宅建 平成28年度(2016年)問21 法令上の制限 の解説
問題
土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「組合」とは、土地区画整理組合をいう。
- 組合は、事業の完成により解散しようとする場合においては、都道府県知事の認可を受けなければならない。
- 施行地区内の宅地について組合員の有する所有権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。
- 組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、7人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。
- 組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その組合の組合員とはならない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。土地区画整理組合の組合員は、施行地区内の宅地について所有権を有する者だけでなく、借地権を有する者も含まれます(土地区画整理法第18条第1項)。したがって、借地権のみを有する者も組合員となりますので、「組合員とはならない」とする選択肢4は誤りです。
【土地区画整理法 第18条第1項(組合員)】 「組合の組合員は、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者とする。」 補足説明:この条文は、土地区画整理組合の構成員となる資格を定めています。単に土地の所有者だけでなく、その土地を借りて利用する権利(借地権)を持つ者も組合員として事業に参加し、その権利義務を負うことを明確にしています。これは、事業が土地の利用状況全体に影響を与えるため、所有者だけでなく利用者も事業の主体とすることが適切であるという考えに基づいています。 【土地区画整理法 第14条第1項(組合の設立認可)】 「組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、7人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。」 補足説明:組合設立の要件と手続きを定めています。特に、事業計画がまだ具体的に定まっていない段階でも、まずは組合を組織して準備を進めることができる柔軟な制度設計を示しています。7人以上の発起人が必要である点もポイントです。 【土地区画整理法 第39条第1項(権利義務の承継)】 「施行地区内の宅地について組合員の有する所有権、地上権、永小作権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利に基づく権利の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権、地上権、永小作権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利に基づく権利の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。」 補足説明:土地区画整理事業の施行中に、組合員の権利義務の対象となる宅地が売買などにより第三者に承継された場合、その権利義務も自動的に承継人に移転することを定めています。これにより、事業の継続性と安定性が保たれ、権利関係の複雑化を防ぎます。 【土地区画整理法 第45条第1項(解散の認可)】 「組合は、事業の完成により解散しようとする場合においては、都道府県知事の認可を受けなければならない。」 補足説明:組合が事業を終えて解散する際の手続きを定めています。単なる任意団体ではなく、公共性の高い事業を行う法人であるため、解散にも行政庁の監督が必要とされます。これは、事業の適正な完了と、残余財産の処理などが適切に行われることを担保するためです。
【選択肢1】正。 土地区画整理法第45条第1項に「組合は、事業の完成により解散しようとする場合においては、都道府県知事の認可を受けなければならない。」と明記されています。土地区画整理組合は、公共性の高い事業を行う法人であるため、その設立だけでなく、事業の完了に伴う解散についても、行政庁(都道府県知事)の監督と認可が必要とされます。これは、事業が適正に終了し、残余財産の処理や清算が適切に行われることを担保するための規定です。 【選択肢2】正。 土地区画整理法第39条第1項に「施行地区内の宅地について組合員の有する所有権、地上権、永小作権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権…について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。」と規定されています。これは、土地区画整理事業の施行中に、組合員の地位が変動した場合(例えば、土地の売買や相続など)、その組合員が組合に対して有していた権利や義務も、その地位を承継した者に自動的に移転することを意味します。これにより、事業の継続性が保たれ、権利関係が複雑化することなく円滑に事業が進められます。 【選択肢3】正。 土地区画整理法第14条第1項に「組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、7人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。」と規定されています。この条文は、土地区画整理組合の設立要件の一つであり、事業計画が具体的に定まる前段階でも、まずは組合を組織して準備を進めることができる柔軟な制度設計を示しています。発起人の人数が「7人以上」である点も重要です。 【選択肢4】誤。 土地区画整理法第18条第1項には「組合の組合員は、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者とする。」と明確に規定されています。したがって、施行地区内の宅地について借地権のみを有する者も、その土地区画整理組合の組合員となります。この選択肢は「組合員とはならない」としているため、誤りです。土地区画整理事業は、土地の所有者だけでなく、その土地を利用する権利を持つ者(借地権者など)にも大きな影響を与えるため、これらの者も組合員として事業に参加し、その権利義務を負うこととされています。