宅建 平成29年度(2017年)問36 宅建業法 の解説
問題
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「免許」とは、宅地建物取引業の免許をいう。
- 宅地建物取引業者Aは、免許の更新を申請したが、免許権者である甲県知事の申請に対する処分がなされないまま、免許の有効期間が満了した。この場合、Aは、当該処分がなされるまで、宅地建物取引業を営むことができない。
- Bは、新たに宅地建物取引業を営むため免許の申請を行った。この場合、Bは、免許の申請から免許を受けるまでの間に、宅地建物取引業を営む旨の広告を行い、取引する物件及び顧客を募ることができる。
- 宅地建物取引業者Cは、宅地又は建物の売買に関連し、兼業として、新たに不動産管理業を営むこととした。この場合、Cは兼業で不動産管理業を営む旨を、免許権者である国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
- 宅地建物取引業者である法人Dが、宅地建物取引業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされる。
正解
正解は選択肢 4 です。
解説
正解は選択肢4です。宅地建物取引業法第14条第2項は、宅地建物取引業者である法人が合併により消滅した場合、その一般承継人(宅地建物取引業者でない法人E)が、消滅した法人が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、宅地建物取引業者とみなされると定めており、取引相手の保護を図っています。
【宅地建物取引業法 第3条第3項(免許の更新)】 免許の更新の申請があった場合において、その申請に対する処分がなされないまま従前の免許の有効期間が満了したときは、従前の免許は、その処分がなされるまでの間は、なおその効力を有する。 (補足)これは、免許の更新申請をしたにもかかわらず、行政側の手続きの遅れによって免許が失効してしまうという不利益を、申請者が被らないようにするための規定です。 【宅地建物取引業法 第12条(無免許事業者の禁止)】 免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。 (補足)「宅地建物取引業を営む」とは、反復継続して宅地建物の取引を行うことを指します。免許取得前の広告や顧客募集も、実質的に「業」の一部とみなされ、無免許営業の禁止に抵触すると解釈されます。 【宅地建物取引業法 第14条第2項(宅地建物取引業者とみなされる者)】 宅地建物取引業者である法人が合併により消滅した場合において、その一般承継人(宅地建物取引業者である者を除く。)は、その法人が消滅した日以後その法人が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、なお宅地建物取引業者とみなす。 (補足)これは、合併などで宅建業者が消滅しても、その業者が締結した契約の相手方(買主や売主など)が不利益を被らないよう、取引を最後まで完了させるために設けられた「みなし業者」の規定です。あくまで既存の取引を結了する目的の範囲内であり、新たな取引を行うことはできません。
【選択肢1】誤。宅地建物取引業者Aは、免許の更新を申請し、その申請に対する処分がなされないまま免許の有効期間が満了した場合でも、宅地建物取引業法第3条第3項の規定により、従前の免許は、その処分がなされるまでの間は、なおその効力を有します。したがって、Aは引き続き宅地建物取引業を営むことができます。この規定は、行政側の手続きの遅延によって申請者が不利益を被ることを防ぐための重要な特例です。 【選択肢2】誤。Bは、新たに宅地建物取引業を営むため免許の申請を行った段階では、まだ宅地建物取引業者ではありません。宅地建物取引業法第12条は、免許を受けない者が宅地建物取引業を営むことを厳しく禁止しています。宅地建物取引業を営む旨の広告を行い、取引する物件及び顧客を募る行為は、反復継続して宅地建物の取引を行う「業」の一部とみなされ、無免許営業に該当します。したがって、免許を受けるまでの間にこれらの行為を行うことはできません。 【選択肢3】誤。宅地建物取引業者Cが、宅地又は建物の売買に関連し、兼業として不動産管理業を営むこととした場合でも、その旨を免許権者である国土交通大臣又は都道府県知事に届け出る義務はありません。宅地建物取引業法には、兼業に関する直接的な届出義務の規定は存在しません。宅建業者は、宅建業以外の事業を営むことは原則として自由です。ただし、兼業の内容が宅地建物取引業の信用を害するようなものであってはならないという「信用失墜行為の禁止」(宅地建物取引業法第47条の2)の規定には注意が必要です。 【選択肢4】正。宅地建物取引業者である法人Dが、宅地建物取引業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、宅地建物取引業法第14条第2項の規定により、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、宅地建物取引業者とみなされます。これは、合併などで消滅した宅建業者が締結した契約の相手方を保護し、取引の円滑な結了を図るための重要な規定です。Eはあくまで「みなし業者」であり、新たな宅地建物取引業を営むことはできません。