宅建 平成30年度(2018年)問35 宅建業法 の解説
問題
宅地建物取引業者間の取引における宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び重要事項を記載した書面(以下この問において「重要事項説明書」という。)の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 建物の売買においては、売主は取引の対象となる建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)について耐震診断を受けなければならず、また、その診断の結果を重要事項説明書に記載しなければならない。
- 建物の売買においては、その対象となる建物が未完成である場合は、重要事項説明書を交付した上で、宅地建物取引士をして説明させなければならない。
- 建物の売買においては、その建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。
- 宅地の交換において交換契約に先立って交換差金の一部として30万円の預り金の授受がある場合、その預り金を受領しようとする者は、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。宅地建物取引業者間の取引においても、売主である宅建業者が講ずる瑕疵担保責任の履行に関する措置の有無とその概要は、重要事項説明の対象となります(宅地建物取引業法第35条第1項第14号)。他の選択肢は、宅建業者間の取引では適用されない規定や、そもそも規定の対象外であるため誤りとなります。
宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明等) 第1項:宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、相手方に対し、その者が取得しようとしている宅地又は建物の状況について、次に掲げる事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。ただし、宅地建物取引業者を相手方として宅地又は建物の売買若しくは交換の契約を締結する場合においては、この限りでない。 (補足説明)このただし書きが重要です。宅建業者間の取引では、原則として宅地建物取引士による説明は不要ですが、書面の交付は必要です。また、ただし書きの「この限りでない」の範囲は、説明義務と宅地建物取引士による説明義務の両方にかかりますが、一部の重要事項については業者間取引でも説明義務が残ります。特に、第35条第1項第14号(瑕疵担保責任の履行に関する措置)は、業者間取引でも説明義務が残る項目です。 宅地建物取引業法第35条第1項第14号:当該宅地建物取引業者が自ら売主となる売買又は交換の契約にあつては、当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し講ずべき措置の概要。
【選択肢1】誤。 この記述は、宅地建物取引業法第35条第1項第14号の2(既存建物の状況調査)に関するものです。この規定は、宅建業者が自ら売主となる既存建物の売買契約において、買主が宅地建物取引業者ではない場合に適用されます。具体的には、買主が宅建業者でない場合、売主である宅建業者は、昭和56年6月1日以降に新築工事に着手した建物以外の既存建物について、耐震診断の有無やその結果を説明しなければなりません。しかし、本問は「宅地建物取引業者間の取引」であるため、この規定は適用されません。したがって、売主が耐震診断を受ける義務やその結果を重要事項説明書に記載する義務はありません。 【選択肢2】誤。 宅地建物取引業法第35条第1項本文は、重要事項説明は「宅地建物取引士をして、説明させなければならない」と定めています。しかし、同項ただし書きには「宅地建物取引業者を相手方として宅地又は建物の売買若しくは交換の契約を締結する場合においては、この限りでない」と明記されています。これは、宅建業者間の取引においては、相手方も宅建業のプロであるため、宅地建物取引士による口頭での説明は不要である、という意味です。ただし、重要事項説明書(書面)の交付自体は必要です。したがって、「宅地建物取引士をして説明させなければならない」という点が誤りとなります。 【選択肢3】正。 この記述は、宅地建物取引業法第35条第1項第14号(瑕疵担保責任の履行に関する措置)に関するものです。この項目は、宅建業者が自ら売主となる売買契約において、買主が宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、重要事項説明の対象となります。つまり、宅建業者間の取引であっても、売主である宅建業者が瑕疵担保責任の履行に関して保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載し、説明しなければなりません。これは、宅建業者間の取引であっても、瑕疵担保責任に関するトラブルを未然に防ぐための重要な情報であるため、説明義務が免除されない項目とされています。 【選択肢4】誤。 この記述は、宅地建物取引業法第35条第1項第10号(手付金等の保全措置)に関するものです。この規定は、宅建業者が自ら売主となる売買契約において、買主が宅地建物取引業者ではない場合に適用されます。したがって、宅建業者間の取引では、手付金等の保全措置の説明義務は適用されません。また、本問は「宅地の交換」における「交換差金」の預り金について述べていますが、宅建業法第41条・第41条の2に規定される手付金等の保全措置は、原則として「売買契約」における手付金等に限定されており、交換契約における交換差金は、この「手付金等」には該当しません。したがって、保全措置を講ずるかどうかの説明義務は発生しません。