宅建 平成29年度(2017年)問14 権利関係 の解説
問題
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
- 地上権の設定の登記をする場合において、地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めも登記事項となる。
- 賃借権の設定の登記をする場合において、敷金があるときであっても、その旨は登記事項とならない。
- 事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。
正解
正解は選択肢 3 です。
解説
正解は選択肢3です。賃借権の設定の登記において、敷金に関する定めは不動産登記法第81条に規定される登記事項には含まれません。敷金は賃貸借契約に付随する金銭債務であり、登記によって第三者に対抗する性質のものではないため、その旨は登記事項とならないのです。
不動産登記法は、不動産に関する権利関係を公示し、取引の安全を図るための法律です。各権利の登記事項は、その権利の性質や第三者への対抗要件として必要な情報が定められています。 * **不動産登記法第27条(建物の表示の登記)**: 建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが登記事項とされています。 * **不動産登記規則第111条(建物の名称)**: 建物の名称があるときは、その名称も登記事項となる旨を定めています。 * **不動産登記法第78条(地上権の登記)**: 地上権設定の目的、範囲、存続期間などが登記事項とされています。 * **不動産登記法第81条(賃借権の登記)**: 賃料、存続期間、賃借権設定の目的、借地借家法第23条第1項の定めなどが登記事項とされていますが、敷金は含まれていません。
【選択肢1】正。不動産登記規則第111条には、「建物の名称があるときは、その名称」も建物の表示に関する登記の登記事項となる旨が明確に規定されています。これは、建物を特定し、他の建物と区別するための重要な情報として、登記簿に記載されるべき事項とされているためです。例えば、「〇〇マンションA棟」といった名称があれば、それが登記されます。 【選択肢2】正。不動産登記法第78条第1号において、地上権の設定の登記をする場合、地上権設定の目的、範囲、そして「存続期間」が登記事項として定められています。地上権は、他人の土地を一定期間利用する権利であるため、その利用期間(存続期間)は権利の内容を明確にする上で不可欠な情報であり、登記によって公示されることで第三者にもその内容が明らかになります。 【選択肢3】誤。不動産登記法第81条は賃借権の登記事項を定めていますが、その中に「敷金」に関する定めは含まれていません。賃借権の登記では、賃料、存続期間、賃借権設定の目的などが登記事項となります。敷金は、賃貸借契約において賃料の不払いや原状回復費用などに充当される金銭であり、賃借権そのものの内容を構成するものではなく、登記によって第三者に対抗する性質のものではありません。したがって、敷金がある場合でも、その旨は登記事項とはならないため、この記述は誤りです。 【選択肢4】正。不動産登記法第81条第2号において、借地借家法第23条第1項に定める「事業用定期借地権」の設定の登記をする場合、その定めがあるときは、その定めも登記事項となることが明記されています。事業用定期借地権は、契約の更新がなく、期間満了により確定的に終了するという特殊な性質を持つため、その旨を登記によって公示し、第三者に対してもその特殊性を対抗できるようにする必要があるからです。これは、通常の賃借権とは異なる重要な点として、法律で特別に登記事項と定められています。