宅建 平成28年度(2016年)問41 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aは、宅地建物取引業者Bから宅地の売却についての依頼を受けた場合、媒介契約を締結したときは媒介契約の内容を記載した書面を交付しなければならないが、代理契約を締結したときは代理契約の内容を記載した書面を交付する必要はない。
- Aは、自ら売主として宅地の売買契約を締結したときは、相手方に対して、遅滞なく、法第37条の規定による書面を交付するとともに、その内容について宅地建物取引士をして説明させなければならない。
- Aは、宅地建物取引業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Dを買主とする売買契約を締結することができる。
- Aは、宅地建物取引業者でないEから宅地の売却についての依頼を受け、専属専任媒介契約を締結したときは、当該宅地について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め5日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。宅地建物取引業者が「自ら売主」となる場合の制限(いわゆる「自ら売主規制」)は、買主が宅地建物取引業者である場合には適用されません(宅地建物取引業法第78条第2項)。したがって、宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者Dを買主として売買契約を締結することは、法に違反しません。
・**宅地建物取引業法第78条第2項:** 「この法律の規定中、宅地建物取引業者と宅地建物取引業者でない者との間の宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約に関する規定は、宅地建物取引業者相互間の宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約については、適用しない。」 **補足説明:** この条文は、宅建業法に定められている「自ら売主」に関する多くの規制(例えば、手付金等の保全措置、クーリングオフ、瑕疵担保責任の特約制限など)が、売主も買主も宅地建物取引業者である「業者間取引」には適用されないことを明確にしています。これは、業者同士であれば専門知識があるため、消費者保護の必要性が低いという考え方に基づいています。
【選択肢1】誤。宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者Bから宅地の売却についての依頼を受けた場合、媒介契約を締結したときは法第34条の2第1項に基づき媒介契約書面を交付する義務があります。また、代理契約を締結したときも、同条第2項に基づき代理契約書面を交付する義務があります。これらの書面交付義務は、依頼者が宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず発生するため、「代理契約を締結したときは代理契約の内容を記載した書面を交付する必要はない」という記述は誤りです。 【選択肢2】誤。宅地建物取引業者Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結したときは、相手方に対して、遅滞なく、法第37条の規定による書面(契約内容記載書面)を交付する義務があります。しかし、この法第37条書面の内容について、宅地建物取引士をして説明させる義務はありません。宅地建物取引士による説明義務があるのは、契約成立前に交付される法第35条の重要事項説明書についてです(法第35条第1項)。したがって、この記述は誤りです。 【選択肢3】正。宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Dを買主とする売買契約を締結することは可能です。宅地建物取引業法に規定されている「自ら売主」に関する制限(例えば、手付金等の保全措置、クーリングオフ、瑕疵担保責任の特約制限など)は、買主が宅地建物取引業者でない一般消費者である場合に適用される消費者保護のための規定です。法第78条第2項により、売主も買主も宅地建物取引業者である「業者間取引」にはこれらの規定は適用されません。したがって、AがDを相手方として自ら売主となる売買契約を締結することは、法に違反しません。 【選択肢4】誤。宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないEから宅地の売却についての依頼を受け、専属専任媒介契約を締結したときは、当該宅地について法で規定されている事項を、指定流通機構へ登録する義務があります。この登録期間は、法第34条の2第6項により「契約締結の日から七日以内(休業日を除く。)」と定められています。選択肢の「休業日数を含め5日以内」という記述は、期間も休業日の扱いも誤りです。