宅建 平成23年度(2011年)問4 民法 の解説
問題
根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 根抵当権者は、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。
- 元本の確定前に根抵当権者から被担保債権の範囲に属する債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することはできない。
- 根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがないときは、一定期間が経過した後であっても、担保すべき元本の確定を請求することはできない。
- 根抵当権設定者は、元本の確定後であっても、その根抵当権の極度額を減額することを請求することはできない。
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。根抵当権は、元本確定前においては、特定の債権に随伴せず、将来発生する不特定の債権を極度額の範囲内で担保する特殊な性質を持っています(民法398条の2第2項)。そのため、元本確定前に個別の債権を譲り受けても、その債権が根抵当権によって担保されることはありません。
[object Object]
【選択肢1】誤。 この記述は、通常の抵当権における被担保債権の範囲(民法375条)に関する規定です。通常の抵当権では、利息や遅延損害金は満期となった最後の2年分に限定されます。しかし、根抵当権にはこの制限は適用されません。根抵当権は、極度額の範囲内であれば、被担保債権の範囲に属する利息や遅延損害金も、その発生時期や期間に関わらず全額担保されます(民法398条の2第1項、375条ただし書)。したがって、選択肢1は誤りです。 【選択肢2】正。 根抵当権は、元本が確定する前においては、特定の債権に随伴して移転する性質を持ちません(民法398条の2第2項)。これは、根抵当権が将来発生する不特定の債権を極度額の範囲内で包括的に担保するものであり、個々の債権が根抵当権によって直接担保されているわけではないからです。したがって、元本確定前に根抵当権者から被担保債権の範囲に属する個別の債権を譲り受けたとしても、その債権が根抵当権によって担保されることはありません。根抵当権はあくまで根抵当権者と設定者との間の継続的な取引関係から生じる債権を担保するものであり、債権の譲受人が根抵当権を行使することはできないため、選択肢2は正しいです。 【選択肢3】誤。 担保すべき元本の確定すべき期日の定めがない場合、根抵当権設定者も根抵当権者も、いつでも元本の確定を請求することができます(民法398条の19第2項)。この請求があった場合、その請求から2週間後に元本が確定します。したがって、「一定期間が経過した後であっても、担保すべき元本の確定を請求することはできない」とする記述は誤りです。 【選択肢4】誤。 元本確定後、根抵当権によって担保される債務の額が極度額を下回る場合、根抵当権設定者は、その極度額を現に存する債務の額まで減額することを請求することができます(民法398条の21第1項)。これは、元本確定後の根抵当権が、通常の抵当権と同様に、実際の債務額を超える極度額を維持する必要がないためです。したがって、「元本の確定後であっても、その根抵当権の極度額を減額することを請求することはできない」とする記述は誤りです。