宅建 平成26年度(2014年)問9 権利関係 の解説
問題
後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。
- 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。
- 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。
- 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。成年後見人は家庭裁判所が選任する(民法第843条)のに対し、未成年後見人は親権者が遺言で指定できる場合(民法第839条第1項)と、家庭裁判所が選任する場合(民法第840条)があるため、必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限りません。他の選択肢は、成年被後見人の法律行為の取消し(民法第9条)、居住用不動産の処分許可(民法第859条の3)、後見開始の審判請求権者(民法第7条)に関する誤った記述です。
民法第7条(後見開始の審判)、民法第9条(成年被後見人の法律行為の取消し)、民法第839条第1項(未成年後見人の指定)、民法第840条(未成年後見人の選任)、民法第843条(成年後見人の選任)、民法第859条の3(居住用不動産の処分に関する許可)
【選択肢1】誤。成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができます(民法第9条本文)。たとえ建物の贈与を受けるという、一見すると被後見人にとって利益となる行為であっても、意思能力が不十分な状態で行われた行為は、後見人が取り消して、被後見人の財産を適切に管理・保護するべき対象となります。これは、被後見人の判断能力の欠如を補い、不適切な取引から保護することを目的としているためです。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消すことができません(民法第9条ただし書)が、建物の贈与はこれには該当しません。 【選択肢2】誤。成年後見人が、成年被後見人に代わって、その居住用不動産(成年被後見人が現に住んでいる建物やその敷地など)を売却したり、賃貸したり、抵当権を設定したりする場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法第859条の3)。これは、被後見人の生活の基盤となる住居を失わせないよう、特に慎重な判断を求めるための重要な規定です。この許可なく処分した場合は無効となりますので、非常に重要なポイントとして覚えておきましょう。 【選択肢3】誤。後見開始の審判を請求できる者(請求権者)は、民法第7条に具体的に定められています。これには、本人、配偶者、四親等内の親族のほか、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官などが含まれます。したがって、未成年後見人も、自ら後見する未成年者が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合には、その未成年者を保護するために、成年後見開始の審判を請求することができます。 【選択肢4】正。成年後見人は、成年後見開始の審判があった場合に、家庭裁判所が職権で選任します(民法第843条)。これに対し、未成年後見人は、まず親権者が遺言によって指定することができます(民法第839条第1項)。この遺言による指定がない場合や、指定された者が就職しない場合などに、家庭裁判所が選任することになります(民法第840条)。このように、未成年後見人には「指定後見人」と「選定後見人」の2種類があるため、必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らず、遺言によって指定される場合もあるため、本記述は正しいです。