宅建 平成21年度(2009年)問16 法令上の制限 の解説
問題
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。
- 市街地開発事業の施行区域内においては、非常災害のために必要な応急措置として行う建築物の建築であっても、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 風致地区内における建築物の建築については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
- 工作物の建設を行おうとする場合は、地区整備計画が定められている地区計画の区域であっても、行為の種類、場所等の届出が必要となることはない。
- 都市計画事業においては、土地収用法における事業の認定の告示をもって、都市計画事業の認可又は承認の告示とみなしている。
正解
正解は選択肢 2 です。
解説
正解は選択肢2です。風致地区内における建築物の建築等の行為については、都市計画法第58条第1項に基づき、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で必要な規制をすることができます。これは、都市の風致を維持するための重要な制度です。
・都市計画法第58条第1項:風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。 (補足)風致地区は、都市の風致(自然の景観や趣)を維持するために定められる地域地区の一つです。この条文は、その目的を達成するために、具体的な行為規制を条例に委ねることを規定しています。 ・都市計画法第65条第1項、第2項第1号:都市計画事業の認可等の告示があった後の事業地内における行為制限に関する規定。ただし、非常災害のための応急措置は許可不要。 (補足)都市計画事業の円滑な施行を妨げないよう、事業地内での建築行為等には許可が必要ですが、緊急性の高い応急措置は例外とされています。 ・都市計画法第58条の2第1項:地区計画の区域内(地区整備計画が定められている区域)における行為の届出に関する規定。 (補足)地区計画は、きめ細やかなまちづくりを行うための計画であり、その実効性を確保するため、一定の行為を行う際には事前に市町村長への届出が義務付けられています。 ・都市計画法第62条第1項:都市計画事業の認可等の告示と土地収用法における事業の認定の告示のみなし規定。 (補足)都市計画事業は公共性の高い事業であり、土地収用を伴う場合があります。この規定は、都市計画事業の認可等があれば、改めて土地収用法に基づく事業認定の手続きを不要とし、事業の迅速化を図るものです。
【選択肢1】誤。 市街地開発事業の施行区域内における建築物の建築は、原則として都道府県知事の許可が必要です(都市計画法第65条第1項)。しかし、同条第2項第1号には、「非常災害のため必要な応急措置として行う行為」は許可を要しない旨が明記されています。したがって、非常災害のための応急措置として行う建築物の建築は、許可を受ける必要がないため、本選択肢は「許可を受けなければならない」としている点で誤りです。この例外規定は、緊急時の対応を妨げないための重要なポイントとして押さえておきましょう。 【選択肢2】正。 都市計画法第58条第1項は、風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為について、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができると定めています。風致地区は、都市の良好な景観や自然環境を保全することを目的とした地域地区であり、その目的達成のために、具体的な行為規制は各地方公共団体の条例に委ねられています。本選択肢は、この条文の内容と完全に一致しており、正しい記述です。 【選択肢3】誤。 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更や建築物の建築等を行おうとする場合は、都市計画法第58条の2第1項に基づき、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法などを市町村長に届け出なければなりません。ここでいう「建築物」には、一般的に工作物も含まれると解釈されるか、または「その他政令で定める行為」として工作物の建設も届出の対象となります。したがって、「工作物の建設を行おうとする場合は、届出が必要となることはない」という記述は誤りです。地区計画の実効性を確保するためには、計画に沿った行為が行われているかを確認する必要があるため、届出制度が設けられています。 【選択肢4】誤。 都市計画事業においては、土地収用法における事業の認定の告示をもって、都市計画事業の認可又は承認の告示とみなしている、という記述は、みなし規定の前後が逆になっています。正しい規定は、都市計画法第62条第1項にあり、「都市計画事業の認可又は承認の告示があったときは、土地収用法第20条の規定による事業の認定の告示があったものとみなす」とされています。つまり、都市計画事業として認可等を受ければ、改めて土地収用法の事業認定を受ける必要がない、という特例です。これは、公共性の高い都市計画事業を円滑かつ迅速に進めるための措置であり、本選択肢はみなし規定の適用関係を誤って記述しているため、誤りです。