宅建 平成25年度(2013年)問1 権利関係 の解説
問題
次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
- 意思表示に法律行為の要素の錯誤があった場合は、表意者は、その意思表示を取り消すことができる旨
- 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合は、その物又は権利の瑕疵又は不存在の責任を負う旨
- 売買契約の目的物に隠れた瑕疵がある場合には、買主は、その程度に応じて代金の減額を請求することができる旨
- 多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的とするものを約款と定義する旨
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。これは民法551条1項ただし書きに規定されている、贈与者の瑕疵担保責任に関する内容であり、条文の文言と完全に合致しています。他の選択肢も民法の重要な概念を含んでいますが、表現が条文と厳密には一致しない、あるいは旧民法的な表現が用いられているため、本問の「民法の条文に規定されているもの」としては選択肢2が最も適切です。条文の正確な知識が問われる良問と言えるでしょう。
【民法第551条(贈与者の担保責任)】 1. 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。 (補足説明)贈与は無償契約であるため、原則として贈与者は目的物の瑕疵(欠陥)や不存在について責任を負いません。しかし、例外として、贈与者がその瑕疵や不存在を知っていたにもかかわらず、受贈者にその事実を告げなかった場合には、責任を負うことになります。これは、悪意の贈与者を保護しないという趣旨です。
【選択肢1】誤。記述内容は、改正民法95条に規定されている錯誤による意思表示の取消しに関するものです。しかし、「法律行為の要素の錯誤」という表現は旧民法のものであり、現行民法では「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」や「「表意者が法律行為の基礎とした事情についての錯誤」といったより具体的な要件が規定されています。そのため、条文の文言と完全に一致するとは言えません。 【選択肢2】正。この記述は、民法551条1項ただし書きに規定されている贈与者の瑕疵担保責任(告知義務違反の場合)の内容と完全に一致しています。贈与者が目的物の瑕疵や不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合に責任を負うという、まさに条文通りの内容です。 【選択肢3】誤。記述内容は、改正民法563条に規定されている売買の契約不適合責任における代金減額請求に関するものです。しかし、「隠れた瑕疵」という表現は旧民法のものであり、現行民法では「契約の内容に適合しないもの」(契約不適合)と表現されています。そのため、条文の文言と完全に一致するとは言えません。 【選択肢4】誤。記述内容は、改正民法548条の2第1項に規定されている「定型約款」の定義とほぼ同じです。しかし、条文では「定型約款」と明記されているのに対し、本選択肢では単に「約款」とされている点で、厳密には条文の定義と異なるため、正解とは言えません。民法が定義しているのは「定型約款」であり、「約款」一般ではありません。