宅建 平成29年度(2017年)問32 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。
- 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
- 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。
- 宅地建物取引業者は、営業保証金の還付があったために営業保証金に不足が生じたときは、国土交通大臣又は都道府県知から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。宅地建物取引業法第28条の2に規定される「供託替え」の制度により、主たる事務所の移転に伴い最寄りの供託所が変更となった場合、営業保証金を取り戻すことなく、移転後の供託所に供託したものとみなすことができます。したがって、「取り戻した後、供託しなければならない」という記述は誤りです。
宅地建物取引業法第28条の2(供託替え):宅地建物取引業者は、主たる事務所の移転によりその最寄りの供託所が変更したときは、従前の供託所に供託している営業保証金を、移転後の最寄りの供託所に供託したものとみなすことができる。この規定により、金銭で供託している場合でも、取り戻し・再供託の手間を省くことが可能です。 宅地建物取引業法第27条第1項(新規事務所設置時の供託及び届出):新たに事務所を設置した場合の営業保証金の供託と免許権者への届出義務を定めています。 宅地建物取引業法第29条第2項(営業保証金不足額の供託):営業保証金の還付があった場合の不足額供託義務と期間を定めています。 宅地建物取引業法第30条第2項(営業保証金取り戻し時の公告):営業保証金を取り戻す際の還付請求権者への公告義務を定めています。
【選択肢1】誤。宅地建物取引業者が主たる事務所を移転し、その最寄りの供託所が変更となった場合、金銭のみで営業保証金を供託しているときでも、必ずしも従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託し直す必要はありません。宅地建物取引業法第28条の2には「供託替え」という特例が設けられており、従前の供託所に供託している営業保証金を、移転後の最寄りの供託所に供託したものとみなすことができます。この手続きを行えば、取り戻し・再供託の手間を省くことが可能です。したがって、「取り戻した後、供託しなければならない」という記述は義務ではないため、誤りとなります。 【選択肢2】正。宅地建物取引業者は、事業の開始後に新たに事務所を設置した場合、その事務所につき供託すべき営業保証金を追加で供託しなければなりません(宅地建物取引業法第27条第1項)。そして、供託した際には、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る義務があります。これは、営業保証金の供託状況を免許権者が把握し、取引の安全を確保するために重要な手続きです。 【選択肢3】正。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止し、それに伴い営業保証金を取り戻そうとする場合、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者(つまり、その宅地建物取引業者との取引で損害を被った可能性のある者)が存在する可能性があります。そのため、宅地建物取引業法第30条第2項の規定により、還付請求権者に対し、6ヶ月以上の期間を定めて申し出るべき旨を公告しなければなりません。これは、取引の相手方を保護するための重要な手続きです。 【選択肢4】正。宅地建物取引業者が供託している営業保証金から還付(取引の相手方への支払い)があった場合、営業保証金の額が法定の基準額を下回ることになります。この不足が生じたときは、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書が送付されます。宅地建物取引業法第29条第2項により、この通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければなりません。この期間は厳守する必要があり、怠ると業務停止処分などの対象となる可能性があります。