宅建 令和6年度(2024年)問8 権利関係 の解説

問題

次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。

  1. 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
  2. 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
  3. 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
  4. 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

正解

正解は選択肢 1 です。

解説

正解は選択肢1です。選択肢1の記述は、旧民法に規定されていた契約の成立時期に関する「発信主義」の原則を示していますが、2020年4月1日に施行された改正民法では「到達主義」が原則とされたため、現在の民法の条文としては規定されていません。

【民法521条2項(契約の成立時期)】 承諾の意思表示は、その通知が相手方に到達した時に、その効力を生ずる。 【民法121条の2第1項(無効な行為に基づく債務の履行に伴う原状回復の義務)】 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。 【民法107条(代理権の濫用)】 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。 【民法5条1項(未成年者の法律行為)】 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

【選択肢1】誤。 この記述は、旧民法526条1項に規定されていた「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する」という「発信主義」の原則を示しています。しかし、2020年4月1日に施行された改正民法では、契約の成立時期について「承諾の意思表示が相手方に到達した時に成立する」という「到達主義」が原則とされました(民法521条2項)。したがって、現在の民法の条文としては規定されていません。 【選択肢2】正。 この記述は、民法121条の2第1項に規定されています。無効な法律行為(例えば、詐欺や強迫によって結ばれた契約など)に基づいて給付(お金や物の引き渡しなど)が行われた場合、その給付を受けた者は、相手方を元の状態に戻す義務(原状回復義務)を負います。これは、無効な行為によって生じた不当な利益を是正するための規定です。 【選択肢3】正。 この記述は、民法107条(代理権の濫用)に規定されています。代理人が、自分自身や第三者の利益のために代理権の範囲内で行為をした場合(代理権の濫用)、相手方がその代理人の目的を知っていた、または知ることができたときは、その行為は代理権がない者が行った行為とみなされます。これにより、本人(代理を依頼した人)は、その行為の効果を受けないことになり、不当な結果から保護されます。 【選択肢4】正。 この記述は、民法5条1項に規定されています。未成年者が法律行為(例えば、売買契約を結ぶなど)をする際には、原則として親権者などの法定代理人の同意が必要です。この同意がない法律行為は、後から取り消すことができます。ただし、単に権利を得る行為(例えば、贈与を受けるなど)や、義務を免れる行為(例えば、借金の免除を受けるなど)については、未成年者に不利益がないため、法定代理人の同意は不要とされています。

令和6年度の過去問を模擬試験形式で解く