宅建 平成25年度(2013年)問14 権利関係 の解説
問題
不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
- 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
- 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。表示に関する登記は、不動産の物理的な状況(所在、地番、地目、地積、種類、構造、床面積など)を公示するための登記であり、権利の変動を伴いません。そのため、売買や贈与といった「登記原因」を証する情報は不要とされています。登記原因を証する情報が必要となるのは、所有権移転登記などの「権利に関する登記」の場合です(不動産登記法27条、61条)。
不動産登記法には、不動産の登記に関する様々なルールが定められています。特に以下の条文は、本問の理解に不可欠です。 * **不動産登記法第27条(表示に関する登記の申請情報)**:表示に関する登記の申請に必要な情報について規定しており、登記原因を証する情報は含まれていません。 * **不動産登記法第61条(権利に関する登記の申請情報)**:権利に関する登記の申請に必要な情報について規定しており、登記原因を証する情報が含まれています。 * **不動産登記法第36条(土地の表題登記の申請義務)**:新たに生じた土地や表題登記がない土地の所有権を取得した者に対し、1月以内の表題登記申請義務を課しています。 * **不動産登記法第47条(建物の表題登記の申請義務)**:新たに生じた建物や表題登記がない建物の所有権を取得した者に対し、1月以内の表題登記申請義務を課しています。 * **不動産登記法第98条(信託の登記の同時申請)**:信託の登記は、信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記と同時に申請しなければならないと定めています。 * **不動産登記法第107条第1項(仮登記の単独申請)**:仮登記の登記義務者の承諾がある場合など、特定の条件下で登記権利者が単独で仮登記を申請できる旨を規定しています。
【選択肢1】誤。表示に関する登記は、土地の地目変更や建物の増築など、不動産の物理的な状況に変更があった場合に申請する登記です。これらの登記は、権利の変動(所有権の移転など)を伴わないため、売買契約書や贈与契約書といった「登記原因を証する情報」は提供する必要がありません。代わりに、地積測量図や建物図面など、変更後の不動産の状況を客観的に証明する情報を提供します。登記原因を証する情報が必要となるのは、所有権移転登記や抵当権設定登記といった「権利に関する登記」の場合です(不動産登記法第27条、第61条)。したがって、この記述は誤りです。 【選択肢2】正。不動産登記法第36条(土地)および第47条(建物)に明確に規定されています。新たに土地が生じた場合(例えば、埋め立てによって土地ができた場合)や、これまで登記されていなかった土地・建物の所有権を取得した者は、その所有権を取得した日から1月以内に、その土地や建物について「表題登記」を申請する義務があります。これは、不動産の物理的な状況を速やかに登記簿に反映させ、公示することで、取引の安全を確保するための重要な制度です。この義務を怠ると、過料に処される可能性がありますので注意が必要です。 【選択肢3】正。不動産登記法第98条に規定されています。信託の登記とは、ある財産が信託財産であることを公示するための登記です。この信託の登記は、信託によってその財産に関する権利(例えば、所有権)が保存されたり、設定されたり、移転されたり、変更されたりする登記(例:信託財産である不動産の所有権移転登記)と、必ず同時に申請しなければなりません。これにより、信託財産であることを第三者に対しても明確に主張できるようになります。同時申請が義務付けられている点がポイントです。 【選択肢4】正。不動産登記法第107条第1項に規定されています。仮登記は、将来行われる本登記の順位を保全するために、あらかじめ行う暫定的な登記です。原則として、登記権利者(仮登記によって利益を受ける者、例:将来の買主)と登記義務者(仮登記によって不利益を受ける者、例:将来の売主)が共同で申請します。しかし、本記述にあるように、仮登記の登記義務者(将来の売主など)が「承諾」している場合は、登記権利者(将来の買主など)が単独で仮登記を申請することができます。これは、登記義務者の協力が得られない場合でも、登記権利者の権利保全を可能にするための特例です。また、仮登記を命ずる処分があった場合も単独申請が可能です。