宅建 令和6年度(2024年)問1 権利関係 の解説
問題
法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
- 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
- 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
- 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。法律行為が有効に成立するためには、意思能力を有していることが最も基本的な要件とされています。たとえ営業を許された未成年者であっても、意思能力を欠いた状態での意思表示は無効となります。
【意思能力】民法には明文の規定はありませんが、判例・通説により、自己の行為の結果を判断できる精神能力を「意思能力」といい、これを欠く者の法律行為は無効とされています。 【民法90条(公序良俗)】公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。 【民法96条(詐欺又は強迫)】詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 【民法121条(取消しの効果)】取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。 【民法561条(他人の権利の売買)】他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
【選択肢1】正。営業を許された未成年者は、その営業に関しては行為能力者とみなされます(民法6条1項)。しかし、行為能力と意思能力は別の概念です。意思能力とは、自己の行為の結果を判断できる精神能力を指し、これを欠く状態(例えば泥酔状態や精神錯乱状態)での意思表示は、たとえ行為能力者であっても無効となります。したがって、この記述は正しいです。 【選択肢2】誤。民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と明確に規定しています。公序良俗に反する法律行為は、社会全体の利益に反するため、たとえ当事者双方が合意し、納得していたとしても、強制的に無効とされ、当事者の意思によって有効になることはありません。 【選択肢3】誤。詐欺による意思表示も、強迫による意思表示も、民法96条により「取り消すことができる」とされています。どちらも、取り消されるまでは有効な法律行為であり、取り消しによって初めて「初めから無効であったものとみなされる」(民法121条)ことになります。詐欺と強迫で効力に違いはなく、強迫による意思表示が取り消すまでもなく無効となるという記述は誤りです。 【選択肢4】誤。他人が所有している物を売買の目的とすることは、民法561条(旧560条)により認められており、契約自体は有効です。売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負うことになります。したがって、「無効である」という前提が誤りであり、追認によって有効になるという記述も、他人物売買には当てはまりません。