宅建 平成20年度(2008年)問15 民法 の解説
問題
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。
- 集会は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。
- 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
- 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第25条第1項において、管理者の選任や解任は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって行うことができると明確に規定されています。これは、区分所有建物の管理運営において、区分所有者全体の意思決定が重要であることを示しています。
【区分所有法 第25条第1項】 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。 (補足)管理者はマンションの理事長のような存在で、建物の維持管理や共用部分の管理を担います。その選任・解任は、区分所有者全体の意思決定機関である「集会」の決議が原則となります。ただし、規約で例えば「理事会で選任する」といった特別な定めがあれば、それに従うことも可能です。 【区分所有法 第34条第2項】 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。 (補足)集会は区分所有者の最高意思決定機関であり、管理者は定期的に開催する義務があります。最低年1回と定められています。 【区分所有法 第34条第3項】 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。 (補足)区分所有者が一定数以上集まれば、管理者に対して臨時の集会開催を求めることができます。これは区分所有者の権利として重要です。 【区分所有法 第37条第2項】 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。 (補足)通常は招集通知などの手続きが必要ですが、全員が同意すれば、緊急時などでもすぐに集会を開くことができます。ただし、「全員」の同意が必要です。 【区分所有法 第33条第1項】 規約は、管理者が保管しなければならない。 (補足)規約はマンションの憲法ともいえる重要なルールブックです。管理者が責任を持って保管します。 【区分所有法 第33条第2項】 管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人の一人で集会の決議で定めるものが保管しなければならない。 (補足)管理者が不在の場合でも規約は保管されなければなりません。その際は、集会の決議で特定の区分所有者(またはその代理人)を指名し、その者が保管します。複数人ではなく「一人」と限定されている点に注意が必要です。
【選択肢1】誤。 この選択肢は二つの部分から構成されています。 まず、「管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない」という部分ですが、区分所有法第34条第2項では「管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない」と規定されており、「2回」ではなく「1回」が正しいです。この点で誤りとなります。 次に、「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる」という部分は、区分所有法第34条第3項の規定通りであり、正しい記述です。しかし、前半部分が誤っているため、選択肢全体としては誤りとなります。試験では、このように一部でも誤りがあれば全体が誤りとなる点に注意が必要です。 【選択肢2】誤。 区分所有法第37条第2項には、「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる」と規定されています。この選択肢では「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意」となっていますが、これは「全員の同意」とは異なります。招集手続きを省略できるのは、区分所有者全員が同意した場合に限られます。4分の3という多数決では、一部の区分所有者が同意していない可能性があるため、招集手続きの省略は認められません。全員の同意という非常に厳しい要件が課されていることを理解しておきましょう。 【選択肢3】正。 区分所有法第25条第1項の規定通りです。「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる」とあります。管理者はマンションの運営において非常に重要な役割を担うため、その選任・解任は区分所有者全体の意思決定機関である「集会」の決議によるのが原則です。ただし、「規約に別段の定めがない限り」という但し書きがあるため、規約で例えば「理事会で選任する」といった特別な定めがあれば、それに従うことも可能です。この選択肢は、原則的なルールを正確に述べているため正しい記述となります。 【選択肢4】誤。 この選択肢も二つの部分から構成されています。 まず、「規約は、管理者が保管しなければならない」という部分は、区分所有法第33条第1項の規定通りであり、正しい記述です。 次に、「ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない」という部分ですが、区分所有法第33条第2項では「管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人の一人で集会の決議で定めるものが保管しなければならない」と規定されています。誤っている点は以下の2点です。 1. 「理事会又は集会の決議」ではなく、「集会の決議」のみが正しいです。理事会は集会の下部機関であり、規約の保管者の決定という重要な事項は集会の決議事項とされています。 2. 「建物を使用している区分所有者又はその代理人」は「一人で」と限定されています。複数人ではなく、責任の所在を明確にするため一人を定めることになっています。 これらの誤りがあるため、選択肢全体としては誤りとなります。細かい部分まで正確に覚えることが重要です。