宅建 平成20年度(2008年)問38 宅建業法 の解説

問題

次に記述する宅地建物取引業者Aが行う業務に関する行為のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

  1. 宅地の売買の媒介において、当該宅地の周辺環境について買主の判断に重要な影響を及ぼす事実があったため、買主を現地に案内した際に、取引主任者でないAの従業者が当該事実について説明した。
  2. 建物の貸借の媒介において、申込者が自己都合で申込みを撤回し賃貸借契約が成立しなかったため、Aは、既に受領していた預り金から媒介報酬に相当する金額を差し引いて、申込者に返還した。
  3. Aの従業者は、宅地の販売の勧誘に際し、買主に対して「この付近に鉄道の新駅ができる」と説明したが、実際には新駅設置計画は存在せず、当該従業者の思い込みであったことが判明し、契約の締結には至らなかった。
  4. Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。

正解

正解は選択肢 1 です。

解説

正解は選択肢1です。宅地建物取引士でない従業者が、契約締結前の一般的な情報提供や説明を行うことは、宅建業法第35条で規定される「重要事項説明」とは異なり、直ちに違反とはなりません。他の選択肢は、報酬の不当な請求、不実告知、手付金の不交付という宅建業法上の明確な禁止行為に該当するため、違反となります。

・**宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明)**: 宅地建物取引士が、契約の相手方等に対し、重要事項を記載した書面を交付して説明することを義務付けています。これは契約成立前の特定の行為であり、一般的な情報提供とは区別されます。 ・**宅地建物取引業法第46条(報酬額の制限等)**: 宅地建物取引業者が受領できる報酬額の上限を定めており、報酬は「契約が成立した場合」にのみ請求できることが前提です。契約が成立しない限り、報酬は発生しません。 ・**宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)第1号**: 宅地建物取引業者が、契約の勧誘に際し、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をすることを禁止しています。契約の成否にかかわらず、勧誘行為自体が規制の対象です。 ・**宅地建物取引業法第39条(手付の額の制限等)**: 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地建物の売買契約において、手付金の額の制限や手付解除に関する特約について定めています。手付金は、契約締結時に実際に交付されることでその法的効力を発揮するものであり、交付されていない手付金は、同条の趣旨に反します。

【選択肢1】正。宅地建物取引業法第35条は、宅地建物取引士が「重要事項説明書を交付し、説明すること」を義務付けていますが、これは契約締結前に行われる特定の行為であり、その説明内容も法定されています。本件は、買主を現地に案内した際に、周辺環境に関する事実を説明したものであり、重要事項説明書を交付して行う説明とは異なります。一般的な情報提供や説明は、宅地建物取引士でない従業者が行っても、直ちに宅建業法に違反するものではありません。したがって、この行為は宅建業法の規定に違反しません。 【選択肢2】誤。宅地建物取引業法第46条により、宅地建物取引業者が媒介報酬を請求できるのは、媒介により「契約が成立した場合」に限られます。本件では、申込者が申込みを撤回し、賃貸借契約が成立していません。契約が成立していないにもかかわらず、既に受領していた預り金から媒介報酬に相当する金額を差し引く行為は、宅建業法に違反します。預り金は、契約が成立しなかった場合には全額返還されるべきものです。 【選択肢3】誤。宅地建物取引業法第47条第1号は、宅地建物取引業者が、契約の勧誘に際し、「不実のことを告げる行為」をすることを禁止しています。本件では、「この付近に鉄道の新駅ができる」という説明が、実際には新駅設置計画が存在しない「不実のこと」であったため、この行為は宅建業法に違反します。たとえ契約の締結には至らなかったとしても、勧誘の段階で不実告知を行った時点で違反となります。 【選択肢4】誤。宅地建物取引業法第39条は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約における手付金について規定しており、買主保護の観点から手付金の額の制限や手付解除に関する特約を設けています。手付金は、契約の証拠として、また解除権を留保する目的で、契約締結時に買主から売主へ実際に交付されることでその法的効力を発揮します。本件のように、手付金が用意できていない買主に対し、後日支払うことを約して手付金に関する契約を締結することは、手付金が実際に交付されていないため、宅建業法第39条の趣旨に反し、買主が手付解除をしようとした際に不利益を被る可能性があります。手付金は実際に授受されることが前提であり、交付されていない手付金は、同条の保護対象とはなり得ません。したがって、この行為は宅建業法に違反します。

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