宅建 平成24年度(2012年)問16 法令上の制限 の解説
問題
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において、非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の建築であれば、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受ける必要はない。
- 都市計画の決定又は変更の提案は、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地について所有権又は借地権を有している者以外は行うことができない。
- 市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。
- 地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行った者は、一定の行為を除き、当該行為の完了した日から30日以内に、行為の種類、場所等を市町村長に届け出なければならない。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。市街地開発事業等予定区域内における建築物の建築等には原則として許可が必要ですが(都市計画法第53条第1項)、非常災害時の応急措置として行う行為は、国民の生命・財産保護の観点から、許可を受ける必要がないとされています(都市計画法第54条第1号)。これは緊急性を要する行為に対する特例であり、試験でも頻出のポイントです。
【都市計画法第53条第1項】 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、都道府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 【都市計画法第54条第1号】 前条第1項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。 一 非常災害のため必要な応急措置として行う行為 【補足説明】 都市計画法第53条は、将来の都市計画事業の円滑な実施を妨げないよう、都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域内での建築行為を制限し、許可制としています。しかし、第54条では、その許可制の例外を定めており、特に「非常災害のため必要な応急措置」は、緊急性が高く、許可を待つ時間がないため、許可不要とされています。これは、国民の安全確保を最優先する趣旨の規定です。
【選択肢1】正。 都市計画法第53条第1項は、都市計画施設の区域内や市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築等を行う場合、原則として都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可が必要であると定めています。これは、将来の都市計画事業の実施に支障をきたさないようにするための規制です。しかし、同法第54条では、この許可が不要となる例外行為がいくつか定められています。その一つが「非常災害のため必要な応急措置として行う行為」(第54条第1号)です。地震や台風などの非常災害時に、被災者の生命や財産を守るために緊急に行われる応急的な建築行為は、許可を待つ時間的余裕がないため、許可不要とされています。したがって、本選択肢の記述は正しいです。 【選択肢2】誤。 都市計画の決定または変更の提案制度(都市計画法第16条の2)は、住民等の意見を都市計画に反映させるための重要な制度です。この提案を行うことができるのは、原則として「土地の所有者又は借地権を有する者」です(第16条の2第1項)。しかし、これに加えて「都市計画事業を施行しようとする者」も提案を行うことができます(第16条の2第2項)。したがって、「当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地について所有権又は借地権を有している者以外は行うことができない」という記述は誤りです。土地の所有権者や借地権者以外でも、都市計画事業を施行しようとする者であれば提案が可能です。 【選択肢3】誤。 市町村が都市計画を決定しようとする場合の手続きについては、都市計画法第21条に規定があります。同条第2項は、市町村が都市計画を決定する際に、都道府県が定める都市計画に関する規定(第19条第1項)を準用すると定めています。第19条第1項は、都道府県が都市計画を決定する際に、あらかじめ国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならないと規定しています。これを市町村に準用すると、市町村は都道府県知事に協議し、その同意を得る必要がある、と解釈できます。しかし、これは「全ての」市町村決定都市計画に当てはまるわけではありません。例えば、地区計画のように、市町村が単独で決定できる都市計画もあり、これらについては都道府県知事の同意は不要です。同意が必要となるのは、都道府県が定める都市計画と一体的に決定されるべきものや、広域的な調整が必要なものなどに限られます。したがって、「市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない」という一律の記述は誤りです。 【選択肢4】誤。 地区計画の区域内における行為の届出に関する規定は、都市計画法第58条の2に定められています。同条第1項は、地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等を行おうとする者は、「当該行為に着手する日の30日前までに」、行為の種類、場所等を市町村長に届け出なければならない、と規定しています。本選択肢では「当該行為の完了した日から30日以内に」と記載されていますが、これは誤りです。届出は、行為に着手する前に行う事前届出であり、完了後に行うものではありません。この「30日前まで」という期間も、試験でよく問われるポイントですので、正確に覚えておきましょう。