宅建 平成24年度(2012年)問43 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 保証協会は、弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
- 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
- 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、当該社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の範囲内で、弁済を受ける権利を有する。
- 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、弁済を受ける権利を実行しようとする場合、弁済を受けることができる額について保証協会の認証を受けなければならない。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。この選択肢は、宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会)の社員との取引で損害を受けた債権者が弁済を受ける対象について、誤った表現をしています。宅地建物取引業法第64条の8第1項によれば、債権者が弁済を受けるのは「弁済業務保証金」であり、その弁済額の上限が「当該社員が納付した弁済業務保証金分担金に相当する額」とされています。選択肢3は、弁済を受ける対象が「弁済業務保証金分担金」であるかのように読めるため、不正確です。
【宅地建物取引業法第64条の8第1項(弁済業務保証金からの弁済)】 保証協会の社員と宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が保証協会に納付した弁済業務保証金分担金に相当する額の範囲内において、弁済業務保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。 (補足説明:この条文は、取引の相手方が損害を受けた場合に、保証協会が供託している「弁済業務保証金」から優先的に弁済を受けられることを定めています。ただし、弁済を受けられる額には上限があり、それはその社員が保証協会に納めた「弁済業務保証金分担金」の額に相当する範囲内です。) 【宅地建物取引業法第64条の9第1項(弁済業務保証金の供託)】 保証協会は、社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。 (補足説明:保証協会が宅建業者から分担金を受け取ったら、その分担金と同額を「弁済業務保証金」として供託所に預ける義務があることを定めています。) 【宅地建物取引業法第64条の9第2項(弁済業務保証金の補充供託)】 保証協会は、弁済業務保証金の還付があつたときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を、法務省令で定める期間内に、供託しなければならない。 (補足説明:供託している弁済業務保証金が、債権者への弁済によって減ってしまった場合、保証協会は速やかにその減った分を補充して供託し直す義務があることを定めています。) 【宅地建物取引業法第64条の10第1項(弁済の認証)】 弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者は、その権利を実行しようとするときは、保証協会に対し、その債権に関し弁済を受けることができる額について認証を申請しなければならない。 (補足説明:債権者が実際に弁済業務保証金からお金を受け取るためには、まず保証協会に「これだけの金額を弁済してほしい」という申請をして、その金額が妥当であるという「認証」を受ける必要があることを定めています。これにより、不当な請求を防ぎます。)
【選択肢1】正。宅地建物取引業法第64条の9第1項の規定通りです。保証協会は、宅建業者である社員から弁済業務保証金分担金(例えば、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき30万円)の納付を受けた場合、その受け取った分担金の合計額に相当する額の弁済業務保証金を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する義務があります。これは、弁済業務保証金制度の根幹をなす仕組みであり、取引の相手方を保護するための資金を確保するものです。 【選択肢2】正。宅地建物取引業法第64条の9第2項の規定通りです。弁済業務保証金は、債権者への弁済によってその額が減少することがあります。その場合、保証協会は、減少した額(還付額)に相当する弁済業務保証金を、法務省令で定められた期間内に補充して供託し直さなければなりません。これにより、常に十分な弁済業務保証金が維持され、将来の債権者保護に備えることができます。 【選択肢3】誤。宅地建物取引業法第64条の8第1項の規定に照らすと、この記述は不正確です。債権者が弁済を受けるのは、保証協会が供託している「弁済業務保証金」からであり、社員が保証協会に納付した「弁済業務保証金分担金」そのものからではありません。分担金は保証協会に納付されるものであり、債権者が直接その分担金から弁済を受けるわけではないのです。ただし、弁済を受けられる額には上限があり、それが「当該社員が納付した弁済業務保証金分担金に相当する額の範囲内」と定められています。したがって、弁済を受ける対象が「弁済業務保証金分担金」であるかのように読める本選択肢の記述は誤りとなります。正しくは、「弁済業務保証金について、当該社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の範囲内で、弁済を受ける権利を有する」となります。 【選択肢4】正。宅地建物取引業法第64条の10第1項の規定通りです。弁済業務保証金から弁済を受けようとする債権者は、いきなり供託所に請求するのではなく、まず保証協会に対して、その債権について弁済を受けることができる額がいくらであるかについて「認証」を申請しなければなりません。保証協会がその債権の存在と金額を審査し、認証を与えることで、債権者はその認証書を添えて供託所に弁済を請求できるようになります。この認証制度は、不当な請求を防ぎ、弁済業務保証金の適正な運用を確保するために設けられています。