宅建 平成26年度(2014年)問6 権利関係 の解説
問題
Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合であっても、瑕疵の存在を知ってから1年以内であれば、Aに対して売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することができる。
- Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
- CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。
- 本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を一方的に解除することができる。
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合、その建物を建築した請負人は、当該建物を取得した第三者に対しても、不法行為責任(民法第709条)に基づく損害賠償義務を負うという判例(最判平成19年7月6日)の趣旨に合致するため、正しい記述となります。
・民法第566条(買主の追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権):売買契約における契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)について定めています。特に、買主が契約時に不適合を知っていた場合の責任追及の可否がポイントです。 ・民法第709条(不法行為による損害賠償):故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者が、その損害を賠償する責任を負うことを定めています。 ・民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限):不法行為による損害賠償請求権の消滅時効について定めています。 ・民法第635条(請負人の担保責任に関する規定の準用):請負契約における契約不適合責任について、特に仕事の目的物が土地の工作物である場合の解除の制限を定めています。 ・最判平成19年7月6日:建物の建築請負人が、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある建物を建築した場合、当該建物の買主(第三者)に対する不法行為責任を負うことを示した重要な判例です。
【選択肢1】誤。CはAに対して売買契約に基づく契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を追及しようとしています。民法第566条1項ただし書は、「買主がその不適合を知っていたときは、この限りでない。」と定めています。これは、買主が売買契約の締結の当時、目的物に不適合(瑕疵)があることを知っていた場合、売主は契約不適合責任を負わない、という意味です。したがって、Cが売買契約締結時に瑕疵があることを知っていたのであれば、瑕疵の存在を知ってから1年以内という期間制限以前に、Aに対して契約不適合責任を追及することはできません。 【選択肢2】正。本選択肢は、建物の建築請負人(B)が、その建物を購入した第三者(C)に対して不法行為責任を負うかどうかが問われています。判例(最判平成19年7月6日)は、「建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために、当該建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該建物の建築請負人は、当該瑕疵によって損害を被った当該建物の買主に対し、特段の事情がない限り、不法行為責任(民法第709条)に基づく損害賠償義務を負う」と判断しています。本件では、Bが基本的な安全性を損なう瑕疵のある建物を建築したため、CはBに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる、という記述は、この判例の趣旨に完全に合致しており、正しいです。 【選択肢3】誤。CがBに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合の期間は、民法第724条に定められています。不法行為による損害賠償請求権は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき」または「不法行為の時から20年間行使しないとき」に時効によって消滅します。したがって、「Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内」という期間は誤りです。この1年という期間は、売買契約における買主の権利行使期間(民法第566条)と混同させるためのひっかけです。 【選択肢4】誤。AはBに対して請負契約に基づく責任を追及しようとしています。民法第635条は、請負契約における契約不適合責任について、仕事の目的物が「土地の工作物である場合」には、契約の解除をすることができないと定めています。本件建物は土地の工作物にあたるため、たとえ瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合であっても、AはBとの請負契約を一方的に解除することはできません。AはBに対して、追完請求や損害賠償請求は可能ですが、解除は認められません。