宅建 令和6年度(2024年)問10 権利関係 の解説

問題

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、履行の追完請求権、代金の減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権のうち、民法の規定によれば、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいものは次の記述のうちどれか。なお、上記帰責性以外の点について、権利の行使を妨げる事情はないものとする。

  1. 履行の追完請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
  2. 代金の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
  3. 履行の追完請求権、代金の減額請求権
  4. 損害賠償請求権

正解

正解は選択肢 4 です。

解説

正解は選択肢4です。売買契約の目的物が契約の内容に適合しない(契約不適合)場合、買主は原則として履行の追完請求、代金の減額請求、契約の解除を行うことができますが、これらの権利の行使には売主の帰責事由(責任がある理由)は不要です。しかし、損害賠償請求権の行使には、売主の帰責事由が必要とされており、本問のように売主の責めにも帰することができない事由による契約不適合の場合、買主は損害賠償請求権を行使することができません。

民法改正(2020年4月1日施行)により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。この契約不適合責任に関する規定は以下の通りです。 * **民法第562条(買主の追完請求権)**:目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。この権利の行使には、売主の帰責事由は不要です。 * **民法第563条(買主の代金減額請求権)**:買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。この権利の行使にも、売主の帰責事由は不要です。 * **民法第564条(損害賠償の請求及び契約の解除)**:前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による契約の解除をすることを妨げない。 * **民法第415条第1項(債務不履行による損害賠償)**:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。つまり、損害賠償請求には債務者(売主)の帰責事由が必要です。 * **民法第541条(履行遅滞等による解除権)**:当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。この権利の行使には、売主の帰責事由は不要です。 * **民法第542条(催告によらない解除権)**:一定の場合には、催告なしに解除できる。この権利の行使にも、売主の帰責事由は不要です。

【選択肢1】誤。履行の追完請求権と契約の解除権は、売主の帰責事由がなくても行使できる権利です。したがって、「行使することができない権利のみ」を掲げたものとしては誤りです。 【選択肢2】誤。代金の減額請求権と契約の解除権は、売主の帰責事由がなくても行使できる権利です。したがって、「行使することができない権利のみ」を掲げたものとしては誤りです。 【選択肢3】誤。履行の追完請求権と代金の減額請求権は、売主の帰責事由がなくても行使できる権利です。したがって、これらは「行使することができない権利」には該当しません。 【選択肢4】正。損害賠償請求権は、民法第415条第1項ただし書により、債務者(売主)の責めに帰することができない事由による債務不履行の場合には行使できません。本問では、契約不適合が「売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由」によるものであるため、売主には帰責事由がなく、買主は損害賠償請求権を行使することができません。したがって、損害賠償請求権のみが、買主が行使できない権利として正しいです。

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