宅建 平成29年度(2017年)問44 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者A社が免許を受けていないB社との合併により消滅する場合、存続会社であるB社はA社の免許を承継することができる。
- 個人である宅地建物取引業者Cがその事業を法人化するため、新たに株式会社Dを設立しその代表取締役に就任する場合、D社はCの免許を承継することができる。
- 個人である宅地建物取引業者E(甲県知事免許) が死亡した場合、その相続人は、Eの死亡を知った日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならず、免許はその届出があった日に失効する。
- 宅地建物取引業者F社(乙県知事免許) が株主総会の決議により解散することとなった場合、その清算人は、当該解散の日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。宅地建物取引業の免許は、特定の個人または法人に与えられるものであり、原則として承継されません。また、免許の失効時期や届出義務についても、宅地建物取引業法に明確な規定があります。本問は、これらの免許に関する基本的なルールを理解しているかを問うものです。
宅地建物取引業法(以下「法」) * **法第3条(免許)**: 宅地建物取引業の免許は、国土交通大臣または都道府県知事が与えるものであり、特定の者に対して与えられる「一身専属的」な性質を持ちます。このため、原則として他者への承継は認められません。 * **法第11条第1項(変更等の届出)**: 宅地建物取引業者は、免許を受けた後、一定の事由が生じた場合、その旨を免許権者に届け出なければならないと定めています。特に、 * **第1号**: 個人である宅地建物取引業者が死亡した場合、その相続人は、その事実を知った日から30日以内に届け出る義務があります。 * **第2号**: 法人である宅地建物取引業者が合併以外の理由で解散した場合、その清算人は、解散の日から30日以内に届け出る義務があります。 * **法第12条第1項(免許の失効)**: 宅地建物取引業の免許は、一定の事由が生じた時にその効力を失うと定めています。特に、 * **第1号**: 個人である宅地建物取引業者が死亡した場合、または法人である宅地建物取引業者が合併により消滅し、もしくは解散した場合は、その事実が生じた時に免許が失効します。
【選択肢1】誤。 宅地建物取引業の免許は、特定の個人または法人に対して与えられるものであり、原則として承継されません(法第3条)。これは、免許がその業者自身の資質や信頼性に基づいて与えられる「一身専属的」な性質を持つためです。したがって、宅地建物取引業者A社が免許を受けていないB社との合併により消滅する場合、存続会社であるB社はA社の免許を承継することはできません。B社が宅地建物取引業を営むには、新たに免許を取得する必要があります。 【選択肢2】誤。 選択肢1と同様に、宅地建物取引業の免許は承継されません。個人である宅地建物取引業者Cがその事業を法人化するため、新たに株式会社Dを設立し、Cがその代表取締役に就任したとしても、法人であるD社は個人であるCの免許を承継することはできません。個人と法人は法律上別個の存在として扱われるため、事業形態の変更は新たな免許取得を要します。D社が宅地建物取引業を営むためには、法人として新たに免許を取得する必要があります。 【選択肢3】誤。 個人である宅地建物取引業者Eが死亡した場合、その相続人は、Eの死亡を知った日から30日以内に、その旨を免許権者である甲県知事に届け出なければならない、という点は正しいです(法第11条第1項第1号)。しかし、「免許はその届出があった日に失効する」という点が誤りです。宅地建物取引業の免許は、個人業者が死亡した「その時」に失効します(法第12条第1項第1号)。届出はあくまで事後的な報告義務であり、免許の失効時期とは異なります。この「失効時期」と「届出義務」の区別は、試験でよく問われるポイントですので、しっかりと押さえておきましょう。 【選択肢4】正。 法人である宅地建物取引業者F社が、株主総会の決議により解散することとなった場合(合併以外の解散)、その清算人は、当該解散の日から30日以内に、その旨を免許権者である乙県知事に届け出なければなりません(法第11条第1項第2号)。これは、宅地建物取引業者が事業を継続できなくなった場合に、その事実を免許権者が把握し、適切な措置を講じるための重要な義務です。この記述は宅地建物取引業法の規定に合致しており、正しいです。