宅建 平成20年度(2008年)問16 民法 の解説
問題
不動産の登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
- 仮登記の登記義務者の承諾がある場合であっても、仮登記権利者は単独で当該仮登記の申請をすることができない。
- 二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、持分が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。
- 二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、地目が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。不動産登記法第47条第2項によれば、仮登記の登記義務者の承諾書があれば、仮登記権利者は単独で仮登記を申請することができます。これは、仮登記を迅速に行い、権利保全を図るための特例であり、共同申請が原則である登記制度における重要な例外規定です。
【不動産登記法第47条第2項】 仮登記は、登記権利者が単独で申請することができる。ただし、登記義務者の承諾がある場合に限る。 (補足:通常、登記は登記権利者と登記義務者の共同申請が原則ですが、仮登記は将来の本登記に備えるものであり、登記義務者の承諾があれば、権利者が単独で申請できる特例が設けられています。これにより、登記義務者が協力しない場合でも、権利保全のための仮登記を迅速に行うことが可能になります。) 【不動産登記法第106条】 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、仮登記後に登記された第三者の権利を抹消する効力があるため、その第三者の承諾が必要となる。 (補足:仮登記は「順位保全の効力」を持ちます。これは、仮登記後に他の登記がされても、本登記がなされれば、仮登記の順位で登記されたものとみなされる、という強力な効力です。そのため、仮登記後に登記された第三者の権利が職権で抹消される可能性があるため、その第三者の保護のため、承諾が要件とされています。) 【不動産登記法第41条】 合筆の登記の制限。 1. 所有権の登記がある土地については、合筆後の土地について所有権の登記名義人が同じであり、かつ、その持分が同じである場合に限り申請できる。 2. 地目及び地番区域が同一である場合に限り申請できる。 (補足:合筆は複数の土地を一つの土地にまとめる登記です。土地の同一性を確保するため、所有者や地目、地番区域など、いくつかの厳格な要件が定められています。特に、所有権の持分が異なる場合や地目が異なる場合は、土地の同一性が損なわれると判断され、合筆は認められません。)
【選択肢1】正。 この記述は、不動産登記法第106条の規定通りです。所有権に関する仮登記に基づく本登記(仮登記を正式な登記にする手続き)は、仮登記後に登記された第三者の権利を抹消する効力(これを「順位保全効」といいます)を持つため、その第三者の保護のため、承諾が必要となります。これは、第三者の権利が一方的に失われることを防ぐための、非常に重要なルールです。試験では、この「利害関係を有する第三者の承諾」がポイントとなりますので、しっかり押さえておきましょう。 【選択肢2】誤。 この記述は、不動産登記法第47条第2項に明確に反しています。仮登記は、原則として登記権利者と登記義務者の共同申請で行われますが、特例として、登記義務者(例えば、将来土地を売る約束をした売主)が仮登記に協力する意思を示し、その承諾書を添付すれば、仮登記権利者(例えば、その土地を買う約束をした買主)は単独で仮登記を申請することができます。これにより、登記義務者が本登記には応じないが、仮登記には協力するという場合に、権利者が迅速に権利保全を図れるようにしています。したがって、「単独で申請することができない」という記述は誤りです。 【選択肢3】正。 この記述は、不動産登記法第41条第1号の規定通りです。合筆の登記(複数の土地を一つの土地にまとめる登記)は、所有権の登記がある土地については、合筆後の土地について所有権の登記名義人が同じであり、かつ、その持分が同じである場合に限り申請できます。例えば、Aさんが土地Xを単独所有し、AさんとBさんが土地Yを2分の1ずつの持分で共有している場合、これらを合筆することはできません。持分が異なる土地を合筆すると、合筆後の土地の所有権の持分が複雑になり、登記の公示機能(誰がどのような権利を持っているかを明確に示す機能)が損なわれるため、認められていません。 【選択肢4】正。 この記述は、不動産登記法第41条第2号の規定通りです。合筆の登記は、地目(土地の用途、例:宅地、畑、山林など)及び地番区域が同一である場合に限り申請できます。例えば、「宅地」と「畑」のように地目が異なる土地を合筆すると、一つの土地に複数の地目が存在することになり、土地の利用状況を正確に公示できなくなります。土地の同一性を保つため、地目は合筆の重要な要件の一つです。したがって、地目が相互に異なる土地の合筆の登記は申請することができません。