宅建 平成29年度(2017年)問34 宅建業法 の解説
問題
次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者が、自ら売主として、宅地及び建物の売買の契約を締結するに際し、手付金について、当初提示した金額を減額することにより、買主に対し売買契約の締結を誘引し、その契約を締結させることは、法に違反しない。
- 宅地建物取引業者が、アンケート調査をすることを装って電話をし、その目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに勧誘をする行為は、法に違反する。
- 宅地建物取引業者が、宅地及び建物の売買の媒介を行うに際し、媒介報酬について、買主の要望を受けて分割受領に応じることにより、契約の締結を誘引する行為は、法に違反する。
- 宅地建物取引業者が、手付金について信用の供与をすることにより、宅地及び建物の売買契約の締結を誘引する行為を行った場合、監督処分の対象となるほか、罰則の適用を受けることがある。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。宅地建物取引業法において、媒介報酬の分割受領は、報酬額の制限(法第46条)を超えない限り、不当な勧誘行為(法第47条の2)として禁止されていません。買主の要望に応じて支払い方法を柔軟にすることは、むしろ買主にとって有利な条件であり、法に違反する行為とは言えません。
【宅地建物取引業法 第46条(報酬)】 宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣が定める額(報酬額の告示)の範囲内とされています。この条文は報酬額の上限を定めるものであり、支払い方法(一括か分割か)については特に制限を設けていません。 【宅地建物取引業法 第47条の2(不当な勧誘等の禁止)】 宅地建物取引業者が、契約の締結を誘引するにあたり、相手方を誤解させたり、不当に契約を急がせたりする行為を禁止しています。具体的には、重要な事項を故意に告げない行為、手付金等の信用の供与、不当に高額な手付金の要求などが挙げられますが、報酬の分割受領はこれに含まれていません。 【宅地建物取引業法 第65条(監督処分)】 法に違反した宅地建物取引業者に対して、指示処分や業務停止処分などの監督処分を行うことができると定めています。 【宅地建物取引業法 第79条(罰則)】 法第47条の2の規定に違反した場合など、特定の違反行為に対して懲役や罰金などの罰則が適用されることを定めています。
【選択肢1】正。 宅地建物取引業者が、自ら売主として、手付金について当初提示した金額を減額することは、買主にとって有利な条件提示であり、宅地建物取引業法第47条の2に規定される「不当な勧誘行為」には該当しません。同条は、不当に高額な手付金を要求する行為や、手付金の貸付け・信用の供与を禁止していますが、手付金の減額はこれらとは異なります。また、宅建業法第39条は手付金の上限を定めていますが、下限は定めていません。したがって、この行為は法に違反しません。 【選択肢2】正。 宅地建物取引業法第47条の2第1項第1号は、「重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」を不当な勧誘行為として禁止しています。アンケート調査を装って電話をかけ、その目的がマンションの売買勧誘であることを告げない行為は、相手方にとって「勧誘目的であること」という重要な事実を故意に告げない行為に該当します。これにより相手方の判断を誤らせる可能性があるため、不当な勧誘とみなされ、法に違反します。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」でも、勧誘目的を告げずに接触する行為は不当な勧誘に該当するとされています。 【選択肢3】誤。 宅地建物取引業法第46条は、宅地建物取引業者が受領できる報酬の額に上限を設けていますが、その支払い方法(一括払いか分割払いか)については特に制限を設けていません。買主の要望に応じて媒介報酬を分割受領に応じることは、報酬額の制限を超えない限り、買主の負担を軽減するものであり、宅地建物取引業法第47条の2に規定される「不当な勧誘行為」には該当しません。不当な勧誘とは、相手方を誤解させたり、不当に契約を急がせたりする行為を指し、報酬の分割受領はこれに当たりません。したがって、「法に違反する」という記述は誤りです。 【選択肢4】正。 宅地建物取引業法第47条の2第1項第2号は、「手付金等について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為」を明確に禁止しています。これは、買主が手付金を準備できない場合に、業者が貸し付けたり、支払いを猶予したりして契約を誘引する行為を指します。この規定に違反した場合、宅地建物取引業法第65条に基づき、業務停止処分や指示処分といった監督処分の対象となります。さらに、宅地建物取引業法第79条により、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科される罰則の適用を受ける可能性もあります。したがって、記述は正しいです。