表示することは、実際の景観よりも良く見せようとする意図があるとみなされ、消費者に物件の魅力や環境について誤解を与える可能性があります。「当該マンションの外観を消費者に対し明確に示すためであれば」という理由付けは、実際と異なる表示を正当化するものではありません。したがって、このような加工は不当表示に問われる可能性が高く、「不当表示に問われることはない」という記述は誤りです。 【選択肢4】誤り。 宅地建物取引業法第34条の2第1項および不動産の表示に関する公正競争規約第17条第1項第1号により、宅地建物取引業者が広告を行う際には、取引態様(売主、代理、媒介)を明示することが義務付けられています。これは、消費者が広告を見た際に、その物件が誰から提供されているのか、どのような立場の業者と取引することになるのかを明確に理解できるようにするためです。複数の物件を1枚の広告に掲載する場合、それぞれの物件について、どの取引態様であるかを個別に明示する必要があります。広告の下部にまとめて表示するだけでは、どの物件がどの取引態様なのかが不明確となり、消費者に誤解を与える可能性があります。したがって、「どの物件がどの取引態様かを明示していなくても不当表示に問われることはない」という記述は誤りです。

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