宅建 平成30年度(2018年)問50 税・その他 の解説
問題
建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木造建物を造る際には、強度や耐久性において、できるだけ乾燥している木材を使用するのが好ましい。
- 集成木材構造は、集成木材で骨組を構成したもので、大規模な建物にも使用されている。
- 鉄骨構造は、不燃構造であり、耐火材料による耐火被覆がなくても耐火構造にすることができる。
- 鉄筋コンクリート構造は、耐久性を高めるためには、中性化の防止やコンクリートのひび割れ防止の注意が必要である。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。鉄骨構造は、鉄自体は燃えない「不燃材料」ですが、火災時の高温(約500℃以上)にさらされると、その強度が著しく低下し、変形や座屈を起こす危険性があります。そのため、建築基準法上の「耐火構造」とするためには、耐火材料による被覆(耐火被覆)を施し、一定時間、構造部材が火熱に耐えられるようにする必要があります。耐火被覆なしでは、耐火構造とは認められません。
建築基準法第2条第7号(耐火構造の定義) 「耐火構造」とは、建築物の主要構造部が、火災が終了するまで、通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために必要な性能を有するものをいう、と定義されています。鉄骨は高温で強度が低下するため、耐火被覆なしではこの「必要な性能」を満たすことができません。また、同法第61条(主要構造部を耐火構造としなければならない特殊建築物等)などにおいて、耐火構造が求められる建築物について規定されています。
【選択肢1】正。木造建物を造る際には、できるだけ乾燥している木材を使用するのが好ましいとされています。木材は乾燥させることで、強度が増し、収縮や反り、割れといった変形が起こりにくくなります。また、含水率が高い(乾燥していない)木材は、腐朽菌やシロアリなどの虫害を受けやすく、建物の耐久性を著しく低下させる原因となります。そのため、JAS(日本農林規格)などでも、建築用木材の含水率基準が定められています。 【選択肢2】正。集成木材構造は、ひき板(ラミナ)を繊維方向をそろえて積層接着した集成材を骨組に用いる構造です。集成材は、無垢材に比べて強度性能が安定しており、大きな断面や長い材を製造できるため、体育館、ホール、工場などの大規模な木造建築物にも広く使用されています。接着技術の進歩により、耐火性や耐震性も向上しており、現代建築において重要な構造材の一つとなっています。 【選択肢3】誤。鉄骨構造(S造)は、鉄が不燃材料であるため、それ自体は燃えません。しかし、鉄は熱に弱く、火災時の高温(一般的に約500℃以上)にさらされると、急激に強度が低下し、変形や座屈を起こしやすくなります。これにより、建物全体の構造が破壊される危険性があるため、建築基準法上の「耐火構造」とするためには、ロックウールや耐火ボード、モルタルなどの耐火材料で鉄骨を被覆し、一定時間、火熱から保護する必要があります。この被覆を「耐火被覆」と呼び、これによって初めて耐火構造として認められます。したがって、耐火被覆がなくても耐火構造にできるという記述は誤りです。 【選択肢4】正。鉄筋コンクリート構造(RC造)の耐久性を高めるためには、中性化の防止やコンクリートのひび割れ防止に注意が必要です。コンクリートは本来アルカリ性で、内部の鉄筋を錆から守る役割がありますが、空気中の二酸化炭素などと反応して徐々に中性化が進むと、鉄筋が錆びやすくなります。鉄筋が錆びると膨張し、コンクリートを破壊する「爆裂」を引き起こします。また、コンクリートのひび割れは、そこから水や空気、有害物質が侵入し、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化を早める原因となります。これらを防ぐためには、適切なかぶり厚さの確保、密実なコンクリートの打設、適切な養生、水セメント比の管理などが重要となります。